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ママのための化学教室-11: ひょんなことから「塩麹」

生きる基本は「食」と「人」

自粛生活で、うちの中にいても何もすることがなく、人にも会えず、次第に食生活も単調になってきていませんか?

この際、簡単な手作り調味料に挑戦してみませんか?

仕込んでから、日々変わりゆく麹のお世話と
いざ口にするときへの期待感。

そして何より、こんなこと試してみようかなという好奇心。

実際、口にしたときの満足感はとてもワクワクします。

さらにそのことを、誰かに話して盛り上がるのも
楽しいひとときです。

お互いの、「こんなことしたよ」に
ひとしきり笑いが出るとしめたものです。

ハーブファスティングクラブを通して、仲良くなった東北在住の友達から教わったのが、ちょっと変わった「玉葱入り三五八(サゴハチ)作りの塩麹」

基本は、「塩: 麹: 蒸し米 = 3 : 5 : 8」の割合で混ぜること。
蒸し米は、「普通に炊いたご飯」で、「雑穀などが入っていても」OK

送ってもらった写真は、こんな感じ。
意外にしっかりした感じです。

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せっかくなら、まだ見ぬ噂の塩麹にも挑戦することに。
先の塩麹と区別するために、こちらは「シンプル塩麹」と呼ぶことにします。

塩麹作りに挑戦

今回の塩麹作りには、乾燥麹を使うので、戻す作業が入ります。
生麹を使う時は、この工程は不要です。

【器具(共通)】
* 包丁、まな板、おろし金(必要に応じて)
* 塩麹のもとを入れるガラス容器。(塩を入れるので、金属だと錆やすくなります。口の大きなものの方が使いやすいでしょう。)
* ボール、寿司桶(仕込む材料が全部入る大きめのタッパでも可)
* 計量カップ
* 軽量はかり
*  木べら、スプーン

【材料】
麹は、鶴味噌醸造株式会社の米麹(精米(国産)、麹菌)の乾燥品を使用。購入時に、生麹か、乾燥麹か確認して下さい。
塩は、グリーンコープ生協海水塩「なぎさ」。天然の塩であればなんでも構いません。

◆戻し麹(1)
* 乾燥米麹    500 g(グラム)
* 水(60℃以下)  500 mL

◆シンプル塩麹
* 生麹(戻し麹†) 200g
* 塩      70 g
* 水(60℃以下) 250 mL

◆ 玉葱入り三五八作り塩麹
* 戻し麹†        350 g
* ご飯(炊き立ての時は冷まして) 150 g
* 塩 (麹+ご飯の10%)     50 g
* 玉葱※       1玉(165 g)
※好みで、擦り下ろしでも、みじん切りでも

【作り方】
◆戻し麹(ア)
1)乾燥米麹 500 G(グラム)に、水(60℃以下)を  500 mLをよく混ぜる。
2) 濡らしてしっかり絞ったタオルを寿司桶の上から被せて乾燥防止と虫などが入らないようにして、1時間ほど室温で放置して、水分をつわせてから次の作業に入る。

◆シンプル塩麹
1) 生麹(戻し麹†) 200G に、塩 70 g を丁寧に揉み込んでおく。

2) (1) に、(60℃以下の)水250 mLを加え、直射日光の当たらない部屋に置いて、1日一回はまぜて、室温で1〜3週間発酵させる。

甘酒のような香りがしてきたら、冷蔵庫へ。

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◆玉葱入り三五八作り塩麹
1) 生麹(または、戻し麹†) 350 gに、ご飯(炊き立ての時は冷まして) 150 gを入れ、丁寧にほぐして混ぜ合わせます。

2)(1)に、適当な大きさに刻んだ(擦り下ろした)玉ねぎ 一玉分を加えます。

好みで、擦り下ろしでも、みじん切りでもお好きなように。さらに、塩 (麹+ご飯の10%) 50 gを入れ、我が家のご飯は、雑穀の他に小豆も入れて炊きます。実は自家製の梅干しも、5合に1個ですが入っています。

3) 軽く蓋をしたら、直射日光の当たらない冷暗所におき、1日一回綺麗なスプーンで全体を均等にかき混ぜ、室温で1〜3週間、発酵させます。

玉ねぎの匂いが落ち着いて、甘酒のような香りがしてきたら冷蔵庫へ。

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※ 発酵期間は、室温でかなり変わります。連日30℃を超えるような猛暑の場合は、エアコンで室温調整している部屋に置くか、早めに冷蔵庫に入れて1日一回かき混ぜて、発酵状態を見てください。逆に冬の寒い時期には3週間かかるかもしれません。


【食べ方】塩麹を絡める目安は、絡めたいものの10%で使用します。
* 肉に絡めてたり、魚に絡めて、焼いて食べるのも美味です。
* 食べやすい大きさに切った、野菜や果物に絡めておくと、軽い浅漬けのようにもなりますので、日持ちします。
* 炒め物や味噌汁、スープへ少し落として。
* 食べるときに、肉や魚につけて食べるのも美味しいです。


これは、熟れすぎ一歩手前のトマトを切って、塩麹を絡めておいたものを、冷奴に青紫蘇の千切りと乗せて、つゆをかけたものです。

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ただの塩で締めるよりも、塩気がキツくなくて、まろやかな塩麹トマトがいつもと違う味わいです。

★三五八(サゴハチ)って何だろう

三五八(サゴハチ)でweb検索をかけると、三五八漬け(さごはちづけ)がヒットしてきます。

これは福島県、山形県、秋田県の郷土料理で、麹で漬けた漬物のことで、漬床に塩、米麹、米をそれぞれ容量で3:5:8の割合で使うことに由来ているとか。三五八の素も市販されています。(ウ)

下記の他にも、パッケージはさまざま。愛されてますね。

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先の友人によると、358麹は東北の名物で、とても身近な食材だそうです。

「昔の人は、麹を作り、なんとか 塩で持たせ ご飯を足して 生活食に馴染ませていたのだと思います。ご飯を加えると 優しい甘さと麹の量を減らす事で いろんな所で麹の活用を増やしたのだと思います。
漬け物に麹も使い、甘酒にもまわし、味噌造りにもまわせる貴重な麹。麹にするまでの工程も時間がかかるので 大切だったのです。
そこへ大量のご飯を入れることで麹発酵で、他の食材へプラスして 358を楽しんでたのだと想像します。
肉や魚と相性も良いし、糠床みたいな感覚で出来た野菜も漬けて食べたのでしょう。万能調味料。」とは、友人の言葉

九州には、残念ながら、このように麹そのものに名前をつけて愛でる文化はないように思います。もちろん味噌も醤油も作られていますし、日本酒や焼酎だって。熊本には、日本でただ一つの味噌の神社も存在します。

今回私の作った塩麹は、358麹と種類は違いますが、実際に358作りの塩麹を作ってみて、九州は、気温と湿度が高い気候のせいで、野菜の生育期間も長いし、麹もそれなりに増えるのかもしれません。

なので麹をここまで貴重品として大事に使う認識は湧きにくかったのかもしれないと思いました。漬物も、どちらかというと乳酸発酵しているものが多い気がします。これはあくまで私個人の印象です。

塩麹作りから見えた、地域文化の違いというのも楽しいですね。

みなさんのお住まいの地域の麹について、教えていただけると嬉しいです。

【参考資料】 

ア) 「魔法の糀レシピ」シンプル塩麹はこちらのレシピから

イ) 「麹屋もとみや」さんの塩麹の作り方について、写真付きでわかりやすく紹介

ウ) フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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