イーロン・マスクの経営戦略『逆張りの戦略』『テスラ生産方式』+おまけ『なぜイーロンマスクは輿水幸子が好きなのか?考察』
逆張り的な戦略を取るイーロンマスク『通常はリストラは悪手』
通常の経営戦略では、従業員の首を切ることは悪手だ。モチベーションの低下を招き、企業のイノベーションを停滞させてしまうためだ。従業員の首を切って企業が長期的に上向く例は少ない。日産も結局、長期的には上向かなかった。経営で基本は首切りをするくらいなら配置移転をしたほうが良いようだ。
では、イーロン・マスクのTwitterの大規模リストラはどうなるのだろうか?
長時間労働時間をするイーロンマスクの逆張り戦略『本来、労働時間は短いほうが圧倒的に強い』
イーロンマスクは、『二人の人間が8時間働くより、一人の人間が16時間働いているほうがいい』と考えているようだ。しかし、経営の基本では逆。『二人の人間が8時間働くより、三人の人間が5.3時間働くほうが強い』
男性は1300〜1560時間で最高のパフォーマンスを発揮し、女性は1150〜1400時間で最高のパフォーマンスを発揮するという慶應大の研究結果がある。これに合わせて国家の生産性も幸福度も急上昇する。これが1600時間の壁だ。イーロンマスクはこれに逆張りするように戦略を立てている。Twitterの戦略もそうだ。
経営効率は知の探索と知の深化が支配している。
ようは日本くらいから見れば基本、労働時間が短いほうが生産性は高い。日本のフリーランスエンジニアは労働時間を自由に決められるため、最もパフォーマンスが高い時間に収束しており、生産性も賃金も高い。
なぜ労働時間がある程度短いほうが生産性が高いか?
これは知の探索(広く浅く知識を集める)と知の深化(狭く深く知識を集める)が経営の最中心であることから来ている。経営とは一人でできなかった課題解決を知識を集めてみんなでできるようにすることだからだ。
基本的には労働時間が長すぎると会社内で知の探索ができないので、新たなイノベーションにやられてしまう。逆に労働時間が短すぎても知の深化ができないので技術習得ができず生産性が上がらない。日本は正規雇用の労働時間は長すぎてイノベーションに弱く、非正規雇用は学習機会が少なすぎて年収が上がらない(とはいえ時間当たり生産性はそこまで減っていない)、この関係解決が日本の目指すべき道だ。
イーロンマスクの逆張りが成功する訳
しかし、この知の探索・知の深化理論こそがイーロンマスクが圧倒的な経営者になった所以でもある。
まずイーロンマスクは「金融・自動車・航空宇宙・ソーラーパネル・インターネットからトンネルに至るまで」と幅広い事業に手を伸ばしている。これによって本人は圧倒的な知の探索を行っている。
そして、知の探索と知の深化には適切なバランスがある。このことが最適な労働時間と企業の競争力を決めている。日本企業で労働時間が長くても生産性が高い企業は、基本的に労働時間自体に知の探索を取り入れているようだ。
イーロンマスクが知の探索をして得たアイデアを実現するために知の深化をするのが社員の仕事。
イーロンマスクは圧倒的な知の探索の人。つまり、社員には知の深化をして欲しいと考えている。『箱を作るから、中身を詰めてくれ』といった具合に。でなければ、これほど多くの分野を持つことはできない。その戦略でやってきたので、他の知の探索をする相手は意見が合わなければリストラしてしまう。今回のTwitterについては、自らのアイデアを投入した後に撤退する準備もしているようだ。やめるか、やめないか?投票させれば、人はやめるの方に投票したがるもの。ブレグジットを見て、むしろ辞める場まで作ったようだ。
圧倒的な知の探索力
IQ世界一と言われるノイマンでさえ、数学・物理学・ゲーム理論・量子力学と、数学を軸にアイデアを実現していったが、イーロンマスクほど広くはない。
これは時代がIQから人を動かす力、実行力に移っているという示唆にもなるが、それ以上に重要なのはイーロンマスクは知の探索を果てしなく行っている、ということに尽きる。
イーロンマスクの軸『テスラ生産方式・ソフトがハードをアップデートする。ソフトをアップデートすればハードもアップデートされる』
イーロンマスクにももちろん軸はある。それが、ソフト側を進歩させることで、ハードウェアを変えるというものだ。テスラの工場・販売・流通はまさにこれで、自動車にサブスクリプションの概念を持ち込んだ。テスラの自動車はソフトウェアの性能が上がれば、アプデを入れるだけで車の運転性能が上がる。スペースXや、PayPal、ソーラーシティなどもソフト力でハードに革命を起こすというところが共通している。
ソフトウェアのほうが知の探索向き
そして、ソフトウェアのほうがハードよりも実物がない分余計、知の探索が必要になる。日本は労働時間が長いので知の深化に強く、圧倒的な質でJAPAN AS NO.1を達成した。しかし、IT化によって知の探索がメインの時代に移ってしまい知の探索ができず、イノベーションのジレンマに陥って失敗した。日本企業で強い競争力を保てたのは、味の素、島津製作所、富士フイルム、キヤノンなど労働時間が短いため知の探索ができた企業と、キーエンス、NRIなど労働時間に知の探索を組み込んでいた企業である。
このため、働き方改革とリモートが日本には必要だ。しかし、リモートをやめたイーロンマスクとは逆の意味合いがある。
イーロンマスクはソフトウェアが知の探索に強いことを利用して、自らの圧倒的な知の探索力をぶつけている。そして、知の深化に向くハードをソフトで改革しようとしているのだ。
ここから言えること→圧倒的な知の探索人間になることがシリアルアントレプレナーの基本。そして、イーロンマスクほど知の探索をしていれば、従業員は知の深化に専念できる。それを実行したから世界レベルの起業家になった。
ただこのシステムの弱点はもちろんイーロンマスク本人に非常に依存していることだ。イーロンマスクが去った後のTwitterで知の探索ができる人は少ないわけで、去るまでにどれだけアイデアが実装されるかが問題だ。
短期的に見れば、無駄な仕事がなくなって効率化するように思われるかも知れない。しかし、長期的にみれば日産のように上向かないケースのほうが多い。
しかしこの軸を考えれば、イーロンマスクの狙いも、今後のTwitterの動きも読めるようになると思う。
今後のTwitterの流れはどうなる?
Facebookを含めSNSが不振、TikTokが大きく伸びるも、他全てを奪うほどではない(Facebookの失った時価総額をバイトダンスが稼いだわけではない)とすると、人々は一体どこへ?という今のSNS界隈。
広告産業はインターネットに移るも、普通の会社の広告が流れればSSR(YouTubeだとペイディ、タクシーアプリGOは一番いい)というほど広告の質の低下が著しい昨今。原神など質の高い中国ゲームではなく、なぜか無名の中国ゲーム広告ばかりが流れる状態。それでさえ遥かにマシという惨状(マルチなどの広告が横行)。そのネット広告に見限りをつけるイーロンマスク。
こうした流れが、Twitterの機能のコンパクト化とサブスクリプション化を加速させている。今後どのような機能が追加されるかは見ものだ。
イーロンマスクはGoogle、Facebookようなタダ同然でデータを買う、広告を売るという事業方式ではなく、どちからといえばNetflixのような付加価値戦略を取る。どうTwitterでサブスクリプションを取り、人々を動かすのかは参考になると思う。
おまけ イーロンマスクP
イーロンマスクは、突如ツイッターに輿水幸子のツイートを載せ、世界を震撼させた。元々から賭ケグルイのTシャツを着るなど、オタクであるとは知られていたが、まさか輿水幸子のプロデューサーだったとは…
アイアンマンのモデル=輿水幸子のプロデューサー…
なぜ輿水幸子だったのか?あの日割と本気で考えた。
『カワイイ、ボクに任せてください!』
そこで、思ったのはスタートアップ起業は、それこそ輿水幸子のような向こう見ずなほどにポジティブなのがいい。ということである。彼女に応援されてやってきていることはあのツイートからも分かる。
元々イーロンマスクは沢山の場所を点在する身なので、一人の人間に構っていられない。特定一人の相手を気にするタイプではないけれど、一人に16時間働かせるような戦略を取るのだから、自分は常に知の探索をし続けなければならない。そうした中で、常に人を引き寄せるように自分を動かし続けなければならない。
その考えを持つときに、とにかくポジティブでナルシーな幸子に惹かれて思うことがあったのではないか?なんて今では思っている。
確かにアイマスキャラの中でも特に目立っていて、不思議と人を惹きつける力のある彼女、本気で『ボクが一番カワイイ』と思っている自信感、そんな彼女に支えられて、世界は動いている。