【人生のほんの1日】20220906 人とのお別れは寂しくもあるけど、新たな一歩を踏み出すきっかけにもなるなという話
ちょうど私の会社の決算が終わり、ホッとひといきの週初め。父が経営していた前会社の頃から長年お世話になっている税理士さん (以下「先生」)から、珍しくというか初めて飲みのお誘いを受けました。
先生は、70代後半くらいの年齢なのですが、税理士のかたわらプロの社交ダンス選手としてご夫婦でダンス教室なども営んでいて、とても前向きで明るい感じの方。
「いつも飲みに連れて行くよって言っておきながら実現していなかったから、今度こそ約束果たすから」と気さくに誘ってくださいました。
そして昨夜、私と副社長と先生の3人での初めての飲み会。
先生が30年くらい前に税務署勤めから独立した経緯とか、どうしてプロの社交ダンス選手になったんですか?などなど、長年のお付き合いだけど意外と知らなかった先生の人生とか、普段なかなか知る機会がない税務署のお仕事とかプロ社交ダンサー業界のお話がたくさん聞けて、ビジネスライクじゃなく打ち解けた楽しいおしゃべりが続きました。
先生も楽しかったみたいで「次は街なかの焼き鳥屋に連れってあげるから」と上機嫌。「次回がある」なんて当たり前のことのようにそのときは思っていました。
ところが飲み会もお開きに近づいた頃、先生が突然「実は俺もそろそろ引退を考えているんだ。今すぐに辞めるわけじゃないけど、これからは(社長の私と副社長の)二人で会計のこともちゃんと勉強していくように」と切り出し、場が急転。
お元気ではあるけれど、考えてみれば先生も自分の親のような年齢。
いつかは先生から卒業しなくてはならない日が来るのは分かっていたけれど、あまりに突然のことで、一瞬「えっ?!」と事態が飲み込めずフリーズ。先生も(会計のことをかなり勉強不足な)私たちのことがやや心配みたいで、他の会社はここ数年で継続を打ち切ってきたのだけど、ウチの会社にだけは最後まで引退の話をしていなかったのだそう。
「もうしばらくは面倒見てあげられるけど、いつまでも俺がいるとは思わないで、次の会計士を探すように。俺も終活しなくちゃだからさ」。
悲しい感じになっちゃわないように先生も気を使って明るく前向きな調子で話してくださるんだけど、だんだん先生とお別れの実感やこれまでの思い出や人生の移り変わりのちょっと物悲しい感情が湧いてきて、思わず涙が出てしまいました。
最後、50代のおじさんらしくもなく泣いてしまったのだけれど、店を出て最後に先生となんとか笑顔で握手を交わして帰路に。「これからも頑張って!じゃあね」と、友達のように声をかけてくださる先生。こっれきり先生と会わないわけではないのは分かってるけど、当たり前のように続いてきた関係性の終わりを知ってしまうのは、やはりなんだかツラい。
酔いが回ってたのもあるけど、家に帰ったらどっと疲れが押し寄せてきて、泥のように眠りにつきました。
先生と仕事上のお付き合いがなくなってしまうのは寂しいし、心細くもあるのだけど、私たちが早く先生を頼らなくても良い状態になることが、先生を一番安心させてあげられることなんだなと思い直し、一夜開けて早々、副社長とクラウド会計サービスなどをリサーチしています。そういえば今日って私も副社長も休日だった(苦笑)。
追い込まれた状況になると、意外と私たちは立ち直りが早く前向きに事態を解決していけるということもたぶん先生分かっていらっしゃったのでしょうね。
30代前半で父から当時あまりうまくいっていなかった会社の経営を丸投げされて、何をどうしたらよいやら途方に暮れていた私にいろいろ経営上のアドバイスをしてくださり、父が死の病に倒れ仕事から突然離脱し、多額の闘病費用の工面と激務で精神的に追い込まれていたときもいつも前向きな言葉をかけてくださった先生。
先生がいなかったら、私の人生でも最も苦難だったあの時期を乗り越えられなかったと思うし、現在の私も会社もなかったと思います。
決算書類の準備がいつもテキトーで、先生にとってウチの会社は、たぶんきっと「相当手間のかかるコ」みたいな存在だったと思います。そんな私たちを「いっつもしょうがねーなー」とぶつぶつ言いつつもあたたかく面倒見てくださり、先生、本当に長い間お世話になり、ありがとうございました。
今度はぜひ私たちから先生を飲みに誘わせてください。
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