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暁に薮を睨む

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刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
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2024年2月の記事一覧

【詩】メガネ(※病み注意)

【詩】メガネ(※病み注意)

韓国のねらいは
北朝鮮のねらいは
中国のねらいは
台湾のねらいは

ニュースの中では誰もが
ねらいを持って行動していて
僕は人間不信になってしまうな

凡庸な知識を溜め込んでる
キャスターは無知のiconみたいで
僕は世捨て人になってしまうな

ユングとかラヴクラフトとか
効率の悪い知識が僕は良いんだ

マルホランド・ドライブの
解釈を一生解釈し続けるんだ

孤高の天才と自負してる人は
大抵抑圧さ

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【詩】荊姫

【詩】荊姫

林檎の実が落ちて誰かが気付いた
林檎パイは美味しくない苺大福も
夕焼けは美しくない夜景も朝ぼらけも
夏の水浴びも冬の熱いお風呂も
気持ち良くなんかないわたしには

大変だ わたしたち 騙されてる
荊の透明さが城内に蔓延ってる

早く知らせないと
証拠を集めないと
何かを告訴しないと
契約書を破棄しないと
No.13の仙女に呪われた
姫君の城を祝福に染めないと

大変だ どうか 目を醒まして
荊姫の

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【小休詩】触手プレイ

【小休詩】触手プレイ

反応するということは
触手があるということだ
自動ドアの触手
防犯ライトの触手
車のキーを好む触手
顔認証の触手は顔を撫で
指紋認証の触手は指に巻き付く
スマートウォッチの触手は手首に
安眠システム稼働ベッドは全身に
あなたは普通に生活しているつもりが
テクノロジーにがんじ絡めに辱められながら
起床通学通勤勉強仕事部活残業帰宅就寝姦
日々の営みが24時姦苦痛快楽の責め苦

この詩を踏まえてしまって

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【詩】灰と雲

【詩】灰と雲

煙突が在った頃
斎場の火葬炉に
屍を委ねることは
空に混ぜることだった
吸った外気も
吐き出した内気も
食べた物も廃棄物も
あなたの笑顔舌打ちも
未読メール既読スルーも
経験に代わってしまう
高く陽を背負った雲が
ひたすら美しい現実はもう
あなたを知らないでいる

【詩】道徳の記憶

【詩】道徳の記憶

私たちは結果だ
結果を重視する
それが最もまともな
振る舞いだと記憶が
知っているのだ

私たちは殺し屋だ
ナイフは常に鋭利で
夜もすがら恐怖して
凡ゆる命を手にかける
誰もが後悔をする

私たちは手探りだ
私たちは夜もすがら
模索しているのだ
這ってきた夜なら
分析する事ができる

私たちは民主主義だ
民度の高さが命綱だ
民度は結果論だが
這ってきた道路なら
整備する事ができる

私たちは殺し続

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【詩】虚無の墓場

【詩】虚無の墓場

人類史上最も
偉大な劇作家の
四大悲劇の一つ
父を殺された
王子の復讐劇が
死後の世界が
有るか無いかを
描いた作品だと
いう解釈に
異論が無くなる

死については
その程度には
考えてきた
看取ってきた
どの死に於いても
酷い状態だ
なぜだ
行き過ぎた
足りなかった
こんな羽目に
なぜだ

こ、ここは
知っているぞ
た、たしか
なんだ
こ、これは
見覚えあるぞ
た、たしか
な、なんだっけ
ちくし

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