ayaco

日々の書き留め。出来事や思うこと、子どもたちのこと、翻訳のこと、読んだ本の感想など、ゆるく書いてみます。 株式ユーザベースでコンテンツのローカライゼーション/翻訳をやっています。

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最近の記事

『小泉今日子書評集』

小泉今日子さんが読売新聞の読書委員をつとめた2005~2014年の10年間に書かれた書評を集めた本。 一冊一冊を読んでいるときの、小泉今日子さんの息づかいが聞こえてきそうな、透明感あふれる文体がとっても魅力的。 作品から感じたことを伝えるその圧倒的な表現力で、紡ぎ出される言葉がつながり、 ふくらんでいく。 経験した喜びや切なさ、戸惑い、恐怖などと重ね合わせて読んだことが書かれていたりして、そういう丁寧な内省を読むと、やっぱり本って、読むことってすばらしいと感じる。 そ

    • 『A子さんの恋人』とうとう読み終えてしまった

      本好きな友人は、図書館並みに本を持っている。そのセレクションも絶妙で、貸してくれる本はどれも「今」の私に必要なことが絶対に書かれている。処方箋みたいに。 亜紀書房のウェブマガジン 空き地 で連載中の近藤聡乃さんの『ニューヨークで考え中』は時折読んでいたが、単行本を一気にポンと3冊貸してくれたのもこの友人である。 素晴らしいきっかけをくれてありがとう。 改めてはじまりから読むと、きれいでかわいい絵のタッチに心和み、整然と散りばめられている文字の美しさに安らぐ。 主人公が

      • 『ひとまず上出来』を今年一冊目に読んで

        どのエピソードもずんずん、びしびし、じゅわじゅわ心と体に響く。 『ひとまず上出来』を今年読む一冊目に選んで、上出来だよ私、とほくそ笑んでいる。 「やりたいか、やりたくないかの二択です」は、ここのところ考えていたことがすっきり言語化されていて、そうそう、そうよ!と何度も頷いた。 できるかではなく、やりたいかやりたくないか。やりたいならやればいい、単純じゃないかと思われるけど、なかなか踏み出すところまでたどりつけないもの。 逆にやりたくなくてもやらなきゃならないことはわんさ

        • 瞬間の想いをきざむ

          大晦日なので、私にとって今年とっても心に残っていることを書きたいと思う。 まずは、長男が前髪をさわったこと。 夏休みにランチをしたときだ。席に座るや、彼が前髪をちらっと指先で軽く整えた。それを見た瞬間の、うれしくてくすぐったくて、ほんの少し切ない感情を、私はきっとこの先ずっと覚えていると思う。 次男は、私とくすぐり合いっこしなくなった。夏休みもそろそろ終わり近くになってきたころ、パッタリと。 それまでは2日に1回は「勝負しよーぜ」と誘ってきては、次男がくすぐられすぎて、笑

          三浦大根

          おせちの材料をそろそろ揃えておかないと、と思い八百屋へ。 丸々一本の三浦大根が売っていた。 たぶん、人生で初めて見る、丸々一本の三浦大根。 ぷっくりした形と太さに思わずおおおと声が出る。 煮物、なます、漬物、おでん。作れそうなものがいろいろ浮かんだけれど、持って帰るの重そうだからと断念。 おおおという声とともに撮ってしまった写真を見返して、やっぱり買えば良かったかなとちょっと後悔している。

          三浦大根

          見上げると

          和紙のような空だった。

          見上げると

          白樺を買う

          いつも行く花屋さんに白樺の幹が売っていた。大きくとても立派でずっしり重い。 1本500円の値段にも惹かれ2本買った。 店員さんが「持ち帰れますか。2本だとかなり重たいと思います……」と気遣ってくれた。3歳児を抱っこする感じかな、きっと大丈夫、と思ったけど甘かった。腕をぴくぴくさせながら家まで持ち帰る。 リビングの窓近くに置くだけで、いい感じ。 小さいころ、祖父母が住む札幌を訪れるとき、あちこちに生えている白樺をすりすり触ることが大好きだったことを思い出した。 雪原に凛

          白樺を買う

          視界が開ける音がした

          半袖のかりゆしを着こなしている同僚に「すてきですね」と声をかけたのは、ついこの前のはずだったのに。もう12月も後半になっている。時間の過ぎるのが本当に早い。 少しはやいけれど、なんとく今年を振り返ってみる。 長男は勉強に少し目覚めた。部活もがんばっていて、私の仕事の悩みを聞いてくれたり励ましてくれるようにもなった。この1年で考え方や行動がずいぶんと大人びた。 次男もだいぶ「男の子」っぽさが消えて「男子」っぽくなってきたように思う。友だちとも小難しい内容の話していたり(だ

          視界が開ける音がした

          『卵一個ぶんのお祝い。』

          下北沢の日記屋 月日で購入した『卵一個ぶんのお祝い。』 雰囲気、文体、視点、すべてに憧れる。 書きたい、わたしも書いてみたい、というきっかけをくれた。

          『卵一個ぶんのお祝い。』

          傘を持つよ

          明るめの灰色の雲がひろがり、冷たい雨が降る。 長男の三者面談だった。 急な坂を下り、その先の少し上ったところにある中学は、遠い。雨の日は一層遠く感じる。 学校での日頃の様子、委員をがんばっていること、どんな高校に行きたいか、取り組んでいきたいこと。 長男の受け答え、一言ひとことに、成長を感じた。 雨で部活がなくなったので二人で帰る。 傘を忘れた長男に、一緒にさしながら帰ろうと言ったら、オレが持つよと言ってくれた。 なんだかこそばゆかった。

          傘を持つよ

          散歩、撮る

          同僚が撮る東京や横浜の夜のストリートスナップがカッコよくて、私もデジカメで写真を撮りたくなった。 コンデジは気軽に持ち歩けていい。 近所を散歩したり、電車に乗ってちょっとお出かけしたり。いろんな角度でキョロキョロして、眺めて、とりあえず撮る。 一連の流れもたのしいし、たまに「いいかも」と思える一枚が撮れたときは、なんとも言えずうれしい。 景色や自然や人や物体をよく観察するようになってから気づいたのは、秋~冬の色の移ろいってすごく鮮やかだということ。

          散歩、撮る

          本屋巡りとビリヤニ

          今月は思いっきり文化的活動に勤しんでいる。仕事の反動だろうと思う。 まずは魅力的な本屋さんがたくさんある下北沢へ。 じっくり本棚を眺めながらゆっくり本を選ぶ。いい時間。 ぶらぶらしながら、ランチ何食べようか、と友だちとあれこれお店をのぞく。 ビリヤニって聞いたことあるけど、食べたことなかったので食べてみた。 八角などのスパイスの香りがよい。見たことないような長いお米の食感もたのしい。 冬の風が少し吹きつつも、あたたかい陽が射して気持ちよかった。

          本屋巡りとビリヤニ

          書評に誘われ広がる世界

          Junkoさんが図書新聞の書評で紹介されていた『レストラン「ドイツ亭」』を読んだ。いつもながらすばらしい書評で、すぐに本屋に探しに行った。手にとったとたんこれは「読まなければならない本」だと直感した(ちょうど『夜と霧』(みずず書房)を読んだあとだったということもきっとある)。 舞台は1963年のフランクフルト。主人公はごく普通の家庭に育った24歳のエーファ。家族は、レストラン「ドイツ亭」を営む父と母、そして看護師の姉。ポーランド語ができることからアウシュヴィッツ裁判で強制収

          書評に誘われ広がる世界

          再認識

          『中国・アメリカ 謎SF』。白水社のHPの新刊紹介のページで題名を見ただけで絶対に読みたいと思った。柴田元幸さんと小島敬太さんが翻訳を担当したと分かり、なにがなんでも発売日に買おうと決めた。読んでからだいぶ日にちが経ってしまったけれど、やはり書き記しておきたい。 収録されている7篇はどれも独特なのに、なんとなく共通するところもあり、おもしろかった。 とくに印象に残ったのは1篇目の『マーおばさん』。とにかくすごい。知識と想像力にユーモアをちりばめながら、「生命」とは何かとい

          再認識

          春の白い花が好き

          春の白い花が好き

          暮れ泥む

          暮れ泥む