他人フレーバーの空気
道の反対側から人が来る。
人とすれ違う時、わたしはいつもどうしたらいいのかわからない。
まず相手の目を見たくないのに、つい見てしまう。
なぜ目を見たくないかというと、目を見るとその人の内面が垣間見えてしまうからだ。
相手もそんなの本望ではないであろうに。
すれ違うその1秒で無意識に洞察力の無駄使いをする。
決して美しいものばかりではない。ほんとうに、見ない方がずっといい。
そして去り際に相手が通った風を感じる。
その風はその人の香りが味付けされてている。他人フレーバーの空気を身体に入れる。それも嫌なのだ。
だからなるべく人が来たら空を見つめ、息を止める。