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ナースの出来事

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臨床現場であった本当の話。
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家族が知らない、もう一人の姿

家族が知らない、もう一人の姿

あれ、なんで私は看護師になったんだっけ。

私、なにやってるんだろう。

いくら病気のせいと頭では理解していてもこちらも人間だ。

ロボットじゃないから、感情があるから。

時には理不尽すぎて怒れることや泣きたくなることもある。

「あ~~~~~!!!」

いつなんどき構わず大きな声で叫ぶから夜中でも病棟中に響き渡る声。

近くに行って背中をさすり声をかければ気に食わないのか

「たわけか、お前は

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知らないことは怖いこと

知らないことは怖いこと

昔あった出来事。

脳出血で入院してきた患者がいた。

家族に色々話をきいていると昔、膝に水が溜まるため半年に1回くらいのペースで水を抜きに整形に通っていたことがあったと。

そしてその病院に行った時に血圧を測るくらいで家では測っていなかった。

病院で血圧を測った際に高血圧を指摘され内服を出されたが家族が毎日飲み続けるものだと思わず内服を途中でやめてしまったと言っていた。

その結果で起きたと思

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枯れるように逝く

枯れるように逝く

経口摂取のできなくなった終末期にある状態の患者に点滴をするのか、また点滴をしたとしてどこまでするのか。

これは私にとって答えのない難問だった。

終末期にある患者はすべての臓器の機能が弱くなってきているから、体に入ってきた点滴(栄養や水分)でさえエネルギーに変えることができない。

脱水の人が点滴をして元気になるのとはわけが違う。

だから点滴をすれば浮腫も増えて痰も増える。

そして、その痰を

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退院すれば自宅に帰れると思ったら大間違い

退院すれば自宅に帰れると思ったら大間違い

もちろん家に帰れる人もいる。

でもそれは一部の人だけ。

入院期間がながくなると帰宅願望がでてきて不穏になる人も多い。

「家に電話してくれ」

「起こしてくれ、歩いて帰る」

「それが無理なら、あんたが送ってくれ」と。

ようやく退院日が決まって帰れると思ったら、そこは自宅ではなく施設。

ようやく病院という環境になれたのに

また住み慣れない所へいかなければならない。

なんでかって

高齢

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都合の良い思い込み

都合の良い思い込み

臨床であった出来事。

夜になるとなぜか人格が変わる人がいた。

足の骨折で入院。

身の回りのことは車椅子で自立していた。

昼間はリハビリがあることもあり暇な時間がないからなのか、リハビリでのマッサージで疼痛緩和され本当に痛みを感じていないのか。

そこらへんは本人の意見もコロコロと変わるため、よくわからないが自立していることもあり昼間は特に介助を要することはない。

車椅子を使用すれば棟内の

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