【書評エッセイ】Googleより先にGoogleになれたかも。
この本を読んだ。そして、興奮した。
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1969年、驚くべきことに、リクルートはGoogle マップと同じようなアイデアを既に持っていた。Googleマップのベータ版がリリースされたのは36年後の2005年である。この頃から日本電信電話公社(後のNTT)とのコラボレーションが始まっていた。
その後、アメリカでは1984年にAT&Tが分割されたことで通信コストが下がり、同時に人材の流動性が高まったことで、インターネット勃興の下地ができていた。
一方、日本では1985年に日本電信電話公社が民営化されNTTが誕生した。が、NTTは分解されなかったため、通信コストダウンが起こらず、日本のインターネット勃興の足枷になった。
1986年にリクルートはクレイ社のスーパーコンピュータを購入している。これを「客寄せパンダ」としても利用し、最高のIT人材を採用しまくる。
リクルート事件の最初の報道が出たのは1988年。
Googleの創業は、その10年後の1998年だ!
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読了後、こんなことを思った。
▶︎リクルートはGoogleより先にGoogleになれたのではないか?
▶︎当時NTT社長だった真藤氏(リクルート事件で逮捕)がNTT分割を実現していたら、インターネットの勃興がアメリカと同じようなスピードで起こったのではないか??
▶︎そうなっていれば、「失われた30年」を失わなかったのではないか???
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ただし、これらが実現されていたためには、条件がひとつある。
リクルートの行動規範に、
「邪悪になるな」(Don’t Be Evil)
という一文があったならばという条件である。
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この本を読んで、改めて「リクルート事件」の日本経済に与えた計り知れない影響を痛感した。
巻末の年表は、江副浩正の年表であると同時に日本経済の年表でもある。