佐渡ヶ島へ
久しぶりに新潟で「劇王」というイベントで演劇作品に出る事になり、折角だからそれの後に「出会った人と作っていくぜ新潟編」をやろうと思った。
いろいろ聞いたりしていると佐渡ヶ島が面白そうなので、演劇が終わったら移動しようと。今回は演劇の期間もあるので佐渡ヶ島は3日間と短い。
少しこの新潟での演劇の事も書いておく。
まず仙台在住の劇作家大河原さんの元、俳優としておれ、成田明加さん(ナスカ)、中山侑子さんで「やめる家族」というオリジナル戯曲をやった。
大河原さん仙台、ナスカ長野、おれと侑子さん東京というバラバラの場所だったので稽古は全部オンライン(オンライン全然集中できねぇ〜(笑))
本番前日に始めて対面で会って稽古するという今までやった事ない進め方。更にバスが渋滞にハマり十時間の拘束状態で新潟に着いた‥身体バキバキです。
まぁ案の定本番おれは台詞とんだりして頭ごっちゃになりながらやっていたが、ナスカと侑子さんは流石だね。まるでおれがこうなるのが分かっていたように堂々として助けてもらった。
こんなんなったけど久しぶりの演劇は楽しかった。
余談だけど、この時が家族の話しだったためかナスカはいまだにおれのことを「おにいちゃん」と呼ぶ。始めはやめてくれとも思ったが、ずっと呼ばれていると慣れてきて今では受け入れて「おにいちゃん」として長野にいった時など会ったりしてる(笑
演劇も終わり、いざ佐渡ヶ島へ。
フェリーに乗り佐渡ヶ島に着く。3日間と短い中で何が出来るかなんとなく考えていて佐渡金山の金から発想して”CR佐渡物語”を作ろうかなぁとか思ってたんだけど‥なんだかなぁ。
とりあえず佐渡ヶ島在住の人を紹介してもらっていたのでその人に連絡する。
「佐渡ヶ島に着きました。今日は何してるんですか?」
「私ははんぎりしてます」
というメッセージが届く。え‥はんぎりって何?
わからないまま続けざまに
「今日はここに夕方までいます」
という言葉と共にマップが送られてきた。
おいおいなんか面白い展開じゃん!
とりあえずお腹減ったので港近くの飯屋に入り、そこのおっちゃんにはんぎりのことを聞いたら名前は知ってるけど‥みたいな感じだった。
有名だけどよく知らない、いや〜いいねぇ!
おそらくスマホを調べたら出てくるだろうけど、自分の目ではんぎりを確かめたいと思い、送ってもらったマップのピンがさしてある宿根木というところから現在地までを調べたら、よ、よ、よ、よ、、、、
45キロ!!!!!
これは結構な距離だ。
車は勿論運転できないし、バスもあんまり通ってない、う〜んと唸っていたら近くにレンタサイクルショップ発見!
よし!ここでとびっきりスピードが出る自転車を借りよう。
中に入ったら優しく話してくれる店員さんが
「どこまでいくんですか?」
「宿根木というところです」
「え、結構遠いっすよ」
「分かってます。はんぎりの正体確かめにいくんすよ」
「うん?なんすか、はんぎりって」
「わからないっす!だから知りたいじゃないっすか〜」
「はぁ」
店員さんは呆れていたが、そんなん関係ない。もうエンジン入ってしまった。45キロ離れた宿根木までチャリでいく。ヘルメットを被り颯爽とこぎだした。
マップをみながらひたすらペダルを踏む、踏む、踏む。道路が延々と続きいつまでたっても目的地にたどり着かない。おれは何をしてるんだ‥と時には思ったりしたもののそんなんは振り払い、ひたすらペダルを踏む。ケツがだいぶ痛くなってきて、足もパンパンだ。
あ、港が見えてきた。
マップをみるとだいぶ近づいている。あと少しひたすらペダルを踏む。
マップの点がすぐ近くだ、うん?ここかな?
あ〜はんぎりって書いてあるのぼり発見!!
そこには海にたらい舟が浮かんでいて”はんぎり”と書かれた半纏を着てる人達がいた。
お〜〜はんぎりってたらい舟のことだったんか!
半分にきってあるからはんぎりかぁ〜うんうん。
自分の足で見つけるとこんなに感激するもんなんだなぁ。
一頻り干渉に浸って、再度紹介してもらった人に連絡すると、半纏着てる人たちの中にその人はいた。そのAさんという若い女性の方が
「え、自転車できたんですか」
「はい!はんぎりの正体知りたくて」
「は、はぁ」
だいぶ引いているのがわかる、そりゃそうか。
初対面のよくわからないオッサンがこの道のりを車も使わず自転車できて、はんぎりの正体わかって興奮してるのだからなぁ。
でもおれは折角だから絶対はんぎりに乗りたかった
「これ、はんぎり体験できるんですか?」
「あ、は、はい、できますよ」
「乗りたいっす!」
「は、はぁ、じゃあ、〇〇さん〜」
Aさんは半纏着てる人の中から明らかに大ベテランだと思われる〇〇さんを呼んできて、おれをその人にパス。
「よくきたねぇ。じゃあ普通のコースとじっくりコースあるけど、どっちにする?」
「勿論じっくりで!!」
「わかった、じゃあみんないってくるわ。おにいさんこれつけて」
ライフジャケットを渡され、それを装着していざ、はんぎり体験へ。
はんぎりという不安定なたらい舟にベテランのおっちゃんは軽々立ち、おれを促す。
いや〜揺れる、揺れるっていうかすげぇな〇〇さん、微動だにしない。小さな椅子があってそこに座りはんぎりは進みだした。
うお〜海がちけぇ〜
まるで浮き輪つけて海に浮かんでいる時の景色だよ、これ。こんなに小さいのに安定してガンガン進んでいく。
「ここら辺の岩はねぇきれいに層になってんのよ」
こんなようなことを〇〇さんがいって岩場の近くギリギリまでいってくれる。ぶつかる、ぶつかる〜と思っても難なく交わしスイスイ進む。
「これで海みてみな」
〇〇さんが木の箱(底がガラス)を渡してくれる。ただでさえ底がみえる位キレイな海をそれでみるとよりくっきり海の中がみえる。ウニだ〜ヒトデだ〜魚だ〜とついつい声に出してしまう。
「ここは水質がきれいだからいろんな生き物いるんだよねぇ」
〇〇さんの声を聞きながら顔を上げると、空と海が恐ろしく広がっていて、はんぎりというたらい舟の小さな空間で〇〇さんとおれ二人だけの世界のような不思議な感覚になる。
◯◯さんの卓越した漕ぎっぷり、喋りっぷりで堪能しまくったじっくりコースも終わりがきて陸に戻ってきたら、Aさんが待っていて
「どうでしたか、はんぎり」
「いや〜最高ですね、世界広いっすね」
「はぁ」
相変わらず引いている。でもこんなん体験したら興奮するっしょ!
「今日はどこに泊まるんですか」
「決めてないっすね、この辺どっか宿あります?」
「いや、ないですね。私の住んでるところシェアハウスなのでそこでもいいなら」
「いいんすか!ありがとうございます!」
「自転車かぁ‥どうしようかな」
「あ、自転車でついてきますよ」
「いやいや、遠いですよ」
そこで話しを聞いていた〇〇さんが
「じゃあおれの車に自転車積んでいこうや!Aちゃんの家にいけばいいんだろう」
「いやいや申し訳な」
「え、いいんすか!ありがとうございます!」
少し申し訳なさそうにしているAさんを食い気味ではいるおれ。〇〇さんの軽トラに自転車のせてもらいAさんのシェアハウスへ。
そこでAさんとシェアハウスの同居人Bさんと飯を食べにいく。そういえばお互いちゃんとした自己紹介をしてないからここでじっくり話す。
Aさんはコチラに移住していて、いろいろやっており今ははんぎりの船頭の資格をとるため夕方はあそこでずっと練習しているとのこと。
おれの事も話したがなんかピンと来てない感じ。
「寺越さんはどうしたいんですか?」
「おれは驚きたい!驚くためにこれをやっている」
というような質問の答えになっていないような返しをした時に何かわかったような顔をしたAさんが
「佐渡には三人仙人がいます。一人は寺越さんが今日あった〇〇さん、はんぎり仙人です。あと二人います」
「うお、めちゃくちゃワクワクするじゃないですか、なんすかその話し」
Aさんはスマホを取りだし何やらうちこんでる
「マップ送っときました。明日そこにいってみて下さい」
「そこに仙人いるんすか〜いやいや、ワクワクしたいから聞かないっす」
「そうですね、佐渡たのしんで下さい」
そこから全く違う話題で三人で話しながら楽しい夜を終えた。3日間と短い佐渡はここからどういった流れになるんだろうか。
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