スパイクやグラブに約8万⁉野球の用具が高すぎて、野球離れも…。私服でのクラブも。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
今の物価高の煽りを受けて、野球は人気のスポーツでも、競技をする人口が今後減っていくかも知れません…。
グラブに、バット、アンダーシャツ、ヘルメット…。野球をするには、沢山の用具が必要で、他のスポーツと比較しても費用もかかってしまいます。
2023年5~6月に、「野球用具を揃えることが、部員を集めるハードルの1つになっていると感じるか?」と、全国の高校の硬式野球部の部長や監督に実施したアンケート結果によりますと、回答を寄せた2103校の中で1345校(63.95%)が「感じる」と答え、「感じない」の355校(16.88%)を大きく上回りました。
愛知県名古屋にあるスポーツ用品大手のアルペンによりますと、高校の硬式野球の初期費用は、バット代を含めずに、スパイクやグラブなど6万5千円~8万円。サッカー、テニス、バスケットボール、陸上競技などと比較しても、およそ3~4倍かかる計算で、1万2千円~2万円が相場の練習用木製バットを購入すると、さらに負担は増すといいます。
部員1人当たりの購入費がどの程度上がったかも質問すると、「1万円~3万円」が1253校(68.6%)と最も多く、続けて「3万円~5万円」が288校(15.8%)と回答し、「5万円以上」と答えた高校も69校(3.8%)ありました。
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手や日本野球代表の活躍もあって盛り上がりを見せていますが、金額が高いことで、「野球は続けられない」「野球部の入部を諦めた」という子ども達が増えていくのは、本末転倒です。
「野球用具が高すぎるから..」という理由などもあって、私服に近い格好で野球をやっている野球クラブもあります。
神奈川県川崎市高津区を拠点にして、5年前に発足した少年野球クラブ『パイラスアカデミー』にはユニフォームがありません。子ども達が着ているのは短パンとチームTシャツです。中には私服でプレーをする子もいました。
スパイクの着用も任意です。相手チームの理解を得て、試合もこの格好でしています。練習は原則週1回のため、およそ3000円のチームTシャツを複数枚購入する必要もありません。
今回は、なぜ『パイラスアカデミー』がこの様な判断を取り入れたのか?、野球全体の動きを一部見ながら、考えていきたいと思います。
どうして『パイラスアカデミー』は、ユニフォームの購入などをしなかった?
アメリカの大学に進学し、現地の野球部でプレーした代表の男性Aさんは、「向こうでは短パンでの練習が主流で、十分野球はできます。お揃いのユニホームに加え、ベルトも購入すれば1万円以上の費用がかかります」と述べました。
知人が経営する用具メーカーから提供を受けたグラブの貸し出しもしています。
2019年に玩具大手「バンダイ」が小中学生の親御さんを対象に実施した実態調査では、野球の1年間の平均費用は7万4931円で、テニス、サッカー、ダンス、水泳、(チアリーディングを含む)を合わせた人気5競技の中で最も高く、2位のサッカーを1万8000円余り上回りました。
その上で、近年は機能性の向上や物価高の煽りなどで野球用具の高価格化がさらに進んでいます。総務省の小売物価統計調査によりますと、2024年4月の大人用軟式グラブ(中級品)の全国平均は1万4984円で、9年前の1.4倍となりました。
『パイラスアカデミー』の代表の男性Aさんは、
「道具を揃えなければいけないということも、野球離れが進む理由です」と危惧し、親御さんから「グラブは買った方がいいのか」といったお問い合わせが多く寄せられるとし、「とにかく野球を始めるハードルを下げたいです」
と言葉に力を込めました。
参考:少年野球のチーム作りでパイラスが大事にしていることは? パイラスアカデミー
2021年に埼玉県春日部市に発足した[エンジョイベースボール春日部少年少女軟式野球クラブ]も、入団したばかりの選手にグラブやバットを貸し出しています。そして、きょうだいで入団すればクラブ活動費を割り引く以外にも、お茶出しなどをする「お茶当番」を廃止するなど、負担軽減に励んでいます。
『パイラスアカデミー』のGMの男性Bさんは、
「野球人気で興味を持つ子は増えたかもしれないですが、入団者の増加といった大きな影響はありません。一歩踏み出すためにどこかにハードルがあります」と冷静に現状を見つめています。
野球を始める障壁を取り除くため、現場の模索が続いています。
最近の野球業界の動き
冒頭のアンケート結果では、用具の価格に関しても質問すると、「グラブ、バットなど用具一式を揃えるのに、購入費は5年前と比較してどうなったか」との質問に対し、1826校(87.2%)が「高くなった」と回答し、「安くなった」と回答したのはは7校のみでした。
自由記述では「用具が高い状況が続くと『野球=お金がかかる』というイメージに拍車がかかり、野球離れが進行する」、「バスケやサッカーなど人気種目と用具代の差があり過ぎる」、「県立と私学の野球格差が経済的な面でも鮮明だ」、「ボール1つあれば始めることができるサッカーなどと違う」など、野球の用具の高騰に関連した声も寄せられました。
また、最近の野球関連の大きなニュースで言えば、
2024年8月29日、アシックスは、スパイクなどのシューズを除いた野球用具の販売から、2025年9月で撤退する方針を発表しました。バットやグラブ以外にも、ウェア、手袋などの販売を終了します。
アシックスは1973年に野球用スパイクを販売し、1976年にライセンス契約を締結した、アメリカの「ローリングス」のブランドで野球用品全般の取り扱いを開始しました。2013年からは自社ブランドに切り替え、販売していました。
アシックスの2023年12月期連結決算では、ランニングシューズを扱う部門の売上高が全体の半分を占めた反面、野球用具を含む部門は6.3%に留まりました。収益性の高い主力のシューズに経営資源を集中させる狙いがあると想定されています。
アシックスは、「自社の事業のポートフォリオ(商品構成)を見直した結果、販売終了の判断をしました」と説明しました。
アシックスは現在、米大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手など日米のプロ野球選手11人と契約を結んでいますが、今後はシューズのみの契約に切り替える方針です。
野球というスポーツは学校の体育の授業でもなかったので、どんなブランドがあるのかも疎いのですが、アシックスのマークは見たことがあります。
もしかしたら、近年言われている野球離れで、野球用具の購入が遠のいたことも、アシックスが撤退を決定したことに影響したのかもしれませんね。
私の1番下の従兄弟が、「ずっとテニスをしていたけど、本当は野球がしたかった」と言って、大学では野球部に入ったそうです。
従兄弟のお父さん、私の叔父さんが、「野球の道具は高くて、お金が凄くかかるし、困っている」と言っていたことも、この記事で挙げたことでしょうね。
野球は昔から人気のスポーツです。確かに道具が多いイメージはありましたが、野球をしたくても、できない子を出さないために、今後この問題も野球業界を上げて、取り組んでいくべき課題ですね。
参考サイト
https://www.instagram.com/pyrus_baseball?igsh=MTA0b3A4cTRqN3I5bg==