労働は人権侵害である


「不労所得で生きていたい」というのは万人の夢であろう。古今東西、賭博や詐欺や薬物売買が決して無くならないという事実がそれを物語っている。
 だから経営者はコストのかからない労働者を望むし、労働者の人権を剥奪することを良しとする。労働者は「労働」に縛られているという事実だけで多大なストレスを抱え、故に他者の弱さを許さない。

 誰もが、「自分こそが被害者だ」と思うしかなくなっている。

 生活保護受給者が蜥蜴の如く嫌われるのは、何の価値も無いのに「労働」という人権侵害を免除されているからである。たとえ病を抱えていようが、四肢が無かろうが、誰もが目を背けるような無能であろうが、労働を免除されている時点で「ズル」なのである。他人に負担を強いるだけのお荷物の人権を、どうしてこちらが負担しなければならない?

 労働が廃止されない世界に人権はない。だから、本来ならば世界で一丸となって「労働はクソだ」と声をあげ続けるべきなのである。しかし、すべての労働を一瞬で廃止できる方法などないのだから足の引っ張り合いになる。あなたも、自分の仕事を他人に押し付けたくて仕方ないでしょう?

 誰もが嫌々働いているような社会が、どうして良い方向に発展できる? どう考えても破滅の未来しかない。けれど労働しなければ生きる権利が買えないから仕方なくそうしている。虐待の連鎖やしごき文化の連鎖と何ら変わりはない。

 あーあ、この世界の労働を全て担ってくれる都合の良い奴隷が居ればいいのに。というのが人間の本音。他人の人権なんて邪魔。自分さえ良ければそれでいい。「人身事故のせいで迷惑を被った」という本音から人間は逃れられない。