神話,歴史,環境,そしていま立つ位置 -今津 景[タナ・アイル]@東京オペラシティアートギャラリー(-3/23)
西新宿。
東京オペラシティアートギャラリー。
今津景 「タナ・アイル」。
開催日の1月11日から、結果的に連休の3日続けて訪れることになった。
4つのテーマ
この展覧会は、4つのテーマによって解説されている。
① 神話「ハイヌウェレ」、② 開発と環境汚染、③ 日本とインドネシア、④ 平面から空間へ。
展示は大規模なインスタレーションで、それを読み解こうとして3日も訪れる結果となった、というのもある。
日本軍の洞窟、マラリア特効薬
第一の展示室。まるで洞窟の奥から、その入口を眺めているかのような光に導かれる。
ここは……作家が訪れたGoaJepang(ゴア・ジパング)という洞窟だ。
インドネシアのバンドン、日本軍の軍事拠点として使われていた場所。
キナ(マラリア特効薬)工場
壁に展示された絵画類を鑑賞し、空間の中央に視線を移せば、
まるで実験室のような佇まいのインスタレーション。
その前には、培養されているかのような臓器?
ピンクの世界に広がる生と死
最も広い展示室には、こんなインスタレーションが展開されていた。
4つの「展示のキーワード」から、この文章が浮かんでくる。
どこからどう観ていいのか、どこをどうフレームに収めていいのか、戸惑うくらいの作品があふれている。
上を見て、下を見て、
壁に沿って歩いたりしながら、
周囲をみれば、みんな、思い思いに楽しんでいるようだった。
環境と生活と
展示室を出ると、乾いた竹の音が響いていた。どこか懐かしい。
カラ、カラ、カラ……。この音は、バリ島をはじめ、東南アジアのリゾート地で聴いたことのある音だ。
向かいの壁には、こんな展示が。
一面に並ぶ、淡水魚の絵。
以前に鑑賞したこの展覧会のことも、よみがえってくる。
絵の、1枚1枚は、板に描かれている。手を伸ばせば冷たい、でも柔らかな生き物の感触が伝わってくるかのような、リアルさだ。
その板1枚1枚にも、なにか別の用途に使われたあとに、キャンバスの代わりとして選ばれたもののようだ。
とても美しい。
同じく、展示のキーワードから。
3度も訪れた理由
今、こうやってまとめてみて、開催からすでに3度、それも連続して訪れた理由がわかってきた。
冒頭で述べたように、この展覧会を分解するなら、そのテーマとなるのは① 神話「ハイヌウェレ」、② 開発と環境汚染、③ 日本とインドネシア、④ 平面から空間へ、だ。
異国の神話と歴史、うっすらとしか知らない、日本がもたらした負の歴史。そこに、異国に住まうという経験と、女性性やフェミニズムという自分自身の中から生まれた課題、そして現代の環境問題といった大きな問題。
そうしたすべてがシャッフルされ、作品のなかに息づいている。そして、鑑賞している者の興味やそのときの気分によって、要素のなかのいずれかかがクローズアップして伝わるのだろう。
恐怖といった、素直な感情をも含みながら、
最後には、どこか癒される。