【経営者インタビュー#4】美意識が織りなす新たな日本の味
アガットイノベーションと関係の深い経営者に、その職業を選んだ経緯や、起業・独立の苦悩などなど…仕事への想いを語っていただく『経営者インタビュー』企画。
第4弾は株式会社ドロム代表取締役社長 齋藤悠さんです !
日本人の幸福=季節感と食べ物
—まずは齋藤さんが飲食業界での起業を選ばれた理由を教えてください。
昔から音楽が大好きなんです。常に生活の中に音楽があるような感覚でしょうか。同じように、南米やアメリカの人々も、音楽がコミュニティの中心にあって、小さな子供もおじいちゃんもおばあちゃんもみんなで音楽を楽しんでいる。そんな美しい光景をたくさん見てきました。こんな風に、世代を問わずに楽しみを共有できるモノが日本にもあったら素敵だなと考えたんです。
しかし日本人にとって「幸福=音楽」ではないなと。海外では、音楽がないと生きていけない!と語る人も珍しくないのですが、日本ではそこまでの熱狂熱心さはあまり見受けられません。
—確かに、私も音楽を聴くのは好きですが、あくまでも娯楽の範囲内ですね…
そうなんです。カラオケで十分楽しいし、別に音楽じゃなくてもいい。
では改めて、日本人が幸せを共有できる要素ってなんだろう?
たどり着いた答えが『季節感と食べ物』でした。「この筍美味しいね」「見て!桜綺麗だよ」といった共感の方が日本人に合っていると気が付きました。
—『日本人の幸福=季節感と食べ物』という考えが原点になったのですね。
—その後、齋藤さんはクレープスタンドPÄRLA (パーラ)を運営する株式会社ドロムを設立。本格的に飲食業への道を歩み始めました。
私が飲食業を始めたもう一つの理由に「料理人の労働環境の改善」と「日本生まれの食を世界へ発信したい」という思いがあります。
例えば、海外から流行ったパンケーキやポップコーンといった食べ物は、商社がマーケティングの力で日本人に浸透させたという歴史があります。同じように、日本生まれの食べ物を私達が、世界に発信してみたいという想いがあります。
—齋藤さんが飲食業を始めて一番嬉しかった、やりがいを感じた出来事はありますか?
PÄRLAは”EAT SWEETS,&WORK HARDER!”をキャッチコピーとして掲げています。これは「労働者は疲れた時に甘いものと酒を求めるだろう。」といったコンセプトに基づいています。PÄRLAの本店をオープンしたばかりの頃に、ゴミ収集車を運転していた男性2人組が、お店の前に車を止めて「クレープ2つ!」と注文してくれたことがありました。「おじさん、ありがとう。甘いもの食べないとやってられないからね!」なんて言葉を交わしたのが一番感動した出来事です。
—本当にコンセプト通りの状況が目の前で起きたのですね。
—コンセプトは齋藤さんが考えられているのでしょうか?
チームで話し合って決めています。僕らの仕事って、基本的にストーリーを作るところから始めるんです。新しい店舗を作ることが決まると、まずは「この店は、何時代にどんな人がどういった理由でどこに作った店で…」といった背景を想像して1つのストーリーを組み立てていきます。そして、完成したストーリーを料理・建築・アートディレクターの各チームと共有して、具体的な商品や店舗のデザインを作り上げていくという流れです。
もちろんストーリーは完全非公開ですが、PÄRLAの本店や銀座店はそれぞれのストーリーに基づいて外観を制作しています。
とても手間のかかる作業なので、ドロムが手がける全てのお店にストーリーを作っている訳ではありませんが、チーム全員に明確な共通認識が生まれるので仕事は進めやすいですね。
—齋藤さんの展開されている飲食事業といえば、
昔ながらの手持ちクレープ×フランス料理人(PÄRLA)
世界一の靴磨き職人×barカクテル(THE SHOESHINE & BAR)
中華料理の名店×チャイニーズファストフード×ヴィーガン(Chipoon)※現在閉店
など多様な要素の掛け合わせ、コラボレーションが大きな魅力の一つです。
コラボレーションという事業展開の方法に着目されたきっかけがあるのでしょうか?
企画当初からコラボを狙っているという訳ではありません。例えばChipoonの場合は、私が西岡シェフ(中華料理の名店「レンゲ エキュリオシティ(Renge Equriosity)」のオーナー)のお店の常連で、いつも締めに野菜と塩だけで作った特別なラーメンを食べていたんです。これが本当に美味しくて、いつか商品化してお店に出したいね、なんて話をしたのがヴィーガンラーメンの始まりです。
The Shoeshine & Barも長谷川さん(シューラウンジ「Brift H」代表)と、靴磨き×飲食の構想を練っていた時に、折角ならただの飲食店ではなくBarの方が面白いんじゃない?という思いつきからスタートしました。靴を磨いている間にお酒を飲めたら、紳士な世界観がマッチして素敵じゃないかと。
共通して言える事は、コラボしている職人・料理人は天才ばかりです。私が無茶振りを振っても、その制限の中で柔軟にかつ、楽しそうに対応してくれます。
—日常の繋がりをきっかけに、齋藤さんの元へ多方面からお話が舞い込んでくることで、現在のコラボレーションというスタイルが形成されているように感じました。
私自身、社交性があるタイプではないので、自主的に交流の場に行くことはほとんどありません。自分の好きなところに行っていたら、意図せず今の形になっていました。
—PÄRLAは神宮前・表参道、そして昨年3月にオープンした東京駅の計3店舗を構えています。出店場所を選ぶ際のこだわりはありますか?
そうですね…色々と失敗を経験した上で、やはり人のトラフィックが多い場所が良いなと思っています。あとは神宮前の本店は公園のすぐ近くなので、天候要因にものすごく左右されるんですよ。天候が悪い日は公園に来る人が減ったり、西陽が強すぎたり。笑
なので、なるべく人通りが多くて、天候に左右されない場所がいいなと最近は思っています。
—PÄRLAでは今年の2月から焼き菓子のオンライン販売がスタートしました。PÄRLA創業から10周年を迎えた今、新たに焼き菓子の販売を始めた理由を教えてください。
メインで販売しているクレープは、どうしても美味しさを保てる限度が1〜2時間なので、長くPÄRLAの味を楽しんでいただけるような、お持ち帰り商品を作りたいと考えていました。
—焼き菓子については、構想から8年かかったというお話もありますが、特に苦労した点はありますか?
レシピ自体はすんなりと決まったのですが、梱包する箱のデザインやオンラインサイトの設計といった細かな部分に時間がかかりました。こだわりを詰め込みたい気持ちと、事業としてスピーディーに進めなくてはならないという葛藤がありました。
なので、この10年間の学びは「こだわりは一回捨てて、とりあえず動いてみる」ですかね。どうしても美意識が勝ってしまうので。
—最後に、焼き菓子をお家で召し上がる方へ、齋藤さんおすすめのお供のお酒はありますか?
ウイスキーとか、ブランデー、シャンパンですかね。PÄRLAの焼き菓子はとても濃厚で、菓子自体にもウイスキーやラムを使っているのでお酒のお供にはぴったりだと思います。
本日もご覧いただきありがとうございました。
インタビューの後半でお話のあったPÄRLAの焼き菓子は、こちらのサイトからご購入いただけます!齋藤さんおすすめのお酒と共に、ぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか??
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