海月のように生きる夏

夏になると、眠りにくくなる。 松原に住んでいた頃は、朝焼けをみてから布団に入った。夜中の散歩に出ることもある。夏夜はぬるい夢のなかにいるみたいで、海月になった気分。 昨日、私と歳が変わらない知人の訃報が届いた。 夜、電車で倒れていたおじいちゃんに「大丈夫ですか？」と声をかけ、駅員さんを呼んだ。 もうすぐ、父とマミさんの命日。 笑顔が浮かぶあのひとたちや、遠い国のあのひとたちが、どうか毎日健やかに過ごせますように。 それが叶えば、何もいらない。ただそれだけ。

6月17日（金）の日記

那須にいる。 連日24時のサイト更新で深夜までPCと睨めっこしている私の仕事ぶりをみて、家族が情けをかけてくれるようになった。 母にいたっては夜食まで作ってくれた。なんたる手厚さ。受験生みたいだ。 午後、頼んでいたお風呂のカビ取り薬が届く。パッキンに生えたカビに超有効だそうで、仕事の合間に塗ってみる。 そういえば経堂に住んでいた頃、泊まりに来た友達と当時話題のカビ取り薬を試したことがあった。 塗って2、3時間待つ間に散歩して、ビールや枝豆を買い、晩酌を始めた。あの黒い点

5月30日（月）の日記

同僚と、久しぶりに食事に行ってきた。 痛みをわかってくれる人だからこそ泣き言を口にしてしまいそうで、仲がよかったのに半年くらいちゃんと話せてなかった。 彼女が旨い（この漢字がはまる）アングルで写真を撮ったり店員さんにワインの詳細を訊ねるかたわら、私はShazamで音楽を検索していた。 前にしゃぶしゃぶ屋さんにランチに行ったとき、彼女は店のオペレーションがもっとよくなる方法を考えていた。一方で私は、注文を取りに来てくれた店員さんの指のささくれに目がいって、いいハンドクリーム

5月20日（金）の日記

朝一番で採血。朝採れという言葉が浮かんで、ベッドに横になりながら、帰りに旬の果物を買おうと決めた。 家だとうまく眠れないのに、病院だとウトウトするのはなぜだろう。棋士の先生が「注射の針が刺さる瞬間は、人間が一番無防備になる瞬間」と言っていた。 ビワとブルーベリーとスイカを抱えて帰宅。 15時半、会社のラジオ配信にゲストで呼んでもらう。まだ語るには時間が必要な話題もあり、たいした話はできなかった。 最近読んだ本『COSMIC CHILDREN』『赤い蝋燭と人魚』『斎藤隆介全

5月14日（土）の日記

昨日の夜中、友だちが電話くれてゴロゴロしながらお喋り。電話、滅多にしないから、尻尾がパタパタするくらい嬉しい。 「ずっと一緒にチャランポランしてようよ〜！！」って言われてた。1時間くらい話しておやすみを言って切る。 「華子が帰ってきたらやって欲しいこと」が山積している実家。 やる人がいないから、やるっきゃない。 洗濯機の取り付け 膨大な段ボール片付け おばあちゃんの介護用手すり取り付け カーテンレール取り付け 棚の耐震補強 草刈機で草刈り… 介護用手すりの説明書には「

私たちに祝福を

仲のいい友だちたちと、5年ほど先延ばしにしてきた計画があります。 「揃いのサンダルで旅に出る」 5人中3人が4月生まれなので、ええい、5人の誕生日をまとめて祝おう、じゃあプレゼントもまとめて買いに行こう、サンダルとか実用的だよねというのがことの発端。 なんで5か年計画になっていたかというと、サンダルを選ぶ場面で どんなのがいいー？ このモデルさん好き！ BLACK PINKになりたい 痩せなくちゃ オッパー！ （繰り返し…） それがやっとやっと叶いましたよ。渋谷のN

2月最後の日の、日記

8時に起きて、寝室でオードリーのANNを聴きながら身支度。 雑誌にコメントを提出した。これから開催する展覧会を紹介する企画。宇都宮美術館にも、鎌倉文学館にも行きたい。誰と行ったら楽しいだろうと考えてワクワクしたけど、人を誘うのが苦手なので妄想に終わりそう。 東大病院に荷物を届けに行く。湯島駅の周りはいかがわしいお店と文化的な施設がごちゃ混ぜになっているから、背筋をしゃんと、毅然として歩くことにしている。不忍池でボートに乗っている人たちを眺めていたら、約束の時間に少し遅れた。

田舎に住む母が「選挙に行かないかも」と

田舎に住む母と電話。 「今回は、選挙に行かないかも」というので心底驚いた。 我が家は政治にオピニオンを持ち、欠かさず選挙に行くタイプでした。それこそ、投票行って外食しちゃうような家庭。 ところが電話口で、明日は投票に行かないかもしれないと言うのです。 東京に住む私は、街頭演説に行ったり政見放送を観たり、個人的には盛り上がっているので温度差に驚き。 ただ、聞いてみたら理由があって。 田舎には街頭演説も来なければ、ポスターを見る機会もない（車社会で道を歩かないからね）。

家族を見学する

長い連休、ずっと那須の実家にいます。 前半は雨続きだったので、読書がはかどった。 読書はたいてい、お風呂ですることにしています。 携帯を手元に置かないぶん集中できるし、静かだし、汗をかいて澄んだ心で本に向き合える（気がする）し。 おばあちゃんがときどき、「華子がお風呂で浮いてしまっていないか」安否確認に来ます。 これまでは洗面所から声をかけてくれたのですが、最近は耳が遠くなってしまったので、浴室まで入ってきます。しかも、お風呂のフチに腰掛けて、小話をしてゆく。 まるで茶

27年ぶりに、父に会う

弟と一緒に、父が出席するはずだった同窓会にお招きいただいた。 3歳の私と0歳の弟を残し、36で他界した父。 母以外から彼の話を聞く機会は初めてで、ワクワクするイベントなはずなのに、正直、不安もあった。 私の半分を作ったのは、いったいどんな人なのだろう。 母は今でも父に恋しているんだから、家族の前では、美談を少しするだけ。 （そもそも母に格好悪い部分を見せる前に逝ってしまったのかもしれないけど） だから、友人たちから聞く彼が、私がたまに心の中で話しかけてきた人物像と違った

人はみんな良いところも悪いところもあるから、それぞれ認めあって幸せになろう。 で、せっかくだからついでに良いものを世の中に提供出来るように頑張ろう。 よろしく！ 仕事先の人にプライベートの話をしたら、こんなメールをいただいた。いと嬉し。 こちらこそ、よろしくお願いします。

酔っ払いの私たちは、深夜、都会をひた歩く。0時過ぎなのに開いている花屋さんを見つけ、そういえば母の日、何か買おう！と。 酔ったお連れ様は、実家の住所を忘れ、夜中に母親に電話（呆れられていた）。 伝票の踊った文字を見て、ケタケタ笑い、そしてこういう日が続けばいいな、と思った。