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皮膜人間


15歳とはいっても、もう、高校生であった。
高校1年生だった。高校1年生といっても、
まだ、15歳だった。
あの夏に私は、何か途方もなく大きな何かを見ていた気がする。

軽やかな朝と、やわらかい風の音、まろやかな日照り、あかるい町を思い出す。

目が覚めて、
ゆれる白い天井をしばらく見ていた。
息を吸おうとしたけど、
体の裏側には、黒色が代わりにどよめいているだけだった。
頭では何も考えていないのに、
涙だけが止まらなかった。

夏の日差しがパッと眩しい街に出た。

白飛びした空気を覚えている。
意識と体がそこにあった。
当然、蝉は鳴いていたはずなのに、異様に気温や熱気を感じなかった。

どれだけの時間をただ真っ白な脳内で歩き続けたのか、もう、分からない。
一体どれだけの涙をこぼして歩いたのかな。

いつのまにか、イヤホンからの無音が音として、音が音楽として、音楽が言葉として飛び込んでくるようになった。
それと同時にやっと視界らしき視界を取り戻した気がする。



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夏休み・登校日

あいつは私を椅子に座らせ、私のナイロンみたいに傷んだ金髪を丁寧に編み上げてくれた。
それは、立ってられないほどの、純粋な暴力だった。

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