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「マスクで感情が伝わりにくい」は、本当だろうか?

 コロナ禍になってから、丸3年が過ぎた。

 新型コロウイルスの分類も「2類」から「5類」になるのだけど、まだ感染が収束していないのに、まるで「コロナ明け」のような空気にしたいのだろうか。もしくは、それを望む人が多いのだろうか、といった微妙な気持ちになる。

 実は、早くマスクをはずしたい、という気持ちを持っている人が思ったより多いのかもしれないが、感染して重症化のリスクが高い場合には、今後も、感染予防に気をつける日々が続くことに変わりがない。

表情

 マスクに関しては、今は、感染予防の効果よりも、そのデメリットを語られることの方が多くなっているように思えるけれど、その中の一つが、「表情が分かりにくく、感情が伝わりにくい」ということだった。

感情はどこで伝わるのでしょうか。声や体の動きも大切ですが、やっぱり表情です。「ありがとう」という一言も、笑顔で言うのか、伏し目がちで言うのかで、受け取り方は全然違いますよね。マスクをすると、その表情が半分、隠れてしまうんです。その影響は本当に大きいのに、きちんと意識できている人は、想像以上に少ないと思います。

 確かに、顔の半分が隠れることになり、口元も見えないから、見える時よりも、分かりにくくなったのは事実だと思う。

目は口ほどに物を言う

 ただ、個人的には、それほど感情が分かりにくくなった、とは思っていなかった。

 それは、マスクで、目が隠れることはなかったからだ。

 
 ことわざや言い伝えに関しては、時代や環境が変わると、「火のないところに煙は立たない」のように、すでに有効でなくなったと感じる言葉も少なくないのだけど、「目は口ほどにものを言う」に関しては、ずっと疑ったことはない。

 今も、マスクをしていても、目が隠れていなければ、注意深く見ていれば、その人の感情はかなりの部分がわかるのではないだろうか。あまり集中して見ていると、にらむような視線になってしまうので、そこは気をつけながらも、マスクをしている現在の方が、ずっと目を見ていても、以前よりも失礼になりにくくなった感触もある。

 笑う時に、口角が上がる。口元が動く。それがマスクで見えなくなるのは事実だけど、作り笑いという言葉があるように、自分の意志で動かさせる口元が作る表情は、その人の「本当の気持ち」を表しているかどうかはわからない。

 だから、話をしている相手の気持ちのことを理解しようとしている時は、声の響きなどは、聴覚の役割だし、無意識で行われていそうな身振り手振りや体の動き以外は、目の表情に対して、視力のほとんどの注意力を使っている。あとは、その人の雰囲気の変化に対しては、視力だけではない感覚も使っているのかもしれない。

 それに関しては、コロナ禍以前と変わりがないので、もちろん、顔が隠れているから、その情報は減るけれど、目が見える限りは、感情がわからない、といった気持ちになったことは、ほとんどない。

 もちろん口元と比べたら、その変化に関して、目の表情の変化は、ごくわずかなのだけど、確かに、その違いはあって、そこが分からなければ、相手の感情のことを理解するのは難しいのは、変わりがないように思う。


 だけど、マスクがあってもなくても、時々、政治家や、どの業界にもいる「大物」と言われれるような人たちの中に、目に薄い膜が張ったような瞳をしている場合があって、感情を遮断しているように見えるから、そういう人の気持ちを分かろうとするのは、すごく難しい。また、明らかに事実と違うことを言っていても、それがウソと思っていない人の目も、その真偽については、とても分かりにくいのも、変わりがない。

マスク越しのコミュニケーション

そう、目というのはその人の印象を決めるパーツでもありますが、
本人が意図しているかどうかに関わらず、好意や敵意、尊敬や軽蔑、攻撃性や深い愛情までもが表れてしまう部分なのです。

実は私たちは非言語的コミュニケーションといわれる五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)をフルに活用して、
言葉では表現しきれない「感情」「熱意」「状況」「空気感」などを感じとっています。

顔や目の表情、声のトーン(抑揚)、身振り手振り、話の間、息づかい、身体的接触、姿勢、態度など目で見て、耳で聴いて、身体で感じることによって言葉以外の情報を交換するわけなんですね。
言葉の内容よりも大きな意味を持っています。

 こう考える↑医療関係者もいる。

マスクの影響

 そして、最も影響が懸念されているのが、子どもに関してだろう。

 この記事では、論文を紹介しながら、説明をしてくれる。

フェイスマスクの使用は、すべての年齢層、特に幼児の顔からの感情推論に影響を与えることを示しました。

 これは、確かにそうだと思う。ただ、この記事では、こんなふうに文章が続く。

結論としては、生後24ヶ月の幼児は、マスクで話者の口が隠れていても、話者の声を認識し学習できることが示されました。

他にも、ニュース記事が出典で申し訳ありませんが「マスクは子どもの言語発達を妨げず、より高度な言語表現を獲得する」という意見もあります。

 そして、さらに、このような推測が続く。

「マスクで子どものコミュニケーションがうまくいかなくなる」というのも一つの可能性でしょう。

ですが、そのような状況下にあっても、子どもは新しい感情表現を取得し、コミュニケーションを上手に取れる可能性もあると思います。
子どもは、マスクの欠点を上手く代償するかもしれません。

そうはいっても、上手く代償できない子どもだっていることでしょう。
家の中や、外であっても、家族だけで会話するときは、マスクを外して表情豊かに子どもとコミュニケーションを取ることが大切だと思いました。

適応

 繰り返しになるけれど、人の感情の多くは目にあらわれると思っている。

 口元で笑っていたとしても、「目が笑って」いなければ、それは、愛想笑いだったり、作り笑いだったりする可能性も高い。

 だから、マスクをしていても、目が見える限り、人の感情がわからなくなる確率は低いのではないかと思う。


 前出の医師の文章では「子どもは新しい感情表現を取得し、コミュニケーションを上手に撮れる可能性もある」とも書かれていて、これについては、個人的にも、そう思っている。

 例えば、マスクをしている人とのコミュニケーションが多くなり、時には、それがさまざまな弊害を生んでいるとしても、その期間が長くなると、その状況に適応することは考えられないだろうか。

 それも、子どもの方が、適応力が高いとすれば、目に出ている感情を読み取る力が、より高くなっていくかもしれない。

 とすれば、コロナ禍で、みんながマスクをしている中で育った子どもたちは、もしかしたら、人の気持ちに対して、とてもよくわかるようになり、そうした世代が多くなったとしたら、お互いに、ウソをついても分かられてしまうから、最初から正直に生きる、といった方法を選択する、気持ちがいい人たちになる可能性もある。

 そんなことを思うのは、楽観的すぎるのだろうか。



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