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【私と本】ことばのふしぎ

 毎日ことばに触れて暮らしている。本を読むときも、話すときも、伝えることも、ドラマのせりふも、日常にはことばがあふれている。ことばのことを考えさせられ、親しむきっかけにもなるような2冊に出合った。

ことばの波止場 -和田誠- 中公文庫

 クレヨンハウスでのセミナーでの講義録をまとめた本とあるが、実際の抗議の際は準備していたものをはしょってお話したそうで、加筆などをおこなって本にしてある。ご自身の自分史に沿った流れにしてあって、ことばに対する興味や遊びがいっぱい詰まっていてたのしい。
 和田誠さんは1936年の生まれだが、洒落たイラストレーションで広く世間に知られているように映画や週刊誌、装丁など多方面で活躍しておられた。たばこの「ハイライト」のロゴデザインでも有名で、以下のどれかを目に(耳に)したときには、以下のひと通りの流れを踏むことになる。
和田誠/ハイライト/父ヒロシ/さくらももこ

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字幕の中に人生 -戸田奈津子-白水Uブックス

 映画字幕や翻訳でよく知られた戸田奈津子さん。戸田さんも1936年の生まれだった(いま調べた)。名前は有名でも、その仕事における詳細を知る一般人はほとんどいない世界での苦労や成り立ちなどをエッセイで書いてある。これを読むと孤独な仕事をこなす日々を想像し胸がいたくなる。ネット上でアレコレ叩かれているのをちょっとだけ見たが、映画翻訳と字数制限などを考慮した上でどのような工夫や苦労が必要になるか、この本を読めばだいたいわかる。
 私は海外ドラマが好きでよく見るけれど、翻訳家の方の名前が出ないこともあるし、調べても出てこない。例えば同じプロデューサーのドラマがあって、翻訳は同じかなとおもって調べてもわからない。なんだかさみしくなる。


 戸田さんの本はずっと「読みたい本リスト」にあげていたもの、和田さんの本は図書館で目についたもの。偶然にも同じ年生まれの、映画や言葉とのかかわりの深いおふたりの本を同時進行で読むことになり興味深かった。

 外国語を解せたら、とずぅっと思いつつ、日本語だけで四苦八苦しているのが現状。

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