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虚構とリアルの一元化 -デヴィッド・ステンベック[AWT]10

 アートウィーク東京(11/7-10)。

 巡ったギャラリーとの、出逢いの記録。



夕暮れ、西麻布交差点のギャラリー

 西麻布交差点。

 向かいのビルがギャラリーということなのだけど、1階はシャッターで閉ざされていて……。

 ビルの裏側に回っていた、同じバスで来た人たちが「こっちです!」と教えてくれた。

キュレーターの窪田研二と石水美冬により、アーティストのマネジメントオフィスとして2010年に東京とシンガポールでスタートし、16年に西麻布に移転。絵画や彫刻を中心に扱い、国内外のアーティストによる創造的でカッティングエッジな展覧会を数多く開催している。ギャラリーでの展覧会以外にも、多彩な場においてプロジェクトやキュレーションを行なっており、新たな時代を切り開くアーティストを多数紹介している。主な取り扱い作家は河口龍夫、山川冬樹、雨宮庸介、HITOTZUKI、布施琳太郎、SWOON、デヴィッド・ステンベックなど。

同上


超リアルなその表現は

 美しい海と空の、写真(?)

 その中央に、メッセージが浮かんでいる。

デヴィッド・ステンベック

詩人、文芸評論家、編集者として活動してきたステンベックは、やがて自身が思い描く詩の世界を3Dソフトで視覚化するデジタルアートの制作を始めた。2010年代後半、Instagramの世界的普及や、3Dソフトの技術と表現力の向上などを背景に、CGI(Computer Generated Imagery)によるアートをウェブ上で発表するアーティストが登場してきた。ステンベックはその黎明期からの代表的存在である。

2019年からアイコン的な作品である雲とピンクのレーザーをモチーフとした《Jesolo Cloud》や、「I MISS YOU ALL」「WISH YOU WERE HERE」といったメランコリックな詩の一文を用いた作品を制作している。現実と非現実、意識と無意識の境界が曖昧になるような彼の作品は、特に若年層から強い支持を得ている。2023年の日本初個展に続き、今回は新作を含む10点以上の作品を展示予定。

同上

 デジタル? 本当に? という疑問とともに、作品世界へ。

 破壊のように見えながら、コミュニケーションのように見えなくもない。


美しさのなかに翻弄される

 次の展示室では、さらに説明を排した作品が並ぶ。

 デジタルアートと判っていながら、リアリティゆえの美しさに惹かれてしまう。

 鑑賞しているうちに「現実と非現実、意識と無意識」という位置づけは気にならなくなり、頭のなかで一元化されていく。



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