健康になろうとしているぼくの、そこそこ健康な一日
二度寝しないコツは、パートナーを玄関先で見送ることなのだ。
たぶん。
よほど、具合を悪くしていなければ。
仕事へ出かけるパートナーに手をふって、それから、鉄瓶で白湯を沸かす。
すすりながら、何にもしない。
本を読むことはある。今は、『貧乏サヴァラン』が楽しくて仕方ない。
大抵は、ぼんやりしている。
ぼんやりするのに飽きると、朝食の用意をし始める。
朝食といっても、簡単なもの。
食パンにマヨネーズを塗り、ベーコンを乗せ、卵を乗せ、塩こしょうをふり、オーブンレンジのトーストモード。
(食パンは冷凍しているので、レンジで解凍し、卵がこぼれないように、スプーンでぎゅっぎゅと全体をへこませる。)
また、すすりながら待つ。本を読みながら。
白湯のおかげなのか、目は覚めるし、食欲も出る。
一日に三食必要なのかは、人によるけれど、ぼくには必要らしい。
レンジを覗いて、卵が玉子になったのを確認して、朝食にする。朝食といえるほどの代物ではないにしろ。
黄身は、固焼きがいい。そう、舌は思っているのに、頭の中では、平目の刺身はおいしいだろうか、と考えている。『貧乏サヴァラン』の話だ。
顔を洗う等して、短歌(日課)を詠んで、まだ、9時にもなっていなかった。
ぼくにしては、上出来じゃないか。
暑くならない内に、買いものをした。
氷に、牛乳。週末、珈琲屋になるのに、必要なのだ。
だから、暑くならない内がいい。ぼくには、車がない。
マリア、もとい森茉莉は、夏場にダイヤ氷を必要としていたけれど、これも、ダイヤ氷のひとつなのかしら。
12時ごろになると、おなかが減った。健康的だ。
だれかによれば、ぼくが喜んでいるひとつひとつが、些末なことかもしれない。
でも、障害者手帳に記されている等級が2級であることを、確かめては落ち込むぼくにとっては、とても喜ばしいことなのだ。
昼食をすませると、ぼくは、書店に行った。書店、といっても、そこで売っている、レモングラスの匂いがするマッチが欲しかったのだ。
ポイント数を確認すると、900円分貯まっていた。いつのまに。
会計で、端数を支払うのにしょっちゅう利用しているけれど、それでも900円……。
この機会に、パッと使ってしまおうかしら。もちろん、本に。せっかくだから、税込み900円以内がいい。
講談社文芸文庫や、光文社古典新訳文庫は、少々値が張る。
と、なると……。
ぼくは、ちくま文庫の棚で、千種創一の『砂丘律』と、森茉莉の『紅茶と薔薇の日々』を見つけた。
どちらも、捨てがたい。
……。
考えておくことにする。
この記事が参加している募集
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。