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【感覚統合って結局なに?】ピラミッドから見えてくる感覚統合の本質について解説します!

Ahneは、おうちでできる療育のご提案や、講義型の学習サービス、発達・療育についての個別相談などを行っています。

皆さんこんにちは、Ahne代表・療育作業療法士のかいとです!

本日のテーマは感覚統合の本質についてです!


皆さんは「感覚統合療法」って、ご存知でしょうか?

お子さまが療育に通っておられる方や、療育に携わっている方なら、ご存知の方も多いかもしれません。

療育の現場ではよく耳にする単語ですが、では皆さんは、こんな質問にスラっと答えられるでしょうか?


「感覚統合って結局なに?」


ムム……となってしまう方も多いのではないでしょうか。

今日はそんな「感覚統合の本質」について、感覚統合のピラミッドを見ながら解説していきます。

ぜひご覧ください!




おさらい:感覚統合ってなに?

感覚統合とは、

  1. 視覚や聴覚、触覚などのさまざまな種類の感覚を、

  2. 脳で適切に受け取り、整理し(統合)、

  3. その感覚をもとに次の適切な行動を選択する

という一連のプロセスのことです。

難しいものごとではなく、私たちの身体や脳でも日常的に行われているものごとなのです。

逆にこの感覚統合がうまくいかないと、日常生活に支障が出てしまうことになります。


感覚統合の概要については、過去に記事でご紹介しています!


また、より詳しい内容を解説した書籍も出版しております!


この「私たちの活動は、さまざまな感覚をうまく統合することによって営まれている」という考え方を活かした療法が、感覚統合療法なのです。

感覚統合療法では、患者さんのどの感覚に問題があって、困りごとが発生しているのかを見極めて対応します。

たとえば、

「周囲の音が気になり話が耳に入らない(聴覚)」
「特定の衣服の感触が気持ち悪くて着られない(触覚)」

といった困りは、カッコ内の感覚統合がうまくいかないことによって発生していることが分かりますね!


感覚統合のピラミッド

感覚統合の考え方を知るうえで必須なのが、感覚統合のピラミッドです!

「感覚統合」と検索をかけて、画像で出てくるたくさんのピラミッドを見かけた方も多いのではないでしょうか。

感覚統合のピラミッドは、下のようなものです!

感覚統合のピラミッド

感覚統合は、このピラミッドの下の段階にあるものから、順番に積み重ねていく形で(緑から黄色、オレンジへと)発達していきます。


これを見て、

「なるほど、下の基本的な感覚から積み重ねていくと、最終的には社会性の発達につながるのか~」

と、なんとなくは理解していただけるかと思います。


ですが、それだけではもったいない!


なぜ感覚統合の理論が「ピラミッド」を軸にしているのか、その本質が分かると、お子さまの困りごとに対する理解度がぐんと上がるはずです!


ピラミッドが示しているのは因果関係

先ほど、感覚統合はピラミッドの下の部分から、順番に積み重ねる形で発達していくと説明しました。

ここで注意したいのは、ピラミッドが示しているのは単なる発達の順番ではなく、因果関係である、ということです!


わかりやすく例を考えてみましょう!

たとえば、ピラミッドの3段目にある「注意の持続」に注目してみましょう。

その下には、「バランス」や「眼球運動」がありますね。

皆さんはバランスが悪い場所で、注意力を持続させることができるでしょうか? 

また、もし目をうまく動かせないとなったら? 周囲の状況をうまくつかめない中で、集中するのは難しいのではないでしょうか。

このように、下の段階の感覚統合がうまくいっていないと、上の段階もうまくいかないという因果関係を、ピラミッドは示しているのです!


問題発生場所がピラミッドで見えてくる

先ほど、「注意の持続」からピラミッドを一段階さかのぼって、「バランス」と「眼球運動」に注目しました。

これを、さらに一段階さかのぼってみましょう。


その下の段階には、たとえば「触覚」「固有受容覚」「視覚」といった感覚が並んでいますね。

触覚は、物に触れて手触りや素材などを識別する感覚です。

視覚は、目でものを見る感覚です。

固有受容覚は、筋肉や関節を通じて、自分の身体の位置や状態を把握する感覚です。


一見すると、バランスや眼球運動に「触覚」は関係なさそうに見えます。

それよりも、固有受容覚で身体の状態を知ったり、視覚で周りを見たりすることの方が重要そうです。


ですが、触覚に問題が起きていた場合、どんな困りが発生するでしょうか?

苦手な感触の服を着ていると、もぞもぞして気持ち悪く、バランスを取るどころではない、目線もそちらに気を取られてしまう、といった困りが発生するかもしれません。

結果として、触覚の問題が、バランスや眼球運動に影響を及ぼし、ひいてはそれが注意の持続ができないという困りにつながっているかもしれないのです!


感覚統合のピラミッドは、因果関係を示していると解説しました。

その因果関係を辿っていくことで、思わぬところにひそんでいる問題にたどり着けるのが、感覚統合の理論のすごいところなのです!


バランスの悪いピラミッド

感覚統合の理論がピラミッドを軸に考えられているもう一つの理由として、ピラミッドの積み重ね方の概念を取り入れているというものがあります。


先ほど、感覚統合は下の段階から順番に積み重ねていくと説明しました。

では、下の段階が不十分だと、まったく上には進めないのでしょうか?

答えはいいえで、形が不格好なピラミッドができていく、というイメージが近いものになります。


ピラミッドは、一つひとつのブロックが不格好でも、なんとか積み重ねていくことができるはずです。

ですが、そのピラミッドは、バランスが悪く不安定なものになってしまいます。


これが、感覚統合がうまくいかないお子さまの中で起きている問題であると考えると、分かりやすいかと思います。

ピラミッドで下の段階の感覚統合の発達に凹凸があると、上の段階は不安定になってしまいます。

そこからさらに上の段階の感覚統合を積み重ねていく、ということを続けていると、結果的に、最上段の情緒・社会性の発達が不安定になってしまうのです。

ですから、最終的な目標である情緒・社会性の発達のために、因果関係を見極めて、下の段階の感覚統合からサポートをしていくというのが、感覚統合療法の考え方の本質となるのです!


さいごに

今回は、「なんとなく分かっているけど、うまく説明できない……」となりやすい、感覚統合療法の本質について解説してきました!

感覚統合のピラミッドは因果関係を示していて、それをもとにサポートの方針を考えていくという本質について、理解を深めていただければ幸いです。


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最後までご覧いただきありがとうございました!


【この記事を監修した人】
かいと

Ahne代表。療育作業療法士。
こころの問題についての知識も豊富で、「心理×作業療法」の組み合わせで心身の両面を支援できることが強み。様々な療育現場での支援経験アリ。


【この記事を編集した人】
リル

Ahneライター。書籍編集者。
note記事のほか、Ahneオリジナルの教科書を鋭意制作中。



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