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連載3

今日は嫌な夢を見た。パソコンがボコボコに壊れてしまう夢。私にとってこれはただの道具ではなくて、自分の言葉を可視化して、心を落ち着けてくれたり自分が何者なのかを認識させてくれる、そういう安定をくれるものである。

仕事用に購入したパソコンに指をのせ、今日も文章を打ち込んでゆく。今日はもっぱら自分の脳内整理のための作業で、タスク管理や脳みそにひらひらしたアイデア、ふと思い出したメールの送信、そういった

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連載2

他人と出会っても幸せになれない。いつも誰かの一番にはなれない。いつも、いつも、自分より他人を優先して、いい人でいたくて、それが私を2番手3番手にさせる原因だってわかっていても、一番嫌いな人にはなりたくなくて、いい人ぶるだけ。それで、ずっと、ずっと、苦しい。早く楽になりたい。私の生きる価値ってなんなんだろうか。こんなに言葉を大切にしているのに、口から出る言葉はいつも歪で、綺麗な整った言葉にはできなく

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連載

どうも生きるのが下手な私は、多分二十四くらいで死ぬんだろうなと漠然と、そんなことを思っている。左手首は未だ綺麗なままだけれど、普通の人よりは、見えない傷でいっぱいになっていると思う。オルタナティブロックを最大音量でiPhoneから垂れ流して、部屋に飾った青いカーネーションを視界の右端に入れながら、ブルーライトを浴びる毎晩が、私をどうしようもなく悲しくさせる。3年前に死んだ愛猫のことを思い出すことは

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「衝動的なんて言葉で片さないでください。これは僕らの同意の上の完成形なんですから。寧ろ僕の意思よりも相手の意思が強かったんですから、これは相手の望みを叶えた結果なんですから。ねえ、そうなんですよ。君が、君が、『あなたになら、この人生を終わらせられてもいい』って言ったから。」

「だから、それに適うような人間になりたくて、人生を止める方法として思いついたのがこれだったんです。でもこれは相手が望んでい

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いち

 寂しかったんだ、ただそれだけで。愛してたんだ、君のことを。僕の心には薄暗く濁った水溜りがあって、それが零れてしまっただけだと思うんだ。

 夢なんじゃないかと思った。鮮烈な赤、赤、赤、あか、
心がぎゅっと締め付けられてしまって、鼻の奥を抉るようなその香気に心拍数が高められていくのがわかった。血流がどんどん速くなる。手のひらにこびりついた嫌な感覚、肉を貫く感覚、血管を刃で食い千切る感覚、全てを脳内

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