インテグラル理論への疑念『どうすれば世界を変えられる理論にできるか?』
インテグラル理論は、世界の多くの事象を明らかにした理論だ。
しかし、インテグラル理論にはやはり最大の課題が残されている。
カネの論理とテクノロジーの論理ばかりが我々の未来を主導していくという構造そのものに対して、異議を唱え、具体的な改革案を提示していける思想こそ個人的には協力主義であると考えている。
中でも資金の使い道は、社会貢献に繋がる投資(募金的投資)が幸福度を高めることが言及されている。
しかし、この協力主義や募金的投資も現状で言うならば、ほとんどエクスポネンシャル起業家(世界的なアントレプレナー)でのみ流行っている。
エクスポネンシャル起業家は、贅沢な暮らしをする(オレンジ)よりも、世の中をよりよく変える(ティール以降)ことが主な目的である。そうするのも当然だとは言える。
しかし、そのマインドセットの根底を説明するインテグラル理論と共に、やはり「上のほう」で何かやっているだけで、市民の生活においては全く何も変化が感じられないという根深い問題は存在している。
もちろんその額が極めて大きければ、ビルゲイツ財団のように世界に大きく貢献すると言えるだろう。
インテグラル理論の課題は、マインドセット(自分が贅沢な暮らしをするオレンジ→世界に貢献するグリーン以降)とSQを上げるに従って、エクスポネンシャル起業家などになれるポテンシャルが明らかに高まるにも関わらず、そう説明するのは『優生学』だとして、禁じ手として封印してしまっていることなのだ。
実際ティール組織でも、
といいつも、
こうして、やはりパラダイムが高い組織の方が実際にも強いのだと、大きく取り沙汰されている。でなければ、ティール組織のフレデリック・ラルー氏やSQのダニエル・ゴールドマン氏がThinkers50に選ばれることも無かったのではないだろうか?
あくまで、その『優生学』というのはオレンジパラダイムから見たものではないだろうか?
エクスポネンシャル起業家になる方法として、インテグラル理論やSQの概念を使うことは、本当にタブー中のタブーなのだろうか?
発達段階を変えることは、本当に厳しく長いプロセスで、際限なく時間と努力が必要なものなのだろうか?そんなに時間を掛けていていいのだろうか?
こう考えた時に、一つの答えを出すことができた。
ようは、インテグラル理論は世界を大きく示すビックピクチャーであるが、生きがいほどには重要ではない。ということ、そして望めば発達段階の飛躍的な進歩は可能だということだ。
つまり、こう捉えることができる。
どのパラダイムであっても、その人の生きがいほどはインテグラル理論やSQは重要ではない。このため、その人の生きがいを否定する可能性がある場合に関しては、パラダイムを押し付けてはならないのだ。
それを押し付けることは、かえって健全な成長を阻害してしまう。
逆に言えば、生きがいがそれを望むのならば、SQを高め、究極の発達段階を目指そうとするのは間違いではない、とも言える。
そして、言語化された明確なブレイクスルーがあるので、望めばそれを達成することで、発達段階を高めることができるのだ。
こうして、インテグラル理論と発達段階というのは、どの高さの視点から世界や、生きがいを捉えているか?を示すものだと言えるだろう。
たしかに、より広い視点(高い発達段階)から見たほうが、より様々な道やルートを見つけることができる。
しかし、そもそも道を探すことは『道を進んでいるか?』『道を探す動機』ほどには重要ではない。
これは、数学から見ても明らかだ。
立方体の点から反対側の点に向かう時、直線で移動すれば3aかかるのに対し、斜めに移動できれば√3aで済む。
しかし逆に言えば、いくら合成しても平方根分は進まないといけない、とも言えるのだ。
これと同じで、生きがいがそもそも進む理由であるとすれば、発達段階の向上はより合成して距離を平方根にしようとする試みに過ぎない。
このため、インテグラル理論は世界を包括するビッグピクチャーであるものの、生きがいほどには重要ではない。
どのパラダイムの人生も肯定される必要があることを特にインテグラル理論は強調しているが、そこには生きがいがあると言える。
そうした、『考えるより行動せよ』『そもそもなぜそうするのか?理由を持て』という価値観は、古今東西の自己啓発などで見られる。√3だろうが3だろうが、そもそも進んでいるか?と比べれば些細な差になる。
このことから、世界を変える理論を構築するには、
インテグラル理論にさらに『生きがい』という概念と、『どうすればそもそも人間は進もうとするのか?』に関する理論を組み合わせる必要がある。
そしてインテグラル理論さえ含んで超えた『生きがいの理論』こそが、世界を変えられる理論になるのではないか?と考えている。
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