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《日記》ヒゲダンスで駆け回れ
寒い。
レッグウォーマーなり手袋なりを買いに行きたいと思い、息子に「しまむらに行かないか」と提案したところ、食い気味に「いかない」と言われた。言うと思った。出不精くん。
(出不精って、何度聞いても酷い悪口のような言葉で怖い。)
(誰も共感してくれないんだけど、酢豚ってカタカナでスブタって書くと、すんごい悪口みたいだよね。)
あたしゃね、ただ寒いってだけで、それらが欲しいのではないのだよ。君とたらふく遊ぶためなのだよ。
息子は出不精だが毎日夕方、公園には必ず行く。私が行きたくなくても行く。
そこでは我々2人の間で「たたかい」と呼ぶ日課がある。ただジャングルジムの内外を走り回るだけなので何の闘いかはわからないが、とにかくそれをするために息子は毎夕、闘志を燃やし、いそいそと公園に行く。
もうこんなに寒くなると、私は30分もしないうちに帰りたくなる。せめて日が出ている頃に遊びたいのだが、息子ったら日が暮れる頃にやっと家を出るので、やっと説得して帰路に着く17時半には、東京の月は煌々と輝いている。私のようなのはどれだけ一生懸命走ってたってあたたまらない。
本当は「帰ろうか」「ねえ帰ろうよう」とかしつこく言いたくないのである。「あと一周ね」とか言ったって、終わらんし。
でも本当は息子が「もういい」と言うまで遊ばせたいのだ。夕飯の時間までなら、本人の満足いくまで走り回って欲しいのだよ。息子の遊び終了の理由が「私が寒い」なのは、私が納得いかないのである。
そのために防寒グッズが欲しかったのだが、なんか無理っぽいし、とにかく気合いで乗り切ろうと今日も今日とて「たたかい」に向かった。
寒い。
寒いが、まだ3分も経っていない。北風が強く、頑張って走っても寒い。しかも腰を痛めていて思うほど走れない。
そんな時、どこの神かわからないが、私の脳にあの音楽が舞い込んできた。
ええ。めちゃくちゃあたたまる。笑いの神か、運動の神か、ありがとう神様。ヒゲダンスで走るの、すぐに身体がぽかぽかする。
息子はそんな私を見て爆笑し、一緒にヒゲダンスでジャングルジムを駆け回った。
すっかり日も暮れた誰もいない冬の公園で、歌いながらヒゲダンスで走る女と幼児。ヒゲダンスじゃなくても「こんな時間まで?!」と思われていそうなのに、いよいよ不気味にならないか心配になったが、我々はドリフターズのおかげで束の間あたたかく、幸せだった。
帰宅してYouTubeでヒゲダンスを見せると息子は一生懸命真似して楽しんでいた。まじめなので、真顔で踊っていた。私もドリフ世代ではないので、本物はあまり見たことがなく、こんなのだったのかーとおもしろく見た。
息子なんて令和生まれなのに、私のせいでこの夏「変なおじさん」も習得した。まず「変なおじさん」という言葉がツボだったらしく、さらにあの動きは楽しいらしい。すごく楽しそうにやる。(ちなみにこちらも本物をみせたことがあるけど、よくわからないようだった。思ってる以上に変なおじさんだったのだと思う。)
変なおじさんの動きをする息子は、めちゃくちゃ可愛い。ヒゲダンスもものすごく可愛い。育児中の方、お子さんにいかがですか。おすすめです。
明日わたしは防寒グッズを買いに行きます。