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白鷺とチャーハン 第1話
<幼稚園生 あやね>
あの日あたしは、すっごく怒っていた。
お母さんは朝からずっと「早く早く」しか言わないし、「もう自転車でも
大丈夫そうだから、お兄ちゃんの靴下買いに行くよ!お兄ちゃんが学校から帰ってくる前に戻ってこないといけないから!」と私のじゃまをした。
昨日までごうごう言っていた、こわい風の音がしなくなって、楽しく
お絵かきしてたのに。こんな時「家にいたい」なんて言ってもお母さんは
ぜっ
白鷺とチャーハン 第2話
<幼稚園生 あやね>
自転車の椅子に座って、
お母さんを目でおいかけていると、
どうろをわたる信号のところに
だれかがたおれているのがみえた。
女の人みたいだった。
お兄ちゃんと私がケンカした時の
鬼みたいな顔とはぜんぜん違う、
でもすっごくいっしょうけんめいな目で、
お母さんはその女の人のところに走っていく。
何かがいつもとは大きくちがくて、
「お母さん、何してるの?早く行こうよ。
靴下買い