#5. 雲、ビーチボール 〜With コロナで体験していること〜
不安や悩みは、コントロールしようとすればするほど、深く、大きく、重くなることってありませんか? 雲の流れと同じように、人間がコントロールできるものではないようです。では、どうするの? ヒントとなるのは「Withコロナ」。共存させて、そこに置いておくのはどうでしょう? というお話です。
戦いパターンは、うまくいく?
私たちは、不安や悩みをもっているとき、不安のスイッチをONにしたまま、ネガティブな思考や感情を「追い出そう! 闘おう!」として、さまざまな戦略を使います。しかも、その行動にはパターンがあるようです。
前回(#4シマウマと人間の違い)の逃げパターンに続き、今回は、戦いパターンの戦略をご紹介します(Harris, 2008)。あなたも、知らずに使っている戦略があるかもしれません。
戦いパターン1:ネガティブな思考や感情を抑圧する
悩みや不安が浮かんできたら、「ココロの奥深くに沈めておこう」、「表に出さないようにしよう」とする。
私たちは、無意識のうちに不安や悩みを深いところに押し込めようとして、気づかない場合もあるようです。それでも、私たちのカラダは不調を訴えてきます。アタマ痛い、手が動かない、声が出ない、最近だるい・・・
戦いパターン2:自分の思考について議論をはじめる
悩みや不安を抱えている時、「どうせ自分はダメなんだ。いやそんなことない、今まで成功してきたじゃないか」と、自分のアタマの中で議論をしたり、「ありえない!」と現実や受け入れられないものに抵抗する。
戦いパターン3:シッカリしようとする
「今の悩みを吹っ切らなければ」「落ち着いて」「元気を出さないと」と、自分自信に叱咤激励する。
戦いパターン4:自分を責める
自分のことを「ダメな人間」「怠け者」と名前をつけたり、「そんな惨めになるな、自分なら何とかできる。臆病になるな」と責める。
水に浮かぶビーチボール、綱引き
知らないうちに使っているこの戦略は、不安や悩みを解決するのに、役に立つときもあれば、立たない時もありますよね。一時的には軽いストレスの解消になります。でも、役に立たないとき、「この方法が一番いいはず」、「だって誰も私の不安や悩みはわからないもの」と思って頑張っていると、疲れませんか?
その時の私たちがどうなっているか、想像してみましょう。
たくさんの空気の入ったビーチボールがあります。あなたは、「アナタの不安や悩み」と書かれたそのボールを水面に出したくありません。深く海の底の沈めておきたいのです。だから、あなたのカラダの重力(逃げパターンや戦いパターン)を使って、水中で一生懸命抱え込んでいます。
ボールが小さければ、少しの間なら、重力でなんとかなります。でもボールが大きくて、ずっと続けなくてはいけないとなったら、どうでしょう? 最後には、あなたは精魂尽き果てて、ボールは水面にあがってきますよね。
同じような状況を、バックナンバー(#3悩める人類)では、綱引きのイメージでお伝えしました。
不安のスイッチ、どうすればOFFにできる?
単純に考えてみましょう。逃げパターンや戦いパターンがうまくいかないなら、その逆のパターンを試してみるというのはどうでしょうか?
隠れない、逃げない、気をそらさない、感覚を麻痺させない、思考や感情を抑圧しない、自分の思考と議論しない、シッカリしようとしない、自分を責めない。
そう、不安や悩みと共存するのです。そこに置いておくのです。でもそんな方法ってあるのでしょうか? それが果たして役に立つのでしょうか? (次回に続く)
PS. 記事に関連する個人的なエピソード、ご意見・ご感想をお待ちしています。
--本記事のイラストは、freepikよりライセンスを取得済みのものです--
Harris, R. (2008). The happiness trap based on ACT: A revolutionary mindfulness-based program for overcoming stress, anxiety and depression. London: Robinson.