NFTアートを進化させるKawaiiSKULLの3つの仕組み【KawaiiQR入賞記念】
話題のNFTである「KawaiiSKULL」は、瞬く間に10,000体完売しました。いまは、将来的なロードマップが期待されています。
この記事ではKawaiiSKULLの解説と、今後の展望について私の考えをお話します。
ただのピクセルアートが、これから世界中が求める必需品になるようなビジネスの可能性も秘めています。この進化こそNFTアートの面白さです。
アートコレクター・投資家・クリエイターなど、あらゆる人が楽しめる将来像をここで示せればと思います。
KawaiiSKULLの特性
◆ ハンドメイドNFT
Kawaii SKULLは、4ヶ月で10,000体のピクセルアートをたった1人で描いて作られたコレクティブNFTです。プログラム化された単純組み合わせの生成ではないため、多彩なスカルが揃っています。
ハンドメイドのため、相互に有機的な関係性があります。その特徴を活かした「GIFS COLLECTION」というイベント限定配布のコレクションも作られています。
◆ 二次創作NFT
またKawaii SKULLの所有者は、デジタル限定で二次創作が可能です。
NFT界隈でよく話される「CC0」とは、非営利団体Creative Commonsが提供する法的ツールで、著作権や関連する権利を可能な限り法的に放棄することができます。
そのため派生作品・スピンオフ・リミックスを作者に許可なくでき、商用利用も行うことができます。
実際にはCC0のツールを使用して権利を放棄しているわけではなく、購入者にのみライセンスを与えるとツイートしています。
CC0×NFTは一見相反していますが、著作権と所有権を分けて考えることで、NFTのオープンエンドな価値創出を可能とします。そのためCC0×NFTは完成品ではなく、進化し続けます。
この構造を理解して、「死後に強まる念」という作品ならびにコンセプトを作者は発表しています。
上記2つの特性を活かしたイベントが、#SkullChallengeです。
#SkullChallenge
◆ 二次創作コンテスト
#SkullChallengeとは、1体のスカルを選出して、ホルダー・サポーター問わずに二次創作品を募集し優勝者を決めるコンテストです。
優勝者には、副賞としてGIFS COLLECTIONが与えられます。それがインセンティブとなり、多くの優れた作品が集まり、他のNFTプロジェクトとのコラボレーションが進みます。
オリジナルのスカルは、派生作品を得ることで認知度や価値が向上し、作者や所有者の利益となります。気に入った作品があれば、さらに独自に展開させていくことも可能でしょう。
また個人利用であればフィジカル作品も可能なため、多彩なアイデアが集まっています。
◆ 入賞:KawaiiQR
第一回のThe Skull Challengeでは、わたくしYomYomの作品「KawaiiQR」も入賞しました。
KawaiiQRとは、NFTマーケットプレイス上のURLからQRコードを生成し、イメージデータに組み込んだコレクティブ作品です。
KawaiiSKULLに対し、WEB3や禅思想を交えて、哲学的に論じた批評性も評価されました。
入選作品である「#00013 Skulldemic - 髑髏禍」は、ウイルスや戦争が広がる社会の中で、魔除けのスカルが世界中に広がることを祈願しました。
イギリスの数学者ジョン・コンウェイが考案した、人工生命をシミュレーションする「ライフゲーム」をQRコードに対して行い、生死を繰り返してスカルの念が強まっていく様を表しています。
私の所有するスカルでも、KawaiiQRを生成してNFT化しています。
こちらがオリジナルとなっているので是非御覧ください。
この章では、Kawaii SKULLの特性について解説をしてきました。
制作までの経緯については、miinさんの記事が分かりやすいです。NFTアートの文脈も理解しやすくなっています。
さて、ここからは未来のロードマップに関わる話をしていきましょう。
3つの提案
◆ Kawaii Future Skull
Kawaii SKULLのスマホで作られた24×24ピクセルの手作り感は、ジェネラティブなものではないため、集合として見たときの魅力は格別のものがあります。それこそがGIFS COLLECTIONの面白さです。
この非ジェネラティブな相互の有機性を、再度ジェネラティブに処理し直す過程について考えたいと思います。
Re-Digitalization of Waves
このアイデアは、メディア・アーティスト落合陽一さんのNFTである「Re-Digitalization of Waves」を見ると分かりやすいです。
中央に浮かぶ「Borrowed Scenery and Materialized Waves」は、チベットの仏具である「マニ車」、アジア庭園の様式である「借景」から着想を得た彫刻です。
鏡のマテリアルを正弦波として3Dプリントしています。ホログラフィックに風景を波に映し出すため、重力や形から開放された物質となっています。
そして新たに作られた「Re-Digitalization of Waves」は、その彫刻をボケの大きいオールドレンズとデジタルカメラを駆使して、再デジタル化した作品です。
それらが「Study:大阪関西国際芸術祭」の展示では、さらに鏡のマテリアルに借景されたり、ペイントの作品に再マテリアル化されていました。この輪廻転生の空間は、落合陽一さんが研究するデジタルネイチャーを匠に表しており、私は感動しました。
そこで「Kawaii Future Skull」、つまりスカルの「未来」とは?という、ロードマップの本質に関わることを考えたいと思います。
Kawaii Future Skull: Re-Generative Art
「Kawaii Future Skull」とは、自動生成に頼らずにトップダウンに作成したスカルの集合から、コンピュータ処理によりボトムアップに構造をもった空間を生成するという新プロジェクトの提案です。
Openseaのようなマーケットプレイスは、いまは検索性が低く、NFTの宇宙を旅するには十分な地図を提供してくれません。そのプラットフォームに依存したKawaiiSKULLも同様です。
このような課題は、Spotifyのようなストリーミング音楽サービスと類似しています。音楽のような広大な宇宙で地図を見つけるためには、ミクロにもマクロにも見れる地図が必要です。
その悩みを解決するため、ベルギーの建築家クウィントン・クラウヴェルズが作成したサイトmusicmap.infoは、私達にヒントを与えてくれます。
上記のmusicmap.infoでは、再構築にも時系列に沿うトップダウンな手法を用いていました。
しかしスカルの情報量は少ないため、各種パラメータを抽出してボトムアップに処理しやすいです。
つまり私達は、人工知能の学習用データセットを1万個獲得した状態にあると言って良いのです。
ディープラーニングなどを駆使すれば、様々な可能性が生まれます。
例えば、各ジャンルに分類して距離関係を作り、直感的な検索ツールをつくることができます。
二次創作まで紐づけた、広がり続ける宇宙地図としてのオフィシャルサイトや、図書館や神社のように訪れて閲覧するためのメタバース空間を作ることができます。
またGIFS COLLECTIONをジェネラティブに生成することもできます。作者も煩雑なデータ処理でなく、構図など高度な調整に集中できるようになります。
さらにはGAN(敵対的生成ネットワーク)を用いたAIアートとして、新たなスカルを増やすこともできるでしょう。それは作者が直接ピクセルを描くわけではないため、オリジナルのレアリティは高くなり、一方でコミュニティも充実させることができます。
過去と未来をつなぐロードマップ
前回の記事では、ドイツの思想家ウォルター・ベンヤミンを参照しながら「KawaiiSKULLは芸術ではなく呪術である」という話をしました。
呪術は、直線的時間性を持っていません。直線の中にある歴史的記憶には、現在も未来も含まれていないです。再帰的時間性の中でこそ、創造力は生まれます。
無限大円環性を、再ジェネラティブという過程を通して作り出すこと。
すなわちスカルに命を与えることこそ、過去・現在・未来をつなぐKawaiiSKULLの新たなロードマップになるのではないでしょうか。
◆ Kawaii Wallet
KawaiiSKULLは現代アートやクリプトアートとしての文脈で語ることもできますが、ファッション性の高さも素晴らしいものがあります。
そこで次世代のブランド品である、仮想通貨のウォレットとしてKawaii Walletを考えたいと思います。
現状のKawaii SKULLの用途は、PFP(プロフ写真)となっています。これをENS(Ethereum Name Service)のようなウォレットのネーミングシステムにします。
ENSではアドレスを「kawaiiskull.eth」のような文字列に対応させます。Kawaii WalletではQRコードを採用します。KawaiiQRのようにアドレスをQRコード化し、KawaiiSKULLのイメージデータに埋め込みます。
また最終的にはウォレットアプリをつくり、KawaiiQRを自動生成させることもできるでしょう。ブランド価値がありファッション性の高いウォレットとして普及させていけます。
◆ Skull Totem
デジタル空間だけでなく、フィジカルなアイテムも出していくことで、スカルの存在を強めます。スカルはディスプレイ以外の木や布など、様々なメディアを受肉することとなります。
名前やQRコードも載せることで、個別のNFTに対してトレーサビリティを与え、価値を高めることもできます。ECの決済にはKawaii Walletとの連携や、ハードウェアウォレットなども考えられます。
またデザインでは、Kawaii Future Skullでのジェネラティブな生成や、デジタル・ファブリケーションを用いることができます。
サイバーフィジカルに演算され、生き続けるトーテムとしてのスカルを作ります。
以上3つの提案から、将来的に成長するツリーを示します。
WEB3の大地の中に生えたロードマップツリーです。
ここで重要なポジションをとっているのがKawaiiQRの存在です。
最後にKawaiiQRの特性を解説していきます。
KawaiiQRの強用美感
◆ QRの強用美
QRコードは、強用美の揃った素晴らしいデザインをしています。
「強・用・美」とは、ローマ時代の建築家ウィトルウィウスが提唱した建築の3つの条件で、構造・機能・美しさを意味します。
⬛⬜⬛⬛⬛⬜⬛という、アルファベットなどの文字にはあまり含まれない特殊な比率を隅に3つ配置することで、全体構造を人間や機械に安定して伝えることができます。
またライセンスフリーの技術であり、プラットフォームに依存せず利用することができるため、WEB3との相性が非常に良いです。
誤り検出訂正符号を入れているため、デザインを加えても利用可能です。
このようにQRコードには、サイエンス・エンジニアリング・デザインの融合した強用美があります。
注意したいのが、ここで言う「美」とはデザイン領域の美ということです。つまり人間に使いやすく最適化された美しさです。
QRに対してアートな感性を加える試みが、KawaiiQRといえます。
◆ カワイイ美的感性
人間は虚構を共有できたことが地球で覇権を握った要因であると、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは言っています。虚構の共有は、宗教や政治経済などで力を発揮しました。
次なる力を持つ虚構は、美的感性にあると私は考えます。
実際WEB3になり、美意識を共有したコミュニティがDAOなどの形で力を持ち始めました。
幸いにも日本は美的感性を熟成させつづけたリーダー国の一つです。
雅・幽玄・わびさび・粋・可愛い・萌え・尊い…
など様々な感性を共有しています。
そこでカワイイという感性と、QRコードの組み合わせをつくりました。そのためKawaiiQRには「強・用・美・感」が含まれています。
さらに8つの要素に分解して考えましょう。
◆ 大地からの円相
「符号、建築、環境、祈願、可愛い、念、生命、媒体」
という要素はそれぞれ、強用美感の再帰的ループの中にマッピングされます。
これはロードマップツリーのパースペクティブを変えた円相図です。KawaiiQRのコンセプトを表しています。
WEB3という大地から生える樹木としてのロードマップツリーは、直線的時間性を持っていました。
その樹木を大地の視点でみた円相図は、中心がなく、あるいはどこでも中心である円環です。
さらに六道輪廻図のように8つの要素を巡ってみましょう。
符号
WEB3はアカウントではなく、アドレスがエンドポイントとなったため、アドレスの符号化を考えることが大切です。
また固有の初期値をアドレスが持つため、クリエイティブコーディングとの相性がよく、拡張性があります。
建築
QRはピクセルで構成されます。ピクセルのメタスケールによりピクセルアートの空間設計を行っていきます。
そのなかでQR建築に住むスカルのアクティビティを作り出していきます
環境
さらに周辺には、Kawaii Walletの環境が広がっていきます。そこに実用性のあるKawaiiQRも作成していくことでWEB3環境へ貢献していきます。
祈願
Kawaii Future Skullにより、神社のようにスカルをお参りできるようになると、Kawaii QRは祈るための呪具として使われます。
スカルに対して様々な祠を提供し、参拝者はじっくりと鑑賞しながら祈りを届けやすくします。
可愛い
日本の美的感性とそれを形成するに至った文脈から、様々なアイデアが生まれてきます。
多様なアイデアをもとにして #SkullChallenge にも取り組んでいくことで、KawaiiSKULLのコミュニティを盛り上げていきます。
念
スカルは一つ一つに語り尽くせないほどの作者の思いを込めたと語られています。それらは念として、増幅していきます。
仏像の光背から着想を得て、スカルの背後に念をビジュアル化します。
生命
スカルに命を与えるために、ALife研究に取り組みます。ALife(Artificial Life)は、人工生命とも呼ばれます。
人工知能のように人の補助のための最適化ではなく、より多様な答えをもつ終わりのない進化を人工生命は目指します。
媒体
スカルのオブジェクトは、デジタルやアナログなどの解像度ではなく情報に価値を置きます。一方でメディア・アートとしても、Skull Totemのように様々な素材や装置での制作に取り組みます。
メディアとオブジェクトの境界を曖昧にしていき、無分別智な世界をつくっていきます。
表示装置・読取装置・閲覧装置など知性を跨いだ情報のやり取りを行う生態系をつくります。
まとめ
KawaiiSKULLは、完売後から次のステップを待ちわびるホルダーが多く存在しています。
今回はKawaiiSKULLの現状を分析し、未来のロードマップツリーを掲げました。
そこで二次作品のKawaiiQRが、コミュニティに貢献できる可能性を見つけ、円相図とツリーを接続させました。
KawaiiSKULLは、さらに進化します。
この未来に共感してくださった方は、
KawaiiQRを手にとって頂けると嬉しいです。
私たちの未来を作りましょう。
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