開発援助か社会運動か : 現場から問い直すNGOの存在意義 / 定松栄一著
( 2017-04-01 Soka Book Waveより)
本書は、筆者の、国際開発に15年間奔走してきたネパールでの国際開発の経験と、そこから感じた筆者の心情を熱烈に物語った一冊である。
政治的に中立な立場をとらざるを得ない国際協力機関NGOがもつ特質は、時に人道支援の邪魔をする。支援の限界や制限を感じる中で、果たして、支援することが当の人々の望みになっているのか、この支援の在り方で現地の人々の状況は本当に改善するのか。
国際開発という分野で現場に立つ一人の人間の葛藤が描写されていると同時に、真の人道支援のありかたが問われている。
私は、この本の内容の場合、NGOの支援を発展途上国に住む市民が享受することで生活再建につながることを考えるよりも、支援なしに、最終的に彼らの自立した生活を、彼ら自らの行動で作り上げる社会をつくるとするならば、まずは彼らの現段階の問題に対する意識改革が重要だと考える。
その意識改革を促すアクターのはたらきの是非を問いたい。
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