「ぼくの、一部の話。」
ヘルプマークがない。
帰りのバスの中で、気付いた。
リュックサックに、いつもぶら下げているのに。
ふいに、目についたときには、カラビナだけが付いていて、その先がなかった。
ない……。
そもそも、いつからなかったんだろう。
本当に、今日なくなったんだろうか。
その日は、あちらへこちらへ行ったわけじゃないから、探そうと思えば、探せるけど。
でも、ぼくが気付かなかっただけで、もっと前から、なかったのかもしれない。
ない……。
でも、もし今日だったら。
家の中で落とした、とか?
落とすというか、外れたというか。
そんなことがあれば、いいけれど。
家に帰った。
あった。
玄関の戸を、開けたところで。
人だったら、腰をかけているところに。
まるで、待ちかまえていたように。
たしかに、出かける前に、そこにリュックを置いていたけれど。
どうやって外れたの。
まあ、いいか。
あってよかった。
すぐ付け直せる構造になっているので、そうしたけど。
また、外れるとも限らない。
カラビナ付きのパスケース? は、Amazonで買った。
調べた。
当時、どうやって調べたのか、思い出せなくて、同じものを探し出せない。
まあ、いいか。
ヘルプマークは、ただリュックにぶら下げているだけで、今のところ、必要になった場面はないけれど。
市役所で受け取ってから、もう3年くらいは経った。
失くしたとしても、またもらえたり、もしくは、買ったりできるんだろうけど。
でも、ぼくはこれがいい。
ずっとそばにいてくれた、これが。
ときどきは、気にした方がいいことが、今回わかったけれど。
ぼくは、「これ」に、思ったより愛着があったのだな、と思った。
外にいるとき(つまり、リュックを背負っているとき)は、肌身離さず持ち歩いているから、当たり前か。
世の中には、このマークに対する偏見も、たくさんあって。
今のところ、その悪意にさらされたことは、ないけれど。
県外に行くときは、まだ、少し怖い。
この辺りは、人が少ないけれど。
だから、母数が少ないほど、「悪意」も少なくなるけど。
人が多ければ、多いほど。
うん。
ぼくは、再来月に、東京に行く。
どうしようかな、と思う。
付けたままで、大丈夫かな。
でも、まあ、そんなことも忘れて、リュックを背負うことになりそうだ。
外れたことに、気付かないくらいだもの。
ぼくの、一部の話。