小品「幸せの花」
「ここに赤いのがあるでしょ?これ、実は…」
幼馴染にそう言われて、一瞬で悟った。
もう長くはないんだと。
幼馴染の首元に、赤いニキビのようなものができていた。
それは死期が近い人に現れる「幸せの花」の種らしい。
それを伝えてくれた時の幼馴染の笑顔が、
あまりにも綺麗で泣きたくなった。
そのあとは頻繁にドライブに行った。
春には桜を見て、
夏にはひまわり、
秋にコスモス、
そして冬には、幸せの花。
あっという間だった。
幸せの花はスミレの花によく似ていた。
失ってから気づくなんて遅すぎた。
今でも幼馴染と一緒に居られる気がして、
スミレの花を必ず挿している。
忘れられないから。
忘れたくないから。
今朝、早朝に見た夢です。
幼馴染の首元には、確かに「幸せの花」の種がありました。
死を悟った私と、幼馴染との関係は相も変わらず幸せの花が咲く日までにいろいろな花を見に行った記憶があります。
幼馴染の首元で咲いた幸せの花はスミレだった。
スミレの花言葉は「小さな幸せ」や「愛」が、
また、スミレの漢字表記には「純恋」があります。
幼馴染の想いに気づいた頃には、もう遅かったのです。
幸せの花とはいったい何だったのでしょうか。
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梔子
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