「菌活」農業、始めました 未来へ向けて有機栽培への第一歩
朝の食卓にはヨーグルト「R1」、夕食後は「ヤクルト400w」。「健康オタク」を自認する妻は腸内細菌の善玉菌が大切だと、「腸活」に余念がない。お陰でがん化するリスクがある大腸ポリープを2度切除したが、いたって健康を保っている。
うどんこ病、べと病、菌核病、灰色かび病、紋枯病、かいよう病、黒点病…。農作物はウイルス、細菌、菌類などの微生物によって、さまざまな病気にかかる。対処するには農薬散布しかない、と思っていた。
病気と害虫。同じ場所で、同じように育てても差異が出る。農業を始めて4年、「成育不良の株は病虫害に侵されやすい」と気付く。つまり農作物も「健康」が大切だと。
農業は土づくり
大規模農家の先輩から「農業は土づくり」とアドバイスされた。確かに農業大学校でもそう習った。「土づくり」に関するサイトを読み漁った。なるほど、奥が深い。中でも自分に欠落していたのが「土壌微生物」だった。
これまで、病気の原因となる「病原菌」ばかり気にしていた。一方で、病原菌の働きを抑制したり、有機物を分解して栄養分を吸収しやすくしたりする「有用微生物」も土壌にいる。殺菌剤の土壌散布は病原菌だけでなく、有益な微生物も殺してしまっていた。
手始めは光合成細菌とえひめAI‐2
「菌活」を始めた。土壌微生物資材はかなり高価。なので、購入した原液を培養できる「光合成細菌」と、愛媛県産業技術研究所が開発し、作り方を公開している「えひめAI‐2」から手を付けた。
光合成細菌の培養。4ℓのペットボトルが5本、軒先に並ぶ。「飲兵衛の爺さんみたい」と娘に言われようと、「これが経済的」と愛飲していた焼酎のボトルが、ここで役立つとは。
「えひめAI‐2」はドライイースト、ヨーグルト、砂糖、納豆、水で作ることができる。ドライイーストを購入し、ほかは家にあった材料。保温は妻愛用のヨーグルトメーカーを使い、35℃をキープ。ともに1週間以内で完成しそう。
健康な野菜 農薬、化学肥料削減
慣行農業を西洋医学、有機農業を東洋医学に例える記事を読んだ。言いえて妙。人体と農作物。共通項があり、「菌活」は「腸活」に通じるかも。
持続可能な農業の「鍵を握る」とも言われる土壌微生物の活用。健康な野菜を育て、農薬や化学肥料の使用量削減につなげたい。ほかの有用微生物も安価になれば、と望みつつ、身の丈に合った所から、未来に向けての一歩を踏み出した。
あぐりげんき