『「上質な感じの良さ」について』、というセミナーがあったら、と想像してみる。
もしかしたらもうピークを過ぎたのかもしれないけれど、あやまるときに、眉を八の字にして少し悲しそうな表情を作る、というのが一種のマニュアルとして広まっているらしいことを知った。
そして、確かに、そんなにあやまらなくてもいいような場面でも、その表情を見ることが多くなった。そうした対応をする人は真面目な人なのだろう、仕事熱心なタイプなのだろうと思いながらも、そこまでしなくてもいいのではないか。こういうことを常識として広めたり、マニュアル化するのは、やっぱり怖いことなのではないか、と思ったりしている。
だから、表情管理、という言葉が一般化することにも抵抗感がある。そのことをテーマに記事も書いた。
感じの良さ
それでも、コミュニケーションが仕事の上でより重要になった現代では、そうした表情も含めてマニュアル化し、少しでも成果を上げようとするような動きは激しくなっていくような気もする。
何しろ、誰でもそうなのだけど、「感じがいい人」に会うのは悪い気はしないし、それが仕事上で会う人の一人であれば、どうしても、その「感じのいい人」に会う機会が多くなるはずだ。
そうなれば、その「感じがいいこと」自体が、ビジネス的にもプラスになるのだから、特に営業だったら、「感じの良さ」が武器になるだろうし、対人の仕事であれば、「感じがいいこと」は、プラスになるし、だから、私が知らないだけで、あやまる時の八の字眉毛の配置と悲しげな表情というマニュアルはあるらしいけれど、それだけでなく、「感じの良さ」を表現するマニュアルも、すでに出回っていると思う。
もし、そういう「感じの良さ」セミナーがあったとすれば、どのような内容になるのだろうか。
そんなことを勝手に考えてみた。
(ここからは、勝手に想像した「架空のセミナー」です)。
「上質な感じの良さ」についてのセミナーがあったとすれば。
みなさんこんにちは。
私が、今日、みなさんに「上質な感じの良さ」について、お伝えします、ビジネストータルコーディネーターの大谷悟です。
(この中の「万能そうなイメージ」の名前で悟。大谷は、大谷翔平から取りました。今の時代には、感じがいい名前ではないかと思います)。
この肩書き自体が、ちょっとうさん臭いとか、信用できないとか、そんな印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。というよりも、今のところは、それほどいい印象を持たれる方は少ないでしょう。
それでも話が進んでいくうちに、そのイメージが変わってくれば、それこそが「感じの良さ」についてのセミナーとしては説得力が増すのではないかと思います。
さて、みなさん、インターネットなどが発達した現代の社会において、リアルな出会いは、もしかしたら以前よりもより価値があるものになっているでしょう。
同時に、実際に会っている時の印象は、「第一印象」の重要性は言うまでもありませんが、会っている時間全ての印象が、ビジネスだけではなく、人生に対しての影響がとても大きくなっています。
「感じの良さ」について、これまで最も言われてきたのが、当然ですが表情でしょう。
その中でも、笑顔をすぐに作れることが大事だと語られてきました。
口角を自然にあげること。目尻を下げること。柔らかい雰囲気があること。
笑顔判定機といったものまで作られ、会社に出社したときに、そこで笑顔を作れないと、出社と認められない、といったことまであったようです。これについては、当然ながら賛否両論でしたから、覚えていらっしゃる方も少なくないかもしれません。
このセミナーに参加されてらっしゃる方でしたら、感じの良い笑顔をすぐに作れるのではないかとも思っています。
大丈夫です(笑)。やってくださいと指名するようなことはしません。
もちろん、それも「感じの良さ」を作り出すには大事なことだと思います。何よりお客様に、不快な思いをさせたくない、という気持ちで、行なっているのであれば、その気持ち自体がホスピタリティーだと言ってもいいのだと思います。
そして、ここからが本日の、というより、私、大谷の最も主張したい内容に入っていくのですが、同時に、その割には平凡なことを言っていると感じるかもしれません。ただ、どの分野もそうですが、一見、普通のことを、どうやって正確性を極めるかが大事になってくることも、ご存じのことだと思います。
今までの「感じの良さ」を構成する笑顔ですが、実は、最も大事な点が抜けがち、というか、そこまではコントロールできにくいと思われている点があります。
それは、目が笑っているかどうか。
皆様も、お客様として例えば販売スタッフの方々に接するとき、今どきは露骨に感じの悪い人が減ってきているとはいえ、それでも、笑顔が不自然と感じることもあるかと思います。たとえ、口角の角度が完璧でも、目尻の下がり方や、眉毛の角度が正解であっても、目が笑っていなければ、それは笑顔ではなく、作り笑顔になってしまいます。
もちろん、そのことはお客様側もご存じですし、スタッフも仕事ですから、心からの笑顔を見せる必要もないでしょう。ただ、もしも、今の「感じの良さ」を上回るような「上質な感じの良さ」を目指すのであれば、この、目も笑っている自然な笑顔での対応ができることが大事になってきます。
これを可能にするのは、実はとてもシンプルなことです。
自分自身が楽しい気持ちでいられること、です。
そうした気持ちの状態で仕事をしていれば、気持ちの余裕も生まれやすいですし、口角の角度を意識するような緊張状態を作らなくても、相手の方との対応をしていても、自然と笑顔になれることが増えるはずです。
例えば、お客様に対応したとき、わかりやすい口角のあがった笑顔を向けることはなく、それほど強い印象はないかもしれませんが、自然な心からの笑顔が一度でもあったほうが、おそらくは「感じの良さ」が印象に残りやすいのではないでしょうか。
そうした「楽しい気持ちでいられる」ためには、どうしたらいいのでしょうか。
ここにいらしている中で経営者の方や、もしくは管理職の方もいらっしゃっているようですが、まずは、大事なことは職場環境をよくしていただくことだと思います。
待遇面も大事でしょう。とても少ない収入で、楽しい気持ちでい続けるのは難しいからです。
そして、会社を辞める理由の1位は、ずっと人間関係であるようです。ですから、まずは上司であるあなたが、職場環境が少しでも快適になるように努力をすることが大事になります。
この点については、マニュアル的な対応をするよりは、その職場に応じた工夫をされた方がいいでしょう。そのことによって、その組織にふさわしい「上質な感じの良さ」が生まれてくる可能性が高まるからです。
業績をあげる。利益をあげる。売り上げをアップさせる。
そのための努力や工夫は、それこそ身を削るようにされてきたはずですが、職場の環境を良くするためには、多くの場合は、それほどの力を注いでこなかったのではないでしょうか。
ですから、まず環境を良くする、ということを「本気で」考え始めると、今まで見えてこなかった点に気がついてくるはずです。それは、もしかしたら上司であるあなたご自身の普段の振る舞いかもしれません。ただ、この時はラッキーではないでしょうか。他人を変えるよりも、自分を変える方が簡単だからです。
直した方がいいと思われた点を改善していきましょう。
その努力や工夫が正解かどうかは、そこに働く人たちが教えてくれるはずです。もしくは、ご自分自身にも現れてくることも多いでしょう。
働いている時間の中で、そこで働いている人たちの、自然な笑顔が増えているかどうか。
そのことが、「上質な感じの良さ」が職場に根付いているかどうかを教えてくれます。
また、今回、自分には部下がいない。ただのスタッフであって、なんの力もないという方もいらっしゃるかもしれません。その状況で、ここにいらしたこと自体が、すでに第一歩を踏み出されていると思いますので称賛されるべきことだとも思いますが、この場合も基本的には同じです。
自分自身が、楽しいと思える時間を増やしてください。
職場の中でも、普段の生活の時間でも。
働いている時間の中では、それが難しそうだと感じられた時は、最初は、自分の生活の中で自分を楽しくさせることを意識してください。その方法を明確に把握しているのであれば、そのことを増やしてください。
それが思いつかない方。楽しいことなんてない、と思っていらっしゃる場合は、ほんの小さなこと。極端にいえば、1分ほどで、ちょっと自分の気が晴れるようなことを見つけてください。
空を眺める。嫌なことを紙に書いて、破いて捨てる。好きな音楽を聴く---私の具体例のバリエーションが少なくてすみませんが(笑)、そんな自分自身に焦点を当てたことをするだけでも、もしくは考えるだけでも違ってくると思います。
ストレス耐性は、よりストレスフルな状態に耐えることで身につくのではなくて、リラックスした時間がどれだけ長いかにかかっている、という話も聞いたことがありますが、納得感があります。
なるべく楽しい時間を作ることで、最初は無理と思えた職場の中での楽しさについても、見つけられる、もしくは、少しでも作れるようになることに気がついてくるかもしれません。
そうなったら、「上質な感じの良さ」は、半分以上身についていることでしょう。もし、あなたが一人のスタッフにすぎなくても、その姿勢は、伝わる人には伝わって、職場も変わっていくことが少なくないと思っています。
そして、「上質な感じの良さ」というのは笑顔でなくても伝わります。それは、不思議に聴こえるかもしれませんが、自然に身についている人にとっては、すぐにわかることだとも思っています。
「上質な感じの良さ」についての話は、ここで一応の終わりです。
何か目を引くような話ではなくて、平凡な、だけど、実は難しいことだと思います。
ただ、これはもちろん、概要で、最初の説明にすぎません。
「上質な感じの良さ」を本気で目指されるのであれば、個別なコースがございます。
その受講も考えていただければ、幸いです。
本日は、足を運んでいただき、ここまで話を聞いてくださり、ありがとうございました。
「感情管理」が進むかもしれない
もしかしたら、途中で読むのをやめてしまった人もいるかもしれず、その時は申し訳ないのだけど、ここまでは個人的に無理に想像した、ただの架空のセミナーに過ぎない。
ただ、こうした「感情管理」に近いことは、「笑顔判定機」が製造されてしまうような社会なのだから、私が知らないだけで、すでに行われているかもしれない。
それは、もっと強制的で怖いか。もしくは、人を心から信じさせるような洗脳に近い方法で実施されている可能性はあるが、あらゆる場所で「管理」が進められていて、それは「管理」へのコストが下がったという理由もあるようだけど、それは、行われているとすれば、やはりいい環境とは思えない。
とても可能性が低いことは分かりながらも、もし、本当に社会の環境が良くなれば、「上質な感じの良さ」を身につける人が自然に多くなるし、そうなればいいけれど、そんな時でも「感じが悪く」なる自由は確保してほしい。
つまり、人間の感情は、やっぱりコントロールしきれないものという前提を忘れない社会であってほしい、と思っている。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。
#セミナー #多様性を考える #最近の学び #マナー #感じの良さ
#上質 #架空 #ビジネス #謝罪 #毎日投稿 #表情管理
#感情労働 #感情管理