晩夏

生きてるフリするの疲れたな。ほんとはとっくに死んでるのに。乱暴に空いた無数の穴をただ埋めような、平たく見せるためだけの生活が続いてる。そういう気持ちと向き合ったら疲れちゃうから、ただ見ないようにしてるだけ。見えないように蓋してるだけ。だけど穴は穴で 傷は傷だから、消えないの。どんなに見えないようにしてても、ふわりと風が吹いただけでめくれてしまう。
たとえば、鋭い突風が吹いてしまったら、古傷は無防備になり、酷く痛む。

「神様はなんで才能に見合った夢しか持てへんように設定してくれんかったんやろ。」
どこかで読んだ台詞が思い浮かぶ。こんなにも現実と向き合うことに臆病なら、叶えたい夢とか理想とか、持っても無駄だったな

でも、わたしの中に変わらずいつも在るのは、酷く痛む傷だけじゃなくて、わたしが泣いていたら涙を流してくれるような、傷つけられた時はわたしよりも怒ってくれるような、嬉しいことはいっしょに喜んでくれるような そんな人で

それが、どれだけ傷だらけになろうが、死ねない理由でもあり、生きる喜びでもあり、きみのことを思って言葉をかくような そんな利他で。まあ、わたしはきみの特別にはなれなかったみたいだけどね。

もう夏も終わりそうだよ、だからかな 最近タバコの本数が増えたのは。
暑苦しくてうざったくて、だけどきみがいればどうでもよかった気がした、そんな夏の終わりのせいにしておこうか

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