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何様

何様

人の個性をそれぞれ変と呼ぶなら、私の変を理由に仲良くしてくれる人が居て、私の変なところを誇りに思ってくれる人がいて、嬉しかった
変を求めてくれる人がいるのがわかった。
それに応えることしか、私にはなーんにもないし。

だから、「嫌いになれない」なんてずるい言葉を盾にしなくても、変を作り出せなくても、どんなに惨めでもダサくても、何もなくても陳腐でも、好きでいてくれる彼らのことを、ありがたいだなんて、

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皮膜人間

皮膜人間

15歳とはいっても、もう、高校生であった。
高校1年生だった。高校1年生といっても、
まだ、15歳だった。
あの夏に私は、何か途方もなく大きな何かを見ていた気がする。

軽やかな朝と、やわらかい風の音、まろやかな日照り、あかるい町を思い出す。

目が覚めて、
ゆれる白い天井をしばらく見ていた。
息を吸おうとしたけど、
体の裏側には、黒色が代わりにどよめいているだけだった。
頭では何も考えていないの

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正直あの日々はとっくに秋だった

正直あの日々はとっくに秋だった

結構長いこと寝ていた気がする。
テレビも付けずにリビングで寝落ちていた。相当疲れていたのだろう。目が覚めると窓の外はとっくに真っ暗になっていて、偶然ついていたキッチンの光が薄ら白く、19時過ぎの暗く広いリビングをぼんやり照らしていた。
なんだか妙にリアルな夢を見た。
部活帰り、下駄箱前、昇降口。薄暗い。
いつもの顔ぶれ、上履きを仕舞う動作、
靴を履き替えても何となく誰も帰ろうとしない雰囲気に、少し

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十六式・デート

十六式・デート

10月9日、高校への定期が切れる。
改札機に宣告された朝だった。

14を思って思い出すのが白と灰の曇り空なら
16に思い出すのは青い秋晴れだろうな。

蝉の代わりに鈴虫が泣いて、
光みたいな明るい風が吹く日々だった。
夜の学校に赤い街灯がブレる様な日々だった。

加害者になった月曜日だった。
傷付けられてきた何倍も、傷を付けることは苦しかった。鮮血みたいな赤いドロっとした苦しさが喉を通っていった

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タルト

タルト

何かを好きでいることは、ものすごくエネルギーを使うね、疲れるよ
でも、何も愛さない簡単な人生は飽きるだろう、退屈だろう
だからせめて、やるせない気持ちにならないものを好きでいられたらと思うけど、このやるせない気持ちをこそを、好きと呼ぶような気がしてきたんだ、疲れるよ

教えてあげない光の具合

教えてあげない光の具合

昼の光がすきになった。
ああ馬鹿みたく夜などに焦がれることは、もうないだろう。

彼の部屋は暗かった。私の部屋も暗かった。

なのに無機質に浴びた光はどうしても同じに見えなくて、私は眩しくないそれが心地よくて好きだった。

彼らの部屋はあかるい。あたたかい平日午後、
薄暗いというには明るくて、
とても柔らかい日差しをいっぱいに含んでいた。

なんにもない時間だった。
なんでもないことを話して、

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常識を生かして非常識を殺すか

常識を生かして非常識を殺すか

昔の日記に「常識的に愛されたい」と書いていた。
常識なんてよく知らないし、非常識な面で不満があるわけではないんだけどね。

でも私が変だということに気付いたのなら、そのままもっともっと私のことを見透かして、そのままもっと私を飼い慣らしていてほしい。

許されるための言い訳をいつでも装備して身を守らなければいけないということ。
どれだけ悪にならないよう気をつけたって、それは「善にはなれない」というこ

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一般化ってなんなんだろうね

一般化ってなんなんだろうね

例えば来週の週末には楽しみな予定があったり、何となくカバンに付ける缶バッチが欲しくなったり、普通に友達と遊んで、連絡したい人がいて、勉強もしなきゃな〜部屋も片付けなきゃな〜って思って、ただ幸せな毎日を享受して過ぎる人生に身を任せて嬉しくなるのが怖い。
それはいつかそんな日々が終わるかもしれないからとか、平和ボケするから、とかそういう意味じゃなくて、もうちょっと色んなものに執着していたかったなって話

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手を繋ぐということ

手を繋ぐということ

私を退屈から救ってくれるひと
つまらないより苦しい方がずっとマシだ
愛するだけじゃ癒せない傷もあって、
それがお互い様なら、少し報われる気がする

なりたいものになってください。

クラスに残した皮肉、
私が私でいるだけで許される居場所を、
許されなかった分の未来と、
。。。でいられる貴方を、
今でも探している

ニンゲン語は核心を刺せない