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メデューサと北風と

風が髪にちょっかいを出すから
髪が怒ってメデューサになってしまい
私の心に囁きかけるのです

“いまだ般若になるのだ”と

般若のように額に皺を寄せる私。
北風は私の姿に驚きもせず、ヒューヒューと揶揄っています。

カラスがカァカァとバカにします。
メデューサの髪は四方八方に伸びながら
北風に挑み続けます。

私の眉間に皺は深くなりました。

その深さは雨が降れば
川ができるほどです。

小さな竜巻
渦を巻き
揶揄うように
ぐるぐると踊っています。

メデューサの髪は
北風に揺れながら
風を掴もうと
手を伸ばします

カラスの黒い羽が
風に揺られて
ぬめります。

カラスは高い木の上で
羽をバタバタと鳴らしながら
高みの見物をしています。

じっと睨む風の向こう側

いいかげんーーーにーーしろーー!

叫んだ私の声に反応して
メデューサ髪は震えました。

そして
一層高く手を伸ばし
いよいよ、追い風を捕まえました。

追い風つかんだメデューサは
カラスに向けて怒りの一撃喰らわして
高い木の上から引きずり下ろしました。

恐ろしくなった北風は
スゴスゴと尻尾を巻いて
夕陽に染まる高い山の向こう側へと

メデューサ髪は静かに手を下ろし
優しく吹きかける風に身を委ね
ゆっくり眠りにつきました。

眉間の皺も綺麗になり
菩薩の如き微笑みになりました

暮れゆく空に
チラチラと白い小雪が舞い落ちて来ました。

照れくさそうに
窓ガラスに張り付いて
“こんばんは”
白い妖精は恥ずかしそうに挨拶しました。
とさ

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