自分らしけりゃ満点だろ? | 0304-05日記
3月4日(月)
部屋の中央に鎮座する、大きな机。
そこで話している人たちは、ギラギラしていて、もはや圧と呼べるほどのオーラを放っている。燃えているみたいだ。
わたしはさっきから向こうの会話が気になって仕方ないのに、向こうはこっちのことなんかちっとも見えていなくて、気にもしていなくて、ただわたしだけが身勝手に、ひどく身勝手に傷ついている。
疲れた。
ギラギラしている彼等にも、彼等をギラギラさせる環境にも、ギラギラを勝手に浴びている自分にも、もうぜんぶ疲れた。久しぶりに感じる頭痛と耳鳴りに、自分が疲れていたことに気づく。
共感力が高すぎるのは、こういうときに厄介だ。「自分が彼等なら……」「彼等はこう思うんだろうな……」とかではなくて、もうなんというか、自分がそのギラギラした環境に “いる” 錯覚に陥ってしまう。自分がギラギラした気になって、勝手に疲れてしまう。
ああ、つかれた。
目尻からこぼれた水滴は、多分あくびをしたせいだろう。
3月5日(火)
昨夜のこと。
あてもなくX(Twitter)の海を彷徨っていたら、
こんな文章が流れてきた。
『大丈夫。あなたの価値は変わらない』
この言葉に、いよいよ泣いた。
しっかり泣いたのは久しぶりだった。
今日は面接があった。
ふと脳内に流れてきたのは、いつだったか音楽番組で聴いたSixTONESの曲だった。
この部分を脳内で必死にリピートしながら、
さらには自担の写真をスーツのポケットに忍ばせて挑んだ面接。
「ああ、ジャニーズ?」
趣味の話題になったとき、どんなアイドルが好きなのかと訊かれて答えたときに返ってきた、言葉、表情、声色。馬鹿にするようなそれを、私はこの先ずっと忘れないと思う。
世界で一番に大好きなアイドルが20年以上を掛けて積み上げてきたもの、わたしが10年以上も見てきたもの。努力とか信頼とか、陳腐な一言では表現できないほど儚く繊細で、それでいて確固たるもの。
そんな宝物を、出会って30分そこらの人に、くしゃりと握り潰されてしまった。まるで鼻を噛んだ後のティッシュのように、無残なほど雑に扱われてしまった。
悲しいとかよりも先に込み上げてきたのは怒りだ。繰り返すようだけど、私はこの先ずっと忘れない。あなたは既に忘れているだろうけど。そもそも覚えようともしてないだろうけど。私だってあなたの顔も名前も覚えていない。そんなものに脳内メモリを使ってたまるか。
「本人たちが時間をかけて積み上げてきたものに嘘はないので、私は彼等を信じていきます」
わたしが面接で言った言葉だ。
肩書きしかない名前も知らない人の言葉なんかより、だいすきな人のことを信じて、だいすきな気持ちごとそっと抱きしめて、ポケットに閉まって。
また明日も、救われていく。
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