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異世界ファンタジーにおける設定盛り込みすぎ問題
異世界ファンタジーが全盛の今、主人公が異世界転生し、
さらに悪役令嬢で……と、さまざまな設定を
盛り込んだ作品が増えていますよね。
異世界ファンタジーがまだ珍しかった頃は、
そこまで多くの設定を盛り込まなくても
オリジナリティを出せたと思います。
しかし今では単に「ヒロインが異世界転生する話」だけでは、
既存の作品と差別化するのが難しくなっています。
そこで、タイムリープを加えてみたり、前世の記憶を持たせてみたりと、
さまざまな要素を取り入れることで
独自性を出そうとしている方が多いように思います。
確かに、多彩な設定を加えることで物語の個性が強まる側面はあります。
それに商業の作品でも、あれとこれとそれと、
と設定盛り合わせセットみたいな、
読者を惹きつけるフックとなるものをたくさん詰め込む傾向はあります。
しかし、設定を次々に盛り込んでいくと、話がごちゃごちゃしてしまい、
一つ一つの要素を十分に掘り下げられず、
消化不良を起こして、結局はわかりにくい、
個性の弱い作品になってしまいます。
これを私は、「異世界ファンタジーの特殊設定盛り込みすぎ問題」
と呼んでいます。
盛れば盛るほどいい、というわけではありません。
1つの設定や売りを入れるごとに、
その設定を最後まで貫き通さなくてはいけません。
前世の記憶があるなら、その記憶がちゃんと話に絡んできて、
最後には決着をつけてほしいと思います。
タイムリープもそうです。
ただ単にタイムリープするのではなく、なぜタイムリープできるのか、
そしてタイムリープする理由など、その世界観や仕組み、必要性などが
ちゃんと書かれていないと、「なんとなくタイムリープ」になってしまい、
読者は白けてしまいます。
あれもこれも、と設定をいくつか盛ることはいいのですが、
どの設定が一番書きたいことなのか、
それを骨子として、他の設定は捨てるとか、
もしくは他の設定は簡潔にするなど工夫が必要です。
でないと、どの設定も消化不良で、結局どんな話だったっけ?
ということになりかねません。
まずはメインの本筋の設定を決めること。
例えば上記の例で言うなら、
メインは「前世の記憶を持つ悪役令嬢」なのか、
「タイムリープをしてヒーローを助ける」ことなのか、
どちらかを本筋にしたほうが書きやすくなります。
「タイムリープ」と「前世の記憶」を両方いっぺんに書くのは、
相当な技量が必要になってくるんですね。
そんなわけで、「盛り込みすぎかも」と感じたら、
自分でどれか1つ設定を捨てられないか、まずは考えてみてください。
捨てられない場合は、もっと簡単なものに、メインを邪魔しない程度に
薄い設定にできないか、工夫してみてください。
メインの設定、強い設定は一つのほうが物語は書きやすいはずです。
その他の設定は、あくまでもメインを引き立てるものとして
活用したほうが、すっきりとして、
より読者に強い印象を与える作品になります。
料理のフルコースでも、メインはしっかり決まっていますよね。
魚か肉か。
魚も肉もその他も全部がギラギラとメインを張っていたら、
ちょっと胸焼けしてしまいますよね。
それと同じです。
お客さんが食べやすいように、メインが何かわかるように、
メニューを組み立ててください。
とはいえ、自分の作品が「盛り込みすぎ」なのか、
「設定が活かしきれている」のかを客観的に判断するのは難しいもの。
設定を削るべきか、それとも活かし方を工夫すればいいのか、
一人で悩んでしまうこともあるでしょう。
そんなときは、プロの視点からアドバイスを受けるのも一つの方法です。
私は、アマチュア作家の方の小説を講評し、個性や強みを
活かしながら作品をブラッシュアップするお手伝いをしています。
「この設定で大丈夫?」「もっと面白くするにはどうすれば?」
と悩んでいる方は、ぜひ講評サービスを活用してみてくださいね。
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