逃げることはとても大事だと学んだ
何年かしたら、2020年からしばらくは世の中は感染症で大騒ぎだったと語られるようになるのだろうか。
"コロナ騒動がなかったら"と思うことはよくある。
世の中がマスクだらけになった。
大抵の人はマスク姿を見ると、隠された部分を自らの理想の姿に補うらしいけど、私は違った。
障害であると言われたらそうなのだろうが、私にはそんな都合のいいことは出来ずに見えている姿そのままだ。
もちろん長年生きてきたので、人には隠されてはいてもマスクの下には鼻や口があるのは知っている。
もしも私がうんと幼かったらのっぺらぼうだらけの恐怖にどうなっていたか。
その次に耐えられなかったのは、接客業で見られるようになった紫の手袋。
以前は時々行っていたシティホテルの中華料理店で、注文した料理をマスク姿で紫の手袋をしたウエイトレスが平然と持ってきた。
料理を検体を扱うようなスタイルで客に提供して来た嫌悪感で一気に食欲は失せ、それ以来行っていない。
わかっている。
多くの人はそんなに気にしていない事を。
だから自分の気持ちに蓋をした。
冬になる頃には、突然両耳を手で塞いで喚きながら駆け回りたくなった。
もちろん私自身はマスクなんかしてないのに、マスク姿を見ることで息苦しく、パニックを起こしたり過呼吸やめまいが頻発した。
もう限界だ。
知り合いに紹介してもらったメンタルクリニックを初めて受診する時でさえ、息苦しく指先が冷たくなった。
やはり仕事は無理と診断書が書かれて2年間の休職に入った。
精神は病んだけれど、よかったと思えることも少なくない。
おかしいと思った事は調べ、強い気持ちで拒否出来るようになった。
薬や予防接種には疑問を持って考えた。
一般的に思われている事も、別角度で見ようとするようになった。
自分の心は自分で守らなくてはいけない。
60歳で現役を引退し、もっと身体と心を大切に生きようと決めた。
もしかしたら私にとっては覚醒だったのか?
今だってマスク姿を見ると嫌な気分になる。
そんな時は目を閉じる。
見ないで心を自衛する。
全力で逃げる事も大事と学んだ。