アニメ嫌いが涙した、『インサイド•ヘッド2』の魅力
私はアニメを観るのが苦手だ。
非•現実的なところで感情移入できなくなるし、
非言語のコミュニケーションを読み取るのが苦手。
いつのまにかアニメのスピードについていけなくなってしまう。
本は自分のペースで物語が進むけれど、映画館ではついていけなくなったら、置いてけぼりだ。だから私はNetflixでも、もっぱらバラエティばかりを観ている。
だけど最近、アニメが観たいな、と思い始めた。
むしろ、非•現実的な世界に触れたい!
今まではなかったそんな感情がだんだんと湧いてきた。
生活に少しずつ余裕ができてきて、エンターテイメントを受け入れる心の余裕ができてきたのかもしれない。
ふと、平日休みを有効活用したい!と思い立ち、
有給中の夫を誘って映画館に行くことにした。
選んだのは『インサイド・ヘッド2』。
大好きなラジオ「となりの雑談」でサクちゃんがおすすめしていたので、気になっていた。
アニメだし、しかも2話からだし、、と、
躊躇する理由はたくさんあったものの、
" 頭の中の感情がキャラクター化する " という設定に興味が湧いた。
もともと私は、心理学やカウンセリングに興味があり、感情を言語化することの大切さを身に染みて実感していたから、この設定には「その手があったか!」とうなずくしかなかったのだ。
映画館に入ってみると、ディズニー映画とはいえ、大人の姿ばかりだった。
平日の夜というのもあったのだろうけど、想像以上に足を運ぶ大人が多いことに驚いた。
映画が進むと、ほろり涙してしまうシーンや、勉強になるな~なんてシーンも多くて、「なるほど、確かに大人も観るよな」というか、「いやむしろ大人こそ観るべきなのかもしれない」なんて感想を持った。
このnoteでは、アニメ嫌いの私からみた、超絶個人的な「インサイド・ヘッドの魅力」について語っていきたい。
※ここから先はネタバレも含みますので、楽しみにしている方は、観終わってから覗きに来てくださいね。
感想を語りましょう~
魅力的なキャラクターたち
前述したとおり、インサイド・ヘッドは主人公・ライリーの頭の中で、様々な感情のキャラクターたちが物語を進めていくというストーリーだ。
このキャラクターたちがなんといっても、愛くるしい。
ヨロコビ
カナシミ
イカリ
ムカムカ
ビビリ
なんとも単刀直入なネーミング。
とはいえ、さすがディズニー映画だ。
カラフルで、子供でもきっと受け入れやすい、分かりやすい性格のキャラクターたちだった。
2話から見ても内容が頭に入ってきたのは、キャラクターたちの分かりやすさが多分に寄与していたと思う。アニメ嫌いにはありがたい。。
「非現実」であることの重要性
冒頭で、「心理学やカウンセリングに興味があり、感情を言語化することの大切さを身に染みて実感していた」と書いた。
私は自分の考えていることを整理して、言語化するのが苦手で、
しばしば、「なんだか将来が不安」「理由は分からないけど、モヤモヤが止まらない」と、負の感情に支配されてしまう。
大学院生のころや、新卒で就職した際も、心のバランスを崩しがちで、
そのたびにカウンセラーさんや夫に、自分の考えの言語化を手伝ってもらっていた。
そうして他人との対話を通して、自分の考えに向き合っていくうちに、だんだんと考えをまとめるコツをつかんできた。
たいてい、考えていることや気持ちを紙に書き出して、要素を客観視できるようにした上で、考えを整理をしていくとうまくいく。
心理学やカウンセリングの世界では、「認知行動療法」とよばれ、最近ではその効果が認められてか、個人向けのアプリなども続々と出てきているのだ。
感情を整理する癖を身につけてからというもの、とても生きやすくなったと思う。
だから、過去の私のように悩んでいる人に、どうにかして、感情を整理する方法を伝えられたら、とずっと考えてきた。
「カウンセリングというものが文化になったら、もっと苦しむ人は減るんじゃないかな」と。
だけど今回、『インサイド・ヘッド2』をみて、「その手があったか!」と思ってしまったのだ。
現実世界でいくら、「感情を整理しよう!」と説明したところで、
過去の自分がそうだったように、できないものはできないのだ。
しかしこの映画では、”感情をキャラクター化する” という非・現実を通して、すっと表現してしまったのだ。
自分の頭の中には、感情という第三の登場人物たちがいる。
色々なキャラクターがいて、どれも大切な存在。
そして、それぞれのキャラクターによって、対応方法が異なるのだ、と。
「あ、今はムカムカとカナシミが動き出したんだな」とか
「本当はヨロコビが先導したいのに、ビビリが私を止めているんだな」とかいったふうに。
そうやって複雑な感情を、「キャラクターたちの行動の結果」だと、
客観視できるようになれば、私たちはずいぶん生きやすくなるのではないだろうか。
「文化を創りたいのなら、ひとつの物語を創作するのが
いちばん手っ取り早い」
そんなことを実感した物語だった。
「ジブンラシサの花」という罠
「私らしさ」とはなんだろうか。
私がこれまでたくさん悩んだことだ。
就職活動などで「自己分析」という言葉が突然現れ、自分自身をひとことで表さなくてはいけないと、躍起になって「ジブンラシサ」を探した。
自分で決めたように見えて、周囲が育てたも同然な「ジブンラシサ」。その「ジブンラシサ」という花を育てることに必死になって、自分が好きだったもの、大切にしていたことにフタをしていないだろうか。
映画では主人公ライリーが「わたしはいい人」という、これまで大切に育てたジブンラシサの花に苦しめられるシーンがでてくる。
そんなとき、頭の中の感情たちがどんな行動を起こすのか、まだ映画を見ていない人は、一緒に見守ってあげてほしい。
これは、あなたの物語
この映画のキャッチコピーだそうだ。
大人になるにつれ、初めて芽生えた感情たちに、
身体や心がついていかなくなった経験はないだろうか。
もしくは、幼かった自分がした行動や発言を思い出して、
恥ずかしくなったり、逃げ出したくなった経験はないだろうか。
そんな人ならきっと、いつのまにか主人公ライリーに自分を重ねてしまう、そんな映画だったように思う。
アニメ嫌いの私でも、いつのまにか世界に入り込み、
映画を見た翌日も夫とずっと、
「いい映画だったね~」と話してしまった。
もう少し、ファンタジーを生活に取り入れてみたいな。
おすすめのアニメや映画、ぜひ教えてください!