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『君のクイズ』小川 哲/著【生産的読書ノート記録3冊目】8マス埋めることに意味がある!

こんにちは、ブックランドフレンズさんのオリジナル読書ノート「生産的読書ノート」 の普及隊長、accoです。

▼生産的読書ノートとは?

読書の記録だけではなく、自分から湧き出てくるものを書き出し、行動に移すための読書ノート。あなたの読書が劇的に変わります!詳しくはこちら↓

3冊目の読書ノートを書きました。その本は……こちら!

小川 哲さん著『君のクイズ』
2023年4月に「アメトーーク!」の「本屋で読書芸人」で、Aマッソ加納さんが紹介されていた本で、面白そう!と図書館に予約していたものが、ようやく7ヶ月かけて回ってきました。
待ちに待った、ということでウキウキ読んだのかというと、実はそうでもなく……!その理由とは?


1.「小説」が苦手な理由

実は私、こういういわゆる「面白い小説」を読むのが大人になってからは苦手で……。

いや、読むのはもちろん好きなんですが、とにかく毎日目が回るほど忙しいし(幼児を含む三児の母です)、自分を向上させるための読書もしなきゃならないし(ビジネス本やらハウツー本やら自己啓発やら)で、自分の純粋な娯楽のための読書って、一人で映画館で映画を見るみたいに、すっごく贅沢なことに感じてしまう、という謎の症状があるんです。

「限りある大事な時間、もっと有意義なことに使わなくちゃ」みたいな、妙な脅迫観念がある。なんなんでしょうね?これ。
あと、読みだしたら止まらなくなって家事そっちのけで読んでしまうので、好きなんだけど最初から読まないようにしている、という。

でも、最近は、まつむらゆうこさんの本やこんぶさんの影響もあり、「物語」を楽しむようにしていこう、とチャレンジしているところなので、思い切って読んでみました。

結論から言うと……、めっちゃ面白かった!!
ちょっとだけ読むつもりが、やめられなくて、あっという間に読み終えてしまってました。こういう読書ってすごく久しぶり……!

でも、正直、「面白かった~~!」だけで、とくに「生産的読書ノート」に書くようなこともないかな……?と思っていたんです。
だいたい、題材が自分と全く重なるところのない「クイズ王」の世界の話だし。ビジネス書や自己啓発書と違って明らかな学びがあるわけでもないし……。

しかしながら。

書けました。びっくり。
しかも、けっこうしっかり。
そして、やっぱり楽しい!

これはこれで、紹介せねば!ということで、さっそくご紹介していきます。

2. まずこの本のご紹介を…

この本は、「Q-1グランプリ」という大型クイズ大会の決勝で、「ゼロ文字押し⇒正解(問題文を読み上げる前に早押しして正解)」というありえない事態が起こり、悔しい負け方をしたクイズ王・三島玲央がその謎を紐解いていく……という、一風変わったミステリー(?)。

その「ありえない事態」の謎を紐解いていく中で、ところどころ三島くんの人生のエピソードが入り、「クイズ界」という一般人には未知の世界の話ながらも、共感を持ってとても自然に読み進められます。
「やらせ疑惑の被害者」という、誰もが憤慨する要素で一気に感情移入できるし、謎の真相を知りたい気持ちで、ページをめくる手が止まらず……。

あと、全体的に、文章表現がすごくいいなぁ、好きだなぁ、と思いました。
東大出などめちゃくちゃ頭がいい人たちの世界の話なのに、ちっとも難解ではなくわかりやすいし、Q-1決勝戦で、絶好調で「ゾーン」に入っているような状態を、

「僕は、自分の体のまわりにクイズが漂っているような感覚を得ていた」

と表現するなど、そんな体験は絶対にしたことがないのになんとなくわかるような気になってしまう表現が、うまいな!と思いました。
心象風景はしっかり浮かびつつ、全体的にサラッとしていて読みやすく、淡々と歩を進めていく主人公に好感が持てます。

何より、魔法のように解答を導き出す、めちゃくちゃ頭のいいクイズ王の頭の中を覗き見できた気分になれる、一般人には想像も及ばないクイズの達人たちの世界を垣間見ることができる、という点で貴重な小説でした!

3. 私の読書ノートを公開

ではさっそく、私が何を書いたのか、ご紹介!
(一応ネタバレしないように白を入れてますが、未読で気になる方は薄目でご覧ください)

3冊目は慣れてだいぶ書くのも早くなった!
クイズの内容もいくつかメモメモ

けっこう書けているでしょう?!

今回も裏紙に雑にメモしながら読んでいきましたが、さっきも言いましたがあっという間に読み終わったのもあって、書くことがあんまりなかったんです。

でも、これはこれでまとめていかないとなぁ、と読書ノートを書き始めてみたら、案の定、「自分の内側から湧いてきたもの」を書き出す「8マス」エリアは、2つしか埋まらず!!!
どうしよ~~、と頭を抱えましたよ。

でも、こんぶさんは「8マス埋めることに意味がある」とおっしゃる。
理由は、

時間をかけて振り返ってみれば、見過ごしているだけで必ず何か感じたことはあるものだし、そうやって後から出てきたもののほうが、自分の本心や本当の願いに近かったりするものだから

だそうです。
うーむ、あと6個、とりあえずやってみるか、と、本をまたパラパラと見返したり、自分が書いたメモを見返してみたり……。

すると、案外、ぽろぽろと出てきたんです!
とはいえ、けっこう無理やり発掘してきてる感じ。
でも確かにこれらは、読みながら感じていたことです。嘘は書いてない。というか、めっちゃ思ってたことばかり。
さらに、その中で「一番大事にしたいこと」に選んだものはなんと、8個目になんとか絞り出したものだった。

うわーーー、こんぶさんの言った通り!
こわっ!!

……ってなりました(笑)。
ぐいぐい読める面白い小説ほど、読んでる時には見過ごしてしまうのかも…!

4. 「8マス」に書いたものは……

そんな感じで「8マス」に書いたものをいくつか紹介すると、最初に出できた2つのうちの1つは、「②またバックパックで海外を旅したい!

見過ごしていた自分の想いを発掘。

これは、別にそういうシーンがあるわけではなく、「深夜」というキーワードの例えとして『深夜特急』という言葉が出てきたのみ。そんなのも、書いていいと思います、ハイ。

実は私、二十歳の頃、この沢木耕太郎さんの『深夜特急』がめちゃくちゃ好きで憧れて、ユーラシア大陸横断……とはいかなかったけど、タイにバックパック背負って個人旅行したことがあるんです。
初めての海外で、初日の宿しか決めず、あとは自分で一週間の行き先や宿を決めるという、今思えばなかなか無謀な旅でしたが、楽しかった!!
その後も、ニュージーランドを2か月ほど一人旅したり。
今は小さな子どもがいてそれどころではないですけど、落ち着いたらまた海外をバックパッカーで旅したいな……!
うん、これは結構、強い願いだ。

この他、読み終わってから振り返って出てきたもので言うと、「④表紙のデザインがめちゃくちゃ好き!」

表紙がめちゃくちゃカッコイイ!

まぁこれも確かに、私の中から湧き上がってきたものではあるから、オッケーですよね。
装丁を改めて眺めてみると、「○、×、△、?、!」などが幾何学的に配置されていて、かなり秀逸なデザインだと思います。
なぜだかむしょうに心惹かれる。タイトルの視認性はめちゃくちゃ悪いけど(笑)。私はすごく好き!

「⑤決めつけってよくないな!公平で落ち着いた見方で世界を見ていきたい」
これもけっこう強く感じたことでしたね。この小説全編を貫いている裏テーマかなと思います。
良くも悪くも、人って他人のことを、勝手に決めつけたりストーリーを作ったりして、自分的に納得したいというか、安心したい生き物なのかも……。
そう、結局は、自分がスッキリしたいだけなんですよね。
そんな自分や社会のことを、三島くんのように一歩引いて眺めてみて、なるべく冷静に、「曇りない眼で物事を見定めて」いきたいなと感じました。(ハイ、そうです、ジブリファンです)

あとは「⑦見ている人を喜ばせるパフォーマンスができる人はカッコいい」。
問題の不正疑惑の対戦相手がスタジオで毎度ウィットに富んだ見事なコメントで観客を沸かせるのですが、これって、サービス精神やかなりの頭の良さがないと到底できないことだよなぁ、すごいなぁ、とシンプルに感心し、そんなふうになれたらいいなと思いました。

……ね、けっこう、じっくり振り返るといろいろ出てくるものです!

5. 私が「一番大切」に選んだもの

そして、最後に出てきて、一番大切にしたいと思ったものが、
「⑧恥ずかしい気持ちをちぎり捨てて、私もなんでもやってみよう!可能性を開いていこう!」
です。

この、文中に出てきた「ちぎり捨てる」という表現が好きだな、と思ってメモ書きしていた箇所でしたが、確かに一番共感した部分だったな、と、「8マス」のほうに採用。

なんでもやってみるに越したことはない。誰かに笑われたって構わない。恥ずかしいという気持ちのせいで可能性を閉ざしてしまうことの方がもったいない。

『君のクイズ』P.91

この部分、なんだか、今こんな普及活動をしている自分への応援のように感じて、大事にしたい言葉だなと思いました!

あと、これは心に残った言葉としてメモ欄に書いたものですが、

僕たちは答えを口にする。決断し、行動をする。そして、自分の答えが正解だったのかわからないまま生きていくことになる。

『君のクイズ』P.145より

というところが、すごく響きました。
人生はある意味、回収されない伏線だらけ。
今自分がやっていることが何に繋がっていくのか、繋がらないのか、わからないまま、それでも「最善だ」と思える選択を続けていく。
性急に答えを求めないこと。待つこと。今この時を楽しむこと。余白を楽しむこと。
そんなことを大事にしていきたいなぁと、改めて思いました。

6.「理想の未来のイメージ」欄は…

「8マス」の真ん中は、「理想の未来のイメージ」欄です。
書いたものを振り返って、いろいろと実践した先にうまくいっているイメージを自由に広げる場所。
私は絵で描くことが多いのですが、文字でもなんでもいいと思います。
私は、今回はバックパック背負って自由に好きなことをやっているイメージにしましたよ。

好きなことを自由にやろう♪

個人的に、この欄を書くのがとても楽しい!
書いているとなんだか本当にそうなりそうな気がしてくるから、不思議です。

……というわけで、『君のクイズ』のような「一気に読めて単純に面白い!」というエンターテイメント小説でも、こんなふうにしっかり書き出すことはできますし、自分の願いや好みを再発見することに繋げることができる、ということがわかりました!

むしろ、最初から出なかっただけに、がんばって8マス出し切った感が、爽快!サウナ行ったみたいな?サウナ後のビールみたいな?(違うか)

「私、小説を楽しんで読むだけで自己啓発とかビジネス書とかは読まないのよね」という方も、このように「生産的読書ノート」で「ココロの化学反応」を楽しむことができますので、ぜひ一度お試しくださいね!

7. 読書ノート最後の欄より

【この本をひとことで表現するなら?】
クイズ、という独特の世界で起きたヤラセ疑惑を発端に、人がいかに決めつけや偶像に支配されているかが実感できる、クイズ推理(?)モノ。

【紹介したい人】
知的好奇心が旺盛な人、うちの母

8. ご注文・詳細はこちら

ご注文はぜひ、以下の「ブックランドフレンズ Online Store」から。
★「accoのnoteを見た」と備考欄に書いてもらったら、ちょっといいことあるかも?

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送料かかります(220円~)、
クレジットカード使えません(銀行振込のみ)、
翌日にはまず届きません、
でも、こんぶ店長からの「愛」が一緒に届きます。
損得ではなく無駄を楽しめる方は、ぜひ一度お試しを。損はさせません。

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▼伊丹の書店「ブックランドフレンズ」さん

全国からお客さんが来る書店。喜多川泰さんの小説「福に憑かれた男」のモデルとしても有名


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