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光と時間風景の中に佇む -[Dusk]Sigrid Sandström@Perrotin Tokyo(-3/22)

 某日、六本木。

 ピラミデビル。

 Sigrid Sandström(シグリッド・サンドストローム)「Dusk」。



光が折り重なる瞬間

 展覧会のタイトルが夕暮れ、であるので、抽象画のように見えながら、太陽のイメージを手掛かりにして鑑賞をはじめた。

 夕暮れ、とくれば、その対比として「日の出」がおのずと思い浮かぶ。

 当然、それをふまえつつ……。

 しかし、これらは単に「夕暮れ時」という時間を表すだけではないらしい。

スウェーデン人アーティスト、シグリッド・サンドストロームにとって「夕暮れ(dusk)」とは単なる時を表すものではなく、光が折り重なる瞬間であり、より意義深い何かの訪れを予知させながら後退していく状態です。ペロタンでの2回目の個展となる東京展にふさわしいタイトルでもあります。

「Dusk」に展示される絵画は、まるで視覚のひずみをゆうに超えて太陽に照らされているかのような、白みがかった密やかな光沢に包まれています。サンドストロームが描くブルーとチャコールグレーは、かすみがかり哀愁をおびた色調へと溶け込み、見る者をよりスローで物思わしげなタイムスケープ(時間風景)へと引き込みます。

同上


日没の展示室?

 展示室は大きく3つある。興味深いのは、真ん中の小さな部屋だ。

 照明が暗く、明確に、日没を示しているように感じられる。


淡い色彩と裏腹の強さ

 その隣、入口から最も奥まった展示室には、サイズが大きめで、比較的はっきりとした色合いで描かれた作品たちが展示されていた。

 展示されていた作品集を見ていたところ、同じく訪れていた人に声を掛けられ、少し話した。

 作品はどれも、キャンバスにさっと筆を振るったように淡く、儚い。生地をそのまま残しているものも多い。

 それが、どこか日本的な雰囲気を醸し出したりしているのだけれど、

 迷いなく明確に塗りました、とはっきりわかる作品もあって、そこからは凛とした強さが感じられる。

 静かに印象に残る作品ですね、といったことを話した。


自然光の下で

 会場であるペロタン東京には、ご覧のように、自然光がふんだんに入る。

 光の画家、モネの大睡蓮が展示されている直島の地中美術館も、天井からのかすかな自然光で作品が鑑賞できるのが魅力だ。

 自然光の下で鑑賞する絵画。過去のそんな記憶たちを総動員しながら。

 具象と抽象のあいだでゆらめく、作品たちを愉しんだ。



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