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【月曜日の抹茶カフェ】読書感想文。



今回の読書感想文の作品は、こちら。



【月曜日の抹茶カフェ / 青山美智子】




˚*.꒰ あらすじ ꒱.*˚
"マーブルカフェ"の定休日に一度だけ"抹茶カフェ"を開くことに・・。
東京と京都をつなぐ12の"月"をテーマにした連作短編集。


抹茶好きにはたまらないタイトルに心が躍った。


初めは迷いなく読み進めていたが
『続編なら前作を再読したほうが良いかも』
と、気付いてから前作をじっくりと再読し、
そのあと今作の世界観を堪能することに。



前作に出てきた登場人物が度々出てきて
みなさんご健在で何より。
懐かしさと嬉しさが込み上げてきた。



ココアは東京とシドニーという
国境を越えた設定だったので
漠然と『遠い』と、感じながら
海外旅行の気分で読み進めていたが、
抹茶カフェは東京と京都の国内設定なので
より一層イメージが湧きやすかった◎


特に印象に残ったお話は
〖デルタの松の樹の下で〗長月 / 京都
〖カンガルーが待ってる〗神無月 / 京都
〖吉日〗師走 / 東京


デルタの松の樹の下で


大学生の孝晴くんの物語。

生まれて初めて彼女が出来たのだが、
彼女に嫌われたくない一心で
自分の趣味をひた隠しにしていた。

しかし、わずか1ヶ月で振られてしまう。

そんな中、漫画の趣味が合う男友達と
共通の話をしていくうちに
どんどん前向きな気持ちになっていく。

無理をしてまで相手に合わせる必要はない。
自分の好きな物事には正直でいるべきだなぁと、
改めて感じさせられた。


僕もこんなふうに、本当に好きなものや大切なもの、知りたいことを、もっともっと集めていこうと思った。
そして取り出して使っていこうと思った。
誰かにすぐには認めてもらえなくても、僕にとって心地いい場所で、僕のやりたいタイミングで。
124ページ


カンガルーが待ってる


シドニーでインテリアに携わる仕事をしている
彼の物語。

マスターとは長年のビジネスパートナーである。

そんなある日、彼は京都出張に訪れる。

昔のペンパル・チャコちゃん、妻のアツコとの
出会いについてマスターと語り合う姿が
とても心地良くて、わたしと似た部分を感じ、
ほのぼのとした気持ちになれた。

出逢いって色んなところに転がっていたり、
自分が思っている以上に周りに影響を与えている。
そう考えると全てが尊く感じるなぁ・・。

そうなんだよ、わからないだろ? 
でも確実にいるんだ。
さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。
どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった。
どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ。
135ページ



でも一番素晴らしいのは、遠いところで手を繋いできた人たちが、自分がどこかで誰かを幸せにしてるかもしれないなんてまったくわかってないことだね。
それがいいんだ。
自分の身の回りのことに取り組んだ産物が、あずかり知らぬ他人を動かしたってことが。
135ページ



吉日

老舗茶問屋で働く吉平さんの物語。

ひょんなことから抹茶カフェで接客をすることに。
そして、とある女性客に恋をする。

吉平さんは女性と接することが苦手な
シャイボーイなので大丈夫かなと心配したが、
女性客とのやり取りにほっこり。
そして、素敵なフレーズにひたすら感動した。

このようなドラマを生み出す青山先生すごい・・!

縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。
どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうぐらいに。
ひとつひとつ交わす言葉や、わずかでも顔を合わせる時間や、相手へのそのつどの思いやりや丹精込めて手をかけて、続いていくものなんですよ。
こんなに遠く離れた、国籍や母国語の違う私たちを長い間繋げてくれているのは、この一枚一枚の膨大な積み重ねなんだと思います。
158ページ



ご縁を大切にするのも粗末にするのも自分自身。


『この方とずっと繋がっていたい』
と、思ったら絶対に粗末にしてはならない。


世界に沢山の人々がいる中で
出逢うことはもちろん、関係が続くことは
まさに奇跡なんだなって思った。


これからも素敵なご縁に恵まれますように。
わたしと関わる全ての方に幸あれ。


ここまで読んで下さり、ありがとうございました♥


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