魔女の台所
ガリリ ゴリリ ガリリ ゴリリ…
こめかみに響くかたい音にゆっくりと目覚めた。見慣れない天井のシミに、知らない匂いのベッドで寝ていた。
そうだった。
夏休みに調子に乗って、入ってはいけないと散々言われていた森の中に入ってしまったのだった。
そして道に迷った。
まんまと大人たちが言っていた通りの事態になったのだ。
けれどそこから見知らぬベッドに行き着くまでの記憶はまったくなかった。
ガリリ ゴリリ ガリリ ゴリリ…
起き上がり、ベッドの周りを見回した。
赤い靴、青い靴、泥でよごれたきなり色のキャンバス地の靴。サイズがバラバラの子供の靴が床にたくさんあった。
子供がたくさんいる家なのかな?と思いながら、少し開いていたドアのすきまからのぞいてみた。
ベッドの周りに散らばる靴以外には子供の姿も気配もまったくなかった。
ガリリ ゴリリ ガリリ ゴリリ…
からだのシルエットがわからないゆったりとした黒い服を着た60代くらいと思われる女性が、大きな鉢に木の枝のようなものをこすりつけていた。
ガリリ ゴリリ ガリリ ゴリリ…
木の枝の先にはまるで足の指のような5本の短い枝か根が生えていた。
ガリリ ゴリ…
「おや、目が覚めたかい?」
女性の目はこちらを見ることもなくそう言ってにやりと笑った。
ガリリ ゴリリ…
「もうすぐお前の番だよ。その汚い足を洗っておいで」
【山椒とろろご飯】
=材料=
・雑穀ご飯
・長芋
・卵
・麺つゆ
・大葉
・ネギ
・粉山椒
・炒りごま
=作り方=
1.雑穀ご飯を炊いておきます。
2.長芋をすりおろし、卵を入れてかき混ぜ、味見をしなが麺つゆを少しずつ入れてまぜ合わせます。
3.どんぶりに1と2を入れ、ちぎった大葉、ネギをのせて粉山椒と炒りごまをふります。
子供の頃、大きなすり鉢に母が木の枝か根のようなものをゴリゴリとこすりつけていた。
それがどんどん小さくなるとそこに卵を入れて出汁を少しずつ加えながらぐるぐると混ぜていた。
小食だった私がこの時だけは2,3杯おかわりをしていた大好きなおかずでした。
長芋をすりおろしていたら、そんな子供の頃の風景を思い出しました。
鰻の蒲焼用に買い、余っていた粉山椒の出番です。
山椒の柑橘系の香りと大葉がさわやかで一瞬涼しさを感じるようなどんぶりご飯です。