仕事に行けなくなった時に

今回の一言
いつも頑張っていてえらいね。今日はお休みしよっか。

その日は突然やってきました。朝、動けないのです。足が向かない、とはよく言いますが、体が重力に抗って動くことができない、そんな感じでしょうか。
うつ病をお持ち、もしくは適応障害と戦っている、いずれかの経験がある方なら、きっと初めては同じような体験だったのではないでしょうか？
動かなくなってしまった時、何ができるでしょう。良い案があれば、私にも教えて欲しいです。
医師としては、心と体が休みを求めているサインで、そんな時は何も考えずにゆっくり休んでください、というのが、教科書的な答えでしょう。
けど、人は思考を止めることができません。何も考えない、とは、何も考えない、ことを考えている状態だからです。なんだか哲学的ですが。
そんな観念的なこと以前に、どうして自分は休んでしまったんだろう、どうして動くことができないんだろう、こんな自分はいけない、って、堂々巡りに陥ってしまいます。自己嫌悪の連続ですね。
今もまだ明確な答えや対策を見つけられたわけではないですが、８年の闘病で獲得したスキルの中で、役に立ちそうなもの、これだけは何とかしておいた方が良いこと、を今回は書き留めておきたいと思います。

やった方が良いこと

これは、何を差し置いてもまずは職場への連絡です。
これさえできたなら、あなたは、その日やらなくてはいけないことを全てやり終えました。すごいことですよ。私はいつも、連絡、これができなくて窮地に追いやられてきました。
メールでも何でも良いのです。生存の確認と社会的な責任果たすために。
医療従事者はテンプレートで休むことを推奨します。しかし、現実的には、病気のためだけに生きていくわけではなく、調子が良くなれば私達だって、普通に働ける、勉強ができるんです。その居場所を残しておくために、どうにか、どうにか、連絡をすること、これを忘れないで欲しいです。いつもいつも、私もこの一つのことに集中したいと思っています。そしてそれができなくて苦しんできました。
そこで、今回わかったことがあります。連絡を欠かさないためには、予め体調不良時の連絡先、連絡手段を確認しておくことが、病床に臥した時、役に立つと思っています。調子が悪い時、どこに、どうやって連絡をすれば良いか、そこまで判断、思考することさえ難しいのですから。
健常な方は、きっと当たり前のこと、しない方が責められて当たり前と思われるかもしれません。けれど、判断や思考、そして何よりも外の世界と繋がるということは、うつ病にとって、とても高いハードルなのです。

休んだ後にすること（やってみて役に立ったこと）

色々な方法があると思います。
結論から述べると、セルフコンパッション、これです。
今まで、マインドフルネス、薬物療法、カウンセリング、通院、入院等。色んな方法を試してきました。
その中でも手っ取り早いのは、薬物療法つまりは眠剤（睡眠導入薬）、抗不安薬を飲んで寝ることでしょうか。これは、薬が効く人なら、効果的だと思います。ただし注意しなくてはいけないのは、昼夜逆転です。昼夜逆転は睡眠の質を落とし、睡眠の質の低下は脳を疲労させ、脳の疲労はうつ状態を悪化させます。薬に頼った時には、その夜もきちんといつも通りのお薬を内服して、生活リズムには気をつけましょう。
けれど、この方法。実は夢の中に一時的に逃げ込めるのですが、起きるとまた不安や悲しみ、絶望が待っていることもよくありませんか？
では、カウンセリングや通院、入院はどうでしょう？そこまで辿り着ける元気がないんだよ！というのが私の経験ですが、皆様はいかがでしょうか？ただし、必ず動けるようになったなら、受診もしくはカウンセリングを受けましょう。
そして、いろいろ試した結果、たどり着いたのが、セルフコンパッションです。正式な方法や、おすすめの本は後日記載するとして、今日からできる、簡単な方法をお伝えしますね。セルフは自分自身、コンパッションとは思いやりのことで、セルフコンパッションとは、自分自身に思いやりを向けてあげることです。
まずは、誰かを抱きしめるように、自分自身を抱きしめます（セルフハグ）。もしくは、胸の前で手を合わせて、南無阿弥陀仏と静かに８回唱えても良いでしょう（これは私が最近取り入れた方法）。大切なことは、自分の温もりに気がつくことです。そして、自分自身にこう伝えてあげてください。
いつも頑張っているね。すごいことだよ。今日はゆっくり休もうか。
”いや、それでも”、と自分が言うのなら、
それでも頑張ろうと思うんだね。本当にすごいことだよ。
ともう一度伝えてあげてください。
私はこの方法を取り入れて、涙が出てきました。涙が出てくると、心のモヤモヤが少し晴れたような気持ちになれたのです。
マインドフルネスも効果的です。でも、ボロボロの時に行うにはハードルが高すぎて、なかなか行き着けません。今度、それでも、の時に役立つマインドフルネスの中の一つボディスキャンについてまとめたいと思います。