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【実践報告】ABA療育を取り入れた保育園の成功事例 - 早期療育の効果とは?

お子さんの発達に不安を感じたとき、どのように対応すべきか悩むことはありませんか?

  • 名前を呼んでも反応しない

  • なかなか「ママ」と言わないし、ママを求めてこない

  • 常に動き回っている

  • ちょっとした刺激で大泣きしてしまう

など、育てにくさや発達の違和感を感じることがあるかもしれません。

こういった場合、かかりつけの医師に相談しても、「様子を見ましょう」と言われることが多いのではないでしょうか。

しかし、早期介入が効果的であることは、多くの研究で証明されています。この点については、以前の記事でも詳しく掘り下げていますので、興味がありましたらそちらも参照してください。

私は、親として、保育園の理事として、そして行動分析士(BCBA)として、この「様子見アプローチ」は専門家として無責任であると感じています。

発達の遅れや違和感がある場合、早期発見と早期療育が最も効果的であることは長年にわたり多くの研究で明らかになっています。それにもかかわらず、いまだに様子見の対応が主流となっている現状には大きな問題があると感じます。

しかし、今私ができることは、少しでも子どもの未来のためになる支援を行うことです。私たちの保育園では、発達に不安を感じる子どもたちに対して、診断を待つことなくABA(応用行動分析)療法を用いた早期介入を実施しています。

ここでは、私たちが行っている具体的な取り組みをご紹介します。

ABA療法とは? – 発達支援における科学的アプローチ

ABA(応用行動分析)とは、行動を観察・分析し、特定の行動に対する適切なサポートを提供する行動科学です。行動分析士(BCBA)である私たち専門家が、このABAの手法を駆使して、その子どもに合った支援プランを作成します。

特に私の場合は、子どもと保育士の負担を軽減することを重視しています。そのため、問題行動の根本に焦点を当て、子どもが自然に発達上の問題を克服し、関連スキルを向上できるようにしています。これが最も効果的で効率的なアプローチだと私は考えています。

これだけでは分かりにくいと思いますので、具体例を挙げて説明したいと思います。

発語がない2歳児へのABA療育:具体的なアプローチ

発語が遅れている2歳児に対するABA療法の一例をご紹介します。

一般的な療育では、口の動きを強化したり、言葉の反復練習をすることが多いかもしれません。しかし、ABA療法(応用行動分析)では、まず発語が遅れている根本的な原因を探ることから始めます。

最初に、その子どもの行動観察を行います。例えば、日常生活で部屋を走り回ったり、目に入るものを次々に触るといった落ち着きのない行動が見られる場合、環境からの過剰な刺激に反応しやすい特性があると考えられます。このような場合、注意が分散しすぎて話し手に集中できず、発語に必要なスキルが発達しにくいのではないかという仮説を立てます。

1. 環境調整と注意力の育成

まずは、仮説に基づき環境調整を行います。周囲の刺激を最小限に抑え、子どもが保育士や特定の物に集中できる環境を整えることが重要です。

具体的には、刺激の多い自由遊びの時間に、刺激を極力排除した別室で保育士と一対一のセッションを行います。

言葉を習得するためには、まず相手の話を聞けるようになることが必要で、そのためには話し手に注意を向ける力が欠かせません。子どもが話し手に注意を向けられない場合、発語のスキルがあってもそれを発揮できない可能性があります。人の話を聞くには、以下の3つのプロセスが必要です:

1.   一旦立ち止まる
2.  話し手に対して注意を向ける
3.  その注意を数秒間保持する

これらのスキルがどれくらい備わっているかを確認し、不足している場合はトレーニングを行います。例えば、名前を呼ばれたら目を合わせる練習や、遊んでいる最中でも名前を呼ばれたら振り向いて話し手を見る練習を行います。また、保育士の指示や言葉に反応する練習を行い、一つのおもちゃを使って保育士とやり取りする遊びをして楽しむことで、集中力を養います。

こうしたトレーニングを続けることで、子どもは徐々に保育士に注意を向ける能力を身に付けます。また、同時に一つのおもちゃを通して相互的なコミュニケーションを楽しむことを学び、これが発語の初期段階をサポートします。

2. 言葉と行動の関連付け

子どもが注意を向けられるようになったら、次に言葉と行動を関連付ける段階に進みます。保育士は、話す言葉とおもちゃの動きや状況を関連付けて説明します。例えば、保育士が車のおもちゃを転がしながら「車が走るよ!」と言うことで、子どもは「物には名前がある」「行動には意味がある」という概念を徐々に学びます。このプロセスを通じて、言葉の意味行動の関連性を理解し、発語の基礎が作られていきます。

さらに、「ちょうだい」といった簡単な言葉やジェスチャーを教えることで、子どもは言葉を使うことで欲しいものが手に入るという経験を積み重ねます。

このように、言葉を使うことのメリットを実感させることで、子どもは自然と発語に対して意欲を持ち、次第に言葉を使ったコミュニケーションが習慣化されていきます。

まとめ

お子さんの発達に不安を感じた際、早期の対応が重要であることは多くの研究で明らかになっています。特に、ABA(応用行動分析)療法は、行動科学に基づいた効果的な方法として、発達支援に優れた成果を上げています。しかし、日本ではABA療法を提供している機関が非常に限られており、実際に認定資格を持つ行動分析士(BCBA)は全国でも20名弱しかいません。

この現状では、質の高いABA療法を提供する専門家が非常に少ないため、残念ながら「エセABA」と呼ばれる質の低い療育も存在しているのが実情です。親御さんとしては、本物のABA療法を受けられるかどうかを見極める必要があります。適切な資格やトレーニングを受けていない療育サービスでは、子どもにとって十分な効果が期待できない可能性があるため、専門家の資格や実績を確認することが重要です。

では、どうすれば本物のABA療法を手に入れられるのか?現状、日本国内での提供は難しい部分もありますが、私たちは、保育園や家庭に導入できる具体的なABA療育の方法や実践ガイドを今後発信していく予定です。特に家庭で行える簡単な方法や、オンラインリソースを活用したサポートも視野に入れています。親としてできることはまだたくさんありますし、今後も新しい選択肢を提供できるよう努めてまいります。

これからもABA療法の詳細な情報や、自宅でできるサポート方法をお伝えしていきますので、ぜひ今後のコンテンツにもご期待ください。お子さんの健やかな成長を一緒にサポートしていきましょう。

わからないことや質問があれば、気軽にコメントしてください!お答えできる範囲でお返事します。



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