発声障害を治す~その4~
声がちゃんと出なくなった原因として緊張と癖という仮説を立てました。あと、メンタル面も両方に作用していると考えています。
身体の緊張は、自分の意志とは関係なく起こります。人前やオーディションなどの場面では緊張しようと思わなくても勝手に身体に力が入ります。それは失敗したくないや成功させたいという気持ちが働き、通常時よりも頑張ろうとするからです。
スポーツなどでは、その緊張感は適度であればパフォーマンスを上げるために必要だと考えられています。しかし、その緊張をうまく扱えず、メンタル面に問題があると適度な緊張ではなく力みになってしまいます。そうなると選手の能力をしっかり発揮できない身体の状態が出来上がります。発声も同じような事が言えると思います。
そして緊張は何も考えなくても体には起きています。座っていても姿勢を維持するために筋肉に緊張があります。ここで大切だと思うのは不要な緊張、間違った緊張が起きているかどうかです。間違った緊張は姿勢の悪さです。肩が前に出たり、首が前に出たり、背中が丸くなったり骨盤が後傾したり、足を組んだりなどです。正しい立ち方座り方ではなく姿勢を悪くする事で、必要な緊張ではなく不要な緊張を体に強いる事になります。その不要な緊張を日々積み重ねていく事で癖になり、発声にも影響を与えていると考えます。
発声に関する癖についてのメンタルですが、これは滑舌の悪さで恥ずかしい思いや嫌な思いをしたとか、声がうまく出なかった事で失敗したとかで、もうこんな思いはしたくないと声帯や舌を緊張させてしまう事に繋がってくると思っています。
トラウマとも呼べる過去の体験を無くすことができれば発声に良い影響を与えそうですが、これに関しては、失敗や嫌な経験が多すぎるのでどれが問題なのか、たくさん問題があるのかなどわからない部分が多いです。仮にどの体験を引きずっているのかが分かったとしても、そのトラウマを取り除く事は困難な事だと思っています。
そのトラウマがあったとしても、発声のリハビリを行い正しい筋肉の動きを覚えさせて新しい発声の癖を覚えられれば、本来の声は取り戻せると思っています。トラウマと同じシチュエーションになった時にどうなるかはわかりませんが、どの体験が問題なのか、トラウマは本当に自分の中にあるのかなど不確定な要素が多いので深く追求する事は現時点では考えていません。
鼻をつまんで発声すると少し声が出しやすいと前に書きました。それは体感的には間違いないようで、鼻への息の流れを制限する事で何かしらの影響が声帯には起こっていると考えられます。そこで、チューブ発声法だけでなくブローイング訓練も取り入れる事にしました。ペットボトルに水を入れてストローでぶくぶくやるやつです。これで高めの地声や低めの地声を出しながらやってみると、低い地声の時には泡の勢いが増し、泡が大きくなるので、やはり低音域の時に多く息漏れしている事がわかりました。継続していきながら変化があるかなどを観察していきます。