発泡スチロール,実は-[KASHOUMON][KABUKIMON]浅香弘能@銀座蔦屋書店
銀座シックス6階、銀座 蔦屋書店。
エレベーターで上がってすぐのスターバックス前。
何かの準備中、あるいは、発泡スチロールの立体作品だと捉えて、過ぎ去る人も多かったかもしれない。
だが、もし足を止めて、じっと見たなら……。
その素材と表現に驚き、作品を凝視してしまうことになる。
「KASHOUMON」の素材は
作品展示は、10月13日まで。どうしても行きたいと思いつつ、最終日の夕方にやっと足を運ぶことができた。
じっくり鑑賞したかったのは「KASHOUMON」。
目の前にあるのは、間近にみても「発泡スチロールの箱」であるのだし、ご丁寧に「プラ」とまで掘られている。ならば疑いようもない。
ただ逆に、「これは、プラではない」という視点で疑り深く見ていけば、やっとのことで気づける。
たとえばこの光沢。大理石の高級感がふと顔をのぞかせ、「やっとわかりました?」とほほ笑んでいる。
この「やられた!」感は、現代アート鑑賞の醍醐味のひとつだとわたしは感じる。
ここまで? というまで創りこむ、リアルな造形。
発泡スチロール製に見える、大理石の仏像
インフォメーションカウンター前の展示。
原罪のリンゴなのか、Apple創業のリンゴなのか、それとも発泡スチロールに見えて実はね、という秘密なのか。
それから次の作品も、一瞬「えっ」と、観るものを戸惑わせる。
「発泡スチロールで作ったように細部まで見せながら、じつは大理石に掘った仏像」という、アクロバット感。
「KABUKIMON」
こちらは、今回出展のもうひとつのシリーズ、「KABUKIMON」
夢だった?と思うような
何度か往復して鑑賞し、人と館内のカフェでお茶をして、閉店前に戻ってみた。そのときすでに作品たちはなく、次の展覧会の展示の準備がはじまっていた。
だからわたしにとって浅香弘能の作品は「もしかして、夢だった?」という第一印象となった。
すてきな出逢いだ。