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不人気の階段には理由がある
介護に専念して仕事をやめざるを得なくなり、外出自体が減った時期があった。そのあとコロナ禍もあって、もっと外へ出なくなり、特に夜間に街へ出ることがほとんどなくなった。
そうなると、年齢のせいもあるかもしれないし、アルコールも飲まなくなったので、より夜の街とは縁が遠くなり、だから、昔よりも夜間に外出したとしても、帰る時は、できる限り早く家に着きたいような気持ちが強くなったような気がする。
階段の選択
自分にとっては夜遅くの時間帯に、渋谷駅で乗り換えることになった。
新しくなってから、といっても、2008年だから、もう15年以上はたっているけれど、それ以来できるだけ使わなくなったせいもあって、その複雑さにまだ慣れていない。
半蔵門線から、東横線に向かう。
その途中の光景が、確か『呪術廻戦』での死闘が繰り広げられていた場所のはずで、あれは、この辺りの微妙な傾斜も含めて、よく再現されていた、と実際に通るときに改めて感心もする。
焦りもあるので、人にぶつからないように、それでもできたら少しでも早く電車に乗ろうとして、前を歩く人の動きを見て、自分の進路をイメージして、前に行く。とはいっても、外から見たら、なんだかもさもさした動きで、やたらと気持ちだけがせいている人に見えるのだろうとは思う。
それでも、自分としては精一杯のスピードで移動をすると、東横線の表示が見える。
階段が両側に二つある。
いつもは右側を降りて、だけど、人の通行が多いせいか、そして、あまり急がない人が前にいると、さすがに追い抜くことも危ないので、でも、そのためにもう少しで乗れそうな電車を逃したことが何度かある。
といった記憶がそのときに、思い出されたので、人の通りが圧倒的に少ない左側の階段に向かって、降りていった。そのときは他に人がいなかったので、かなり急いで降りて、ギリギリ電車に間に合った、
こういう時間のムダがない移動は、自分にとっては珍しい。
電車はすぐに出発し、車内のアナウンスでは、この列車は予定よりも10分遅れていることを知るが、自分にとっては、現時点での最速であることに変わりはない。
途中で普段の予定にはないさらに早い車両の待ち合わせをするが、その電車は自分が降りる駅には止まらないので、この電車に乗り続けることになる。
不人気の階段には理由がある
それから、目的の駅まで電車は走るけれど、急行なので全部の駅には止まらない。
最初の駅は、乗降客が多そうだったのだけど、ドアが開いたら、やけにホームが細く、ほとんど誰もいなかった。
ちょっと違和感はあったけれど、その次の駅も、そんな光景だった。それから駅に着くたびに、同じような細いホームが見えて、ほとんど人が乗ってこない。
途中で後続のさらに速い電車と待ち合わせしたときも、同じようだった。
目的の駅に着く。
やっぱり、細いホームで電車から降りたら、ほとんどいちばん後ろだった。基本的にはホーム前方にある乗り換えの階段が、遠くに見えた。
こんなに遥か彼方、ということは初めてだった。
渋谷駅で、不人気の階段には理由があった。こんなに後ろだと、どの駅でも改札にも、乗り換え階段にも遠いはずだ。
普段、駅を使っている人は、そういうことをよく知っている。
だから、渋谷駅で、あの階段を降りる人はほとんどいなかったのだと、やっとわかった。
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