読書感想文「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆうさん
単行本を発売後すぐに読み、文庫化されたので再読した。
好き嫌いのわかれそうな作品(僕はこの小説好きです)で、僕自身もいろいろ考えさせられた作品だった。
さて、僕が明日を無事に迎えられる可能性はほぼ100%だろう。ただし、100%ではない。
不慮の事故や事件に巻き込まれるかもしれないし、心臓発作や脳卒中など身体が突然に機能停止をするかもしれない。
同様に、多くの人は1ヶ月後も日常を生きているだろうという前提で日々暮らしている。
仕事の予定を立てたり、家族旅行に行く計画を立てたりしながら。
僕ももちろんそうして暮らしている。
そんなある日、
「1ヶ月後、地球に隕石が落下して人類は滅亡することになりました」
と言われたらどうなるのだろうか。
この作品はそんなディストピアが妙にリアルに描かれている。
(ちょっと目を背けたくなるほどな描写をされている場面が幾度もある。)
人生は残り1ヶ月と宣告されたとき、人の受け止め方や過ごし方は一様ではない。
そもそも信じるのか、信じないのか。
受け入れられるのか、受け入れられない(受け入れない)のか。
自暴自棄になるか、欲望に支配されるか、思考停止するか、大切なものを見つめ直すかなど様々だ。
読み進めていくと、人生残り1ヶ月になったらどうするのかを疑似体験している気分になった。
そして、読み終えた感想は、結局ここに集約された。
〈日々を精一杯自分らしく生きるしかない〉
もしも、そんな日(死亡予告日)を迎えることになってしまったら、大切な誰かと一緒にその日を迎えられたならば、それはそれでハッピーエンドなのだと思った。
どうせいつかは死ぬのだから。
明日も精一杯僕らしく生きよう。
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