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柿の実に、これだけタネがなかったのを、初めて知った。

 家の小さな庭に柿の木がある。

 妻が小さい頃に植えた時は、背が低かったらしいけれど、今は、油断すると2階の屋根くらいまで伸びてしまうので、高枝切りバサミや、ノコギリや、脚立を使って、なんとか枝を切り落とす作業が必要になる。

 毎年、秋になると、去年は、かなり刈り込んだのに、もうこんなに伸びたのか、と毎日絶え間なく成長していて、それが蓄積していることに、やっぱり、いちいちちょっと驚く。

 もちろん太陽の光を浴びているだろうし、土の中から水を吸い上げているに違いないのだけど、見えないところで、庭から想像以上の膨大な養分のようなものを吸収しているとしたら、ひそかに干上がるような状態になっていないだろうか、と思うことがある。

 そう感じるだけ、柿の木は、庭の大きさに不釣り合いなほど、大きく伸びて、茂っている。

柿のタネ

 生活の中で「カキノタネ」という言葉を聞くと、集中力が落ちている時でも、あのせんべいのことが頭に浮かぶ。それくらい、長く広く定着しているのだけど、知り合いの方に、それではなく、実際の「柿のタネ」がある「柿の実」が必要だと聞いた。

 それだったら、庭に柿がある。

 しかも秋になって、まだ、それほど色づいてはいないけれど、かなり大きくなっていて、見上げると、柿の実は育っているから、それを少し切って、渡せばいいだけだった。

 義母が生きているときは、今よりもマメに柿の実をとって、干し柿にしたのだけど、現在は、そんな作業をほとんどしなくなった。

 秋になると、まだ青く、ふっくらとして、つやつやして見えるけれど、ずっと渋柿のままだった。

剪定

 何年か前に、親戚に頼んで、かなり本格的に剪定をしてもらって、それはとてもありがたく、その時は、次に実がなるまでに、時間がかかるかも、という見立てだったのに、それよりも早く、再び、柿の実が多くなるようになった。

 その時は、この柿の木の強さに、感心する思いにもなった。

 だけど、柿の実はたくさんなった後に、かなりの分量が色づく前に落ちてくる。

 それが、物干し場の波状のプラスチック製の屋根にあたると、大きな音がして、それだけならいいのだけど、あたりどころが悪かったり、その柿の実が大きかったりすると、屋根に穴があくことがある。

 だから、この季節になると、妻にも依頼されて、柿の実を取るために、枝を切ることになる。それは剪定という名前がつくほど、整える要素はなくて、できる限り切っていく作業をして、場合によっては脚立をハシゴにして幹に立てかけ、そこから枝に足をかけ、ノコギリで太めの枝を切り落とすのは、思った以上に疲れるし、しんどい作業だけど、達成した時は気持ちがいいし、その経験が、秘かに自信にはなっている。

 だから、今回も、柿の実をなるべくとっておきたい。それでも、高枝切りバサミを使って、それほど切れ味がある訳ではないから、枝の部分をつかんでひねることによって、可能な限り、少しでも太い枝を切るようにした。

 柿のことを考えたら、野蛮な方法ではあるのだけど、そうしないとうまく枝が切れず、そして、これまで何年も続けてきたやり方だったけど、柿だけはなく、自分にも負担はかかる。

 そうして、何本か枝をとって、さらには取れる柿の実は一つずつでもとり、それから、2階の窓から、物干し場の屋根に落ちそうな実を見つけて、高枝切りバサミでとった。

 よく見ると、かなりの高さから、もし落ちたら、屋根に穴があきそうな柿の実があって、そういうのを見つけては、ハサミでとった。

 30分くらいで、作業を終えた。

種がない

 妻が、そこから一つ一つの柿の実を整えてくれて、そして、柿の種がある実を探してくれた。

 外側からわかる方法があるのかと思ったら、実際に一つずつ切って、中身を確かめるしかないようだった。

 妻が作業をしていた。

 思った以上に、種が入っていない。

 どうやら20個に一個くらいの割合でしか、あの大きめの平べったい種が入っていないようだった。

 意外だった。

 種無しの柿の方が、掛け合わせなども含めて手間ひまがかかっているイメージがあったので、何もしていない家の渋柿に種がないことが不思議だったし、これまでは干し柿として、かなりの量を食べてきたのだけど、これだけ種がない事実に気がついていなかったのも、自分を疑うような気持ちになった。

 それでも、種がある柿の実が必要だという知り合いの方の要望には応えられた。


 それはよかったのだけど、この柿の木には、種がない実が大半だと思うと、見上げる時の気持ちにも微妙に影響がありそうだった。

 どちらにしても、これから秋が進むと、もっとダイダイ色に色づいて、種があるなしに関わらず、熟し始めると、また多くの鳥が集まることも、毎年の繰り返しなので、想像は容易だった。

 気温は、まだ寒いまでには、いっていない。



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