【私と本】相手をドキッとさせるほどの好奇心
好きになったらしつこい私は、本に関していうと「繰り返し読む病」を抱えている。その好きな世界にこだわりすぎて、読み終えたくなくて、でも(当たり前だけど)終りはくるからまた頭から読むというわけ。
だけどそんなことをしていたらアレルギーなんかと同じで、読みすぎてヘンな反応がでちゃったりするかもしれないから、どこかで自制することになる。
そういうわけで(?)長いこと読んでなかったこの本を手に取った。初めて読むんじゃないかというくらい興奮している。
「河童が覗いた」シリーズでお馴染みの妹尾河童さん。この本では50人にも及ぶ、あらゆる職業の人の仕事場を覗いている。古い本で、1985年1月から12月の間に週刊朝日に連載されたものがまとめられている。もう40年近く前のものなので、インタビュイーの方々の中には、亡くなっている方も見うけられる。
ご存じとはおもうけれど河童さんの覗きかたは、たんに取材して文章にするだけじゃなく、対象物(この場合「仕事場」)を俯瞰図にして描き出すことと、彼のたいへんな好奇心からうまれた質問や感想にその魅力がたっぷり詰まっている。どれも彼独特の視点があって、この本をはじめ著作のどれもがたまらなく好きだ。
まだ読んでいる途中なんだけれど、本棚マガジンをさぼっているし、書きたくなった。途中のくせに、印象的な部分をいくつかあげてみたい。
他にもいっぱいあるんだけれど、収拾がつかなくなるのでこのへんにしておく。
さまざまな職業の方を選んでいるし、特殊な職業なんかだと知らない方も多い。河童さんという人も、舞台美術家での活躍が有名だけど、現役の頃の仕事を私はほとんど知らない。彼が手がけた作品や舞台を、見てみたかったとおもう(フジテレビの社員だったというから見たことはあるのかもしれないが)。
河童さん自身がそういう経歴を持つこともあり、インタビュイーの方の中には制作側の方も多く、中には知らずに目にしたり耳にしたりしていたものもあるだろう。普段意識しない身近なもの、表にあまり出てこない名前、そういうものを感じられるという意味でもこの本はいいとおもう。
出典にある「河童を覗きかえす」というのは、取材後にインタビュイーの方が書いたもので、そこからまた河童さんの人柄がうかがえる。他のたくさんのインタビュイーのコメントをみても、誰もが口を揃えて「子供っぽい」だとか「好奇心旺盛」とか「マニアック」などという。そして、そんな無邪気な印象とは裏腹な、鋭い質問やコメントが多いことがあげられている。
俯瞰のイラストや手書き文字(ワープロで打って、それを手書きになおしているらしい)の緻密かつあたたかい感じもすごく好きだし、要点をまとめてわかりやすく面白く読ませる文章もやっぱり好きだ。
漫画「MASTERキートン」の主人公(架空の人物だが)とか、河童さんとか、どことなく少年っぽさを感じさせる人が好きだ。こういうタイプに惹かれるというよりも、そんな部分が自分にもあったらいいなという憧れに近い。
好奇心というものをだいじに、日々をおもしろく過ごしたいとおもう。